年金引き下げに思う
あまり大きなニュースではないが、年金支給額が減ったことが報告されている。厚労省が2017年度の公的年金支給額を0.1%引き下げると発表した。年金額を決める際にはその前の年の物価水準を指標とする。2016年の物価水準が下落したため、3年ぶりの引き下げが決まった。今年の6月に支給する4月分から適用されるようだ。国民年金の方が満額で6万4941円。これは前年度比で67円の減額になる。厚生年金は夫婦2人の「標準世帯」で、227円減の22万1277円となるらしい。2人が全く同じ年収で同じ期間務めていたと仮定すると1人辺り11万638円となる。ただ、現実にはそういう場合は非常に少ないだろうから、夫が12~13万円、妻が9~10万円というところなのだろう。減ったと言っても0.1%ならさほどの問題にはなるまい。物価が下がる理由はいろいろとあるが、昨年に関しては原油価格の下落が大きかった。1月にはWTI原油が1バレル30ドルを割り込み、回復後もほとんど50ドルには届いていない。これだと日本の企業は製品を比較的安く作れてしまうため、さほどの無理をしなくても価格を抑えられるわけだ。そこに相変わらずの日本人の「非消費志向」が加わり、安い物ほど売れる、いや、安い物でないと売れないという仕組みができ上がる。大げさに言えば、デフレから脱却できない悪循環にはまったままなのである。原油価格は我々素人にはどうにもできない。だからせめて、消費活動を活発にして物価を上げる方向へ持っていかなければならない状況である。ところが日本人は、バブル崩壊後に1/4世紀かけて身に付けてしまった節約意識をどうしてもぬぐい去ることができない。株価が騰がろうが、貿易収支が黒字になろうが、何をどうしても金を遣わない。残念ながら今の日本は、景気を回復できる方向には向いていないようだ。この手の悲しい話を今までに一体何度書いたことだろう(笑)。本当に生活が苦しい人達を除けば、「金を遣わない態度」を貫いているのは自分たちなのだから、「え?年金がまた減るの?」と文句を言うことはできないはずだ。年金を上げたいのならば、物価が上がるよう自分たちが消費しなければならないのである。ちなみに私は昭和33年の1月生まれなので、4年後の63歳から年金がもらえる。ちょうど今日、その通知がうちに届いた。ただ、残念なことに厚生年金には316ヶ月(26年4ヶ月)しか入っていない。その前は個人事業主だったため、10年以上国民年金だった。今さらながら「もっと早くから会社組織にしておけば…」と悔やんでいる(笑)。おまけに直近10年間は給料が非常に低いため、保険料の納付額も少なかった。その結果、63歳から2年間の年金額は月わずか79,789円である。女房の支給開始は62歳からだが、6年後からなのでぎりぎり時期的に重ならない。65歳になれば国民年金と合わせて14万円ちょっともらえるようになる。だが、それまでの2年間は年金以外の収入がなかったら到底生活できない金額である。Yahoo!の知恵袋では、61歳から月額10万7,000円もらえる人(加入期間363ヶ月)が「低すぎる!」と叫んでいたが、私から見たら羨ましいくらいだ(笑)。やはり今の時代、63歳から年金生活をしようなどという甘い考えは通用しない。65歳どころか70近くまで、「働ける人は働きなさい」と国が尻を叩いている。自分の場合はやろうと思えば好きなだけやれる零細企業の社長だ。この際、後継ぎがいないことを逆手に取り、開き直って働き続けるしかないだろう(笑)。