新生のらくろ君Aの館

2010/09/09(木)05:53

ODAは賠償なのか

6年ほど前だったか、日経の「あすへの話題」で東大の山内教授が「ODAは賠償なのか」というコラム記事を書いていた。 私は15-6年前にコンサルタント会社に出向し、ODAの関係でジンバブウェに駐在したことがある。元々は造船設計が専門だったので、その時は、ODAの何たるかを全く知らなかったといってよい。 にわか勉強で、白書を買ったりして勉強したが、ODAには次の3つがあるということだ。 1.無償資金協力 2.有償資金協力 3.技術協力 である。無償とは、寄付(プレゼント)であり、ドネイション(Donation)と呼んでいる。 有償とは、超低金利でお金を貸し付けるという意味だが、返済期間はべらぼうに長期間であり、ローン(Loan)と呼ばれている。 技術援助には、無償のものもあるし、有償のものもあるといった具合である。 担当する日本の機関は外務省の国際協力機構(JICA)である。 私が関係したジンバブウェでは、田舎の国道沿いに6つの橋を無償で架けるという工事であった。 雨季と乾季が分かれる国では、乾季に橋など必要はなくなるが、雨季には、甚だしく雨が降り、河床から3mくらいの従来の石造りの橋では全く使い物にならないといった具合である。 完成後の日本がドネーションした橋は、豪雨で濁流が流れる場合でも供用できるというもので、これは日本などにいればごく当たり前の橋である。 今や、政情が不安で、経済がぼろぼろ、強権独裁政治のジンバブウェであるが、それらの橋は地方の人には役立っているのだと信じたい。尤も、どれほどの人達がその橋の恩恵を受けているのかについては、大いに疑問を持っている。 日本がODAを行うのは何のためか、単純に友好親善のために、というわけではないと言うことで、アフリカでの場合などは、よく国連での安全保障理事国になるための票集めであるとも言われていた。 しかしなかなか実を結ばないのが現状である。 新聞によると無償援助の額は1999年度から9年間減少を続けているという。 バブルの頃は、ODA額は世界一と何でも世界一が好きな国民性から年に1兆3000億円程度の海外拠出を行っていたわけだが、国内景気の低迷などで年々その額は減少している。国内が疲弊している時に何も外国の貧困を助ける必要があるのかというのはもっともな話である。しかしおつきあいのお金はいくらかは必要であるが、その適正額は分からない。 山内氏が言っているのは、対中国のODAである。日本がODAの累積総額が1番多いのは中国であり、その額は2007年度末までで、無償が約1472億円、有償が約3兆2079億円、技術協力が約1505億円だということである。日本は中国に対し多国間援助と合わせて約6兆円ものODAを行っていることになる。(ウィキペディアによる) これに対し、中国の要人は感謝の意を表しているというが、口先だけであることは明かである。本当に感謝しているのなら、山内氏が言うように、両国間の摩擦がひっきりなしに起こるのは何故だろうかということになる。 言うこととやることがこれほど違う国も珍しく、そのような些末なことは気にしないというのが中国の立場であろう。5-6年前でもこういったことがコラムに書かれているが、その後、日中関係が改善されたとは言いがたいと言うより、更なる挑発行為が続いている。 現在の中国がアメリカを意識していることは明かで、中国のミサイル照準は、対アメリカ向けは外されたのに日本向けの照準はそのままだというのである。あの第二次世界大戦で狡猾にも北方領土をかすめ取ったロシアでさえ対日ミサイルの照準を外したのであるから、中国の行動は異常としか言いようがないと山内氏は言うのである。 中国側のODAに対する発想は、「敗戦賠償」だと言う考えなのかと疑問を呈している。しかし、終戦後中国側が敗戦国に賠償を求める権利を放棄したということなのだから、ますます奇怪な行動である。 今民主党の代表争いが佳境であるが、その小沢氏は、政治資金規正法違反で極めて黒に近い男である。その男が、民主党の主に1年生議員と共に大デレゲーションで、中国の胡錦涛主席に握手をして貰いに行ってご満悦であったのだ。 昨日の菅首相との討論会では、言いたいことをお互いに言い合うと言いながら、あの時どれほどのことを言って帰ったのか全く分からない。この男も、中国同様、言っていることとやることの矛盾が著しいことは人後に落ちない。 中国は尖閣列島の領有権問題を未だに主張し、小沢氏は、これに異を唱えたと言っているが、一寸言ってみただけなら、言わないのに等しい。また、東シナ海におけるガス田問題も、最近は中国のやりたい放題で、中国は海軍をバックに、日本への示威行動が顕著となってきた。これに対して、日本側はおとなしく、未だに善隣外交を遵奉し、せいぜい対中国政府に「困るよ、こんな事しちゃぁ」てな具合に厳重抗議をおこなった程度である。 甘く見られるより、べろべろと汚い舌で顔を舐められているのに何も出来ないというのが今の日本の姿である。この中国の日本の排他的経済水域(EEZ)侵犯をもって、やっと目覚めたのか、日本は中国へのODAに関し、有償と無償の資金協力を2008年度を最後に打ち切ったのである。 最近は、あからさまに、中国海軍が、第一列島線を超え、日本の沖ノ鳥島付近まで悠々と行動するのを許している。なにをか況やである。 有償・無償はストップしたのも、遅きに失したのだが、それでも対中国への技術援助は続けているのである。世界の工場から世界の市場へと発展し、大雑把に日本の13倍の購買力の可能性があるわけで、この度GDPもアメリカに次いで第2位になった、それ程の国に貧しい国内事情を抱えた日本が援助をしなければいけないかということである。 今までのODAについても、中国国民には行き渡っておらず、中国共産党が一手に握りそれをそのままアフリカにODAなどに回すことで、アフリカの資源を独り占めしようとしているわけである。 どこを持って国交正常化といい、どこを持って成熟した大人の関係だというのだろうか。 歴史を知るものには、大昔の小野妹子や、菅原道真時代を思い出す。まさに朝貢外交であり、ODAは正に、中国に対する進貢にほかならなかった。こんな中華思想を未だに営々と持つ中国とうまく付き合う手はないのだろうか。正直、このままでは全くないと言わざるを得ない。 如何に「よっしゃ、よっしゃ」(田中角栄)の秘蔵っ子であっても、小沢の天下になれば、言葉とは裏腹に、対中国朝貢外交に磨きが掛かる気がする。 アメリカを逆なでし、中国に頼ったからと言って、日本に得るところはないと考えている。

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