blog the seventeen（いまの気持ちを17文字で）

久しぶりに実家から電話。
いつも冷静な母がちょっと興奮気味。

　「とうとうお父さんが賞をとったよ」

賞をとるとかとらないとかからはずっと縁遠くなった私。
でも、油絵を趣味とする父は、もう何十年も毎年毎年この賞に挑戦していました。
昨年は１票差で賞を逃し、それでも腐らず今年もがんばっていたようです。
途中から父が電話に出ました。

　「８８歳になってやっとスタートラインにつかせてもらった」

などと謙虚なことを。
近隣のいくつかの市町村の素人画家たちが集まって作っている美術組織。
そこで開かれている展覧会の小さな、賞です。

その入賞を一つの目標にしてきた父はようやく一区切りがつきました。

次々と若い人たちに追い越されても愚痴を言わないのは何より絵を描くのが好きだから。
お腹の具合が悪かったり腰痛が悪化したり。
そのたびに母にたしなめられたり、叱られたり。
それでも毎年、必ずその展覧会に新しい作品を出展していました。

帰省するたびに新しい作品をうれしそうに見せ話してくれる父。
内心「またか」と思ったりもしながら、あれやこれや批評めいたことを言うと喜ぶ父。

　「もう賞はいい」など弱気な発言もありましたが、諦める気はなかったようです。

今度いつ帰省できるかわからないけど、帰ったら賞をとった作品をじっくり鑑賞し、
絵を肴にいっしょに祝杯でもあげましょう。