リーダー業務は身に付けられる技術
《現場リーダーの技術 岡島幸男著 2006年4月》最近はプロジェクト・マネージャという役割が重視され、プロマネ関連の書籍やセミナーが増え、企業もプロマネ育成にかなり投資をしている。では、本書のタイトルになっている『現場リーダー』というのは、どのような仕事をする人だろうか。現場リーダーとは、実際にプロジェクトを仕切る立場の人で、業務も知っていて、システム内部(作り)も知っていて、メンバーの管理もやって、責任も取る。しかし、人事権や決定権は持たない。という、こう書くと『誰もやらないんじゃないか?』と思われる大変な人たちのことです。しかし、現場リーダーがいないとプロジェクトは回りません。本書では、現場リーダーの主な仕事内容、持つべき価値観、著者の経験を踏まえたTipsなどが書かれています。現場リーダーには、以下の3つの仕事があります。1.目的/課題/アクション まず、システムを作るための目的を明確にする。 そして、現実とのギャップを課題として取り上げ、 What課題とHow課題に分類する。分類後トリアージにより、 やるべきこと、やらないことにさらに分ける。 課題がわかったら、それを解決するためのアクションを決める。2.メンバーを演出 現場リーダーは、まず「チームありき」の姿勢でいなければならない。 メンバーに気持ちよく仕事をしてもらうために、メンバーを演出する。 演出は、3つのプロセスを経て行う。 このプロセスの中で、価値観の共有や役割分担の 明確化などを行う。 ※気持ちよく仕事をしてもらうとは、おだてるとかではなく、 メンバーを適材適所配置し、高いモチベーションで望んでもらうこと3.トラブルを克服する 「真実より事実」を基本とし、トラブルに立ち向かう当たり前のことに思うかもしれませんが、上記3つは非常に重要な基準だと思います。私もシステム開発プロジェクトをいくつか経験しましたが、3つすべてをこなしているリーダーには出会ったことはありません。1.のアクション部分では、「アクションかんばん」や「朝会」などのTipsがあり、すぐにでも実践で試せる内容が書かれています。現場リーダーを目指す人、やりたくないけどやらされて戸惑っている人には是非読んで欲しい一冊です。☆ ニュートラル☆ 視点の切替☆ 「ぶれない」お薦め度:★★★★☆+身に付く技術書評後記プロジェクトメンバーから現場リーダーになったとき、一番初めに戸惑うのは、視点の違いだそうです。普段からプロジェクト全体を見るようにすることで、いざリーダーという立場になってもぶれない立ち振る舞いができるように思います。マインドマップ