2008/05/26(月)15:07
「有頂天家族」森見登美彦著
有頂天家族
「有頂天家族」森見登美彦著
京都を舞台に暗躍するタヌキと天狗、そして人間。
宮崎アニメのような雰囲気もあるが、独特の世界を創りつつ、
物語はハチャメチャに進行する。
峰不二子を思わせる人間なのに天狗の能力を持った弁天が
なかなか良い味を出しています。
主人公のタヌキたちに取っては、文字通り、出汁にされて
良い味を出してしまうかもしれませんが・・・。
「阿呆の血のしからしむるところさ、兄貴」
二匹の蛙が井戸の底から丸い空を見上げている。
弁天は何も言わず、ただ、ぽたぽたと塩辛い涙を落としている。
井戸の底から見える景色などたかが知れているけれども、
空と星だけはよく見える。
だから井戸の底の蛙だといっても侮ったものではない。
世間は狭いが夜な夜な宇宙を見ているのだから、
いわば宇宙的規模の蛙さ。