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テーマ:日々自然観察(9868)
カテゴリ:土方歳三
石田散薬ってなにサ?と言うオハナシ。
~由来~ 石田散薬は宝永年間(1704~1711)に多摩川の深淵に棲み悪さを働いていた河童明神を土方家の先祖が懲らしめた際に伝授されたと伝わる家伝相伝の漢方薬。 河童明神のお告げ。なにやら胡散くさ~いと思うなかれ 古来、いわゆる民間薬にはこの手の話は付き物で特に河童に関するお話は古今東西善しにつけ悪しきに付様々な伝承があります。 河童は相撲好きでそのために骨をくじいたりすることも多く打ち身、くじき、骨折の治療に長けているとか。 河童から伝授された秘伝の薬と言うのは驚いたことに他にもある。 「猫山アイス」と言うのをご存知だろうか。 深緑色の粉末状の「猫山アイス」を水で解き、和紙に塗って湿布すると打ち身・挫きに良く効くそうでなんと平成元年まで製造販売をしていたそうな。 なにやら石田散薬に似ていないかい? もっと驚いたことに あの芹澤鴨の実家にも「万病円」という河童から教わったと言う傷薬の秘伝薬があると言う。 こちらの伝承は「河童の恩返し」という民話となり今でも茨城県玉造町(芹澤さんの実家)で語り継がれている。 どれもみないたずらが過ぎた河童を懲らしめる為腕を切り落として持ち帰ったが、河童が腕を返してくれと頼むので返してやると喜んで薬の製法を伝授してくれた。と言うもの。 ふうん。 土方さんと芹澤さん。 実は気が合ったんじゃないかしら?と思えるようなオハナシですなぁ ~効能~ 土方家の石田散薬は昭和23年、薬事法の改正によりその製造を中止しましたが薬としての効能がどうの、と言うよりは その製造方法である「黒焼き」がイカン。という事で中止になったらしいです。 そうか。 民間療法と侮るなかれ。 牛額草は立派な薬草で、その止血効果、切り傷、打ち身などの外相に効くと言う薬効成分は知られているのだ。 なにより、そんな宝暦年間の昔から作られていた薬がニセモノならそんなに長く皆が使わないって。 そういわれると説得力あるなァ。 幕末期には「接骨・ほねつぎ・打ち身・くじき・きりきず」と外傷にも効果あり。とされている。 明治以降になると「骨接ぎ・打ち身・くじき・筋つれ・腕腰痛み」となっているそうな。 石田散薬作りの(というか、そのための牛額草刈で)筋肉痛になった私たちには飲みたい薬かも。 本末転倒のような気もするが…。 特に最近、脹脛が良くつってしんどい思いをしている私にはうってつけだったんじゃん? そう思うとなにやら残念だなァ ~服用方法~ 基本的には頓服。 「大人1日1回1包づつ、子供半包づつ1日2回を燗酒にて服用。白湯にても可。」 だそうで、子供にも酒で飲ませるのか?と思いきや白湯にても。と言うのは子供用かな。 湿布のように酒で練って患部に塗っても良いそうで、その辺は「猫山アイス」と同じですな。 でもやっぱり酒服なのね。 有名なそしてそれゆえに胡散臭いと言われがちなこの「酒服」という飲み方は古来より使われていて決して珍しい飲み方じゃないそうな 言われて見れば「酒は百薬の長」と言うのは誰でも知ってる言葉だし、多少の飲酒は血液の循環を良くするのは周知の事実。 酔いで痛みを忘れるという効能もプラス? そうなのか。 ~販売方法~ 土方さんが薬の行商をしていたと言うのは知られたハナシだけど、別に某TV番組のように神社の境内で口上を述べて売ってた訳ではなく、得意先の薬屋・雑貨屋などに薬を卸して半年毎に訪れて売れた分の代金の徴収と、その分の薬を置いてくるという「富山の薬売り」方式だったそうな。 江戸の取次ぎ所も9箇所あり、土方家の親戚などがその取次ぎ所となっていて試衛館も近くだったとか。 村順帳と呼ばれる卸先が書かれたお得意様リストには都内では豊島・世田谷、他山梨県の猿橋・郡内地方、埼玉県の川越・所沢・扇町屋、神奈川の横浜・川崎とあり、 かなりな広範囲 これを詳しく見ていけば土方さんの行動範囲がもっと良くわかるんだろうな。 山梨県猿橋。といえば甲陽鎮撫隊が辿ったアノあたりも実は勝手知ったる場所。と言うことになりゃしないだろうか? おまけ ~虚労散薬~ 佐藤彦五郎家に代々伝わる家伝の薬。 やはりミゾソバを黒焼きにしたもの。と伝えられている。 残念ながらこちらはほとんど史料が残っておらず、その製法・販売方法など不明だが日記にはその売買に関する事が出て来るそうな やっぱり土方さんが石田散薬と一緒に卸して歩いたんだろうか? 沖田さんが飲んでいた。と言うのはまぁ、有名な話ですが 文人・狂歌師としても知られる蜀山人(大田南畝)も娘のために虚労散を注文したそうな。 そんなわけでなかなか侮れない「石田散薬」なのでした。 参考:土方歳三資料館・日野市郷土資料館 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年07月23日 00時28分43秒
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