2010/05/24(月)21:08
引退試合
引退試合なんだと。
負けたらもう試合はおろか部活も行かないんだ。と。
そう言って、でもいつもと同じようにばたばたと出かけていった。
いつものように。
そう、いつものように
「がんばってこいよ~」としか言えなかった。
思えば、6年前、友達に誘われてはじめた部活。
セミプロ並に上手な友達についていくのにも、今までいなかったキビシイ先生も大変だったろう。
カラダはもうぼろぼろで「どこがいたいのかもわからない」と胸がつぶれそうなことをつぶやいていた。
それでもキミのクチから「辞めたい」とか「ツライ」とか聞いたことは無かったね。
いつだって「辞めてしまえ」「もう行くな」とくじけているのはワタシのほうで。
進学して、思いっきり部活をしたいだけなのに、
○○出身。というだけで期待され、頼られ、アテにされて部長さんになった。
自分が必死にやるだけでは治まらない「責任」を背負い、時にはつぶされそうになり、時には投げ出したくなったろうに、それでもナントカつとめてた。
何度「辞めてしまえ」と言いたかったろう。
何度「もういいじゃん」と言いたかったろう。
それでも
歯を食いしばって、泣き言も言わず必死にがんばる姿を見て、笑顔で送り出すしか出来なかった。
何にも知らない振りをして「がんばれ」と送り出すしかできなかったよ。
そして。
とうとう。
引退試合なんだよ。これで、もう、終わり。
そういって出かける後姿を泣きそうになりながら見送った。
戻ってきたらなんと声をかけようか。
ナニかしてあげられることがあるんだろうか?と思いつつ
いつもどおり
「おかえり」
としか、言えなかった。
この日で終わる筈だった部活。
後輩ががんばってくれたのだと。
「先輩とコレで終わりにしたくないです」と、がんばってくれたのだと
泣きそうになりながら、うれしそうに話してくれた、その姿に笑うしかなかったケド。
よかったね。
眼に見えない、素敵なものを沢山手に入れていたんだね。
体がぼろぼろでも、文句もグチもいいながら、それでもキミががんばってきたことは何一つ無駄になって無かったよ。
キミの中に一本、通ってるスジは、時に誤解され、時に笑われても。
キミがそうして通している限り、きっと誰かが見ていてくれるよ。
そうやってまたヒトリ、羽根の中からいつの間にか羽ばたいてしまっているキミに。
どうか自分を大切にして信じた道を行け。と、遠く密やかに祈るだけです。
信じろ。
自分を。
信じろ。
その道を。
そうしてもしも。
もしも、疲れてしまったら。
きっとここに私はいるから。
羽ばたいたキミを想い、キミを応援して、キミを信じて、ずっと、ココにいるから。
さみしさを誇りに想おう。
このなんとも言えないさみしさを抱えて、祈ろう。
どうか世界がキミにやさしくありますように。
未来が、キミにとって輝いて見えますように。
「未来は、きっとキミのもの」
でも。
さみしい、ねぇ。