2009/02/07(土)02:11
続き 文部科学省<「心を育む」ための5つの提案>
さて、前の日記文部科学省<「心を育む」ための5つの提案>の続きです。
この「5つの提案」は、文部科学省のHPにPDFが掲載されています。
◆「心を育む」ための5つの提案
~日本の良さを見直そう!~
↓ 平成21年2月3日 文部科学大臣 塩谷立(PDF:61KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/02/__icsFiles/afieldfile/2009/02/04/1236056_002.pdf
以下、この提案をご紹介します。
まず、書き出しは以下のとおり。(青字部分は上記PDFより引用)
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携帯電話に代表される情報化の急速な進展等に伴い、人と人の絆の弱体化や、家庭や地域の教育力の低下など、日本に昔からあったよさが次第に失われつつあると感じています。
いま、社会生活を営んでいくための基本的倫理観や自制心・自立心を育てるなど、「心を育む」取組を重視していく必要があると考えます。
4月から先行実施される新しい小・中学校の学習指導要領では、道徳を充実させ、公共の精神や伝統・文化を重視するとともに、体験学習を通じて感動を覚える多くの機会を設けます。
しかし、「心を育む」取組は、大人も子どもも地域も一緒に、社会総がかりで実行することが必要であり、このたび、5つの具体的な提案をします。
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書き出しは、「携帯電話に代表される情報化の急速な進展等に伴い」とあり、「等」とはなっているものの、子ども達の携帯電話とネット利用にかかわる問題が前面に出てきています。
文科省は、1月30日に、
◆「学校における携帯電話等の取扱い等に関する調査」の結果について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/01/1234723.htm
を公表していますし、1月31日にも、
◆学校における携帯電話の取扱い等について(通知)
文部科学省初等中等教育局長 金森越哉
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1234695.htm
を発表しています。
この通知では、学校における携帯電話の取扱いについて、小中高等学校、教育委員会に対して、携帯電話の学校への持ち込み原則禁止(小中学校)や使用についての制限(高等学校)、の指導の徹底を求めています。また、携帯電話等を通して、子ども達が有害情報にアクセスすることや犯罪にまきこまれることを防止したり、「ネット上のいじめ」問題に対処するには、「学校だけでなく、家庭や地域における取組も重要」、「学校・家庭・地域が連携し、身近な大人が児童生徒を見守る体制づくりを行う必要がある」として、家庭や地域に対する働きかけについても啓発活動を積極的に行うよう求めています。確かに「ネット上のいじめ」にしろ「犯罪被害防止」にしろ、学校での指導には限界があり、それぞれの家庭、地域社会の「身近な大人達」が動かなければどうにもならない領域です。
そして、携帯電話やネットの利用だけでなく、今の子どもたちの「生活指導」は、学校内で完結できない問題が多々あるだろうとは思います。まさに、「人と人の絆の弱体化や、家庭や地域の教育力の低下など」という問題があるわけです。
けれども、そのような状態を、「携帯電話に代表される情報化の急速な進展等に伴い」その結果として理解しようとするのは無理がある、というか言葉足らずではないでしょうか。「等」という文字が入っていますけど、「携帯電話に代表される情報化の急速な進展」が原因となって、「人と人の絆の弱体化」「家庭や地域の教育力の低下」が現れているとは言えないでしょう。「人と人の絆の弱体化」や「家庭や地域の教育力の低下」は、携帯電話やネットの急激な普及よりも前から指摘されていたはずです。
「人と人の絆の弱体化」の一つの現れとして、若者や子どもたちに見られるケータイとメールを介した広く浅い友人関係に注目するとしても、ケータイとメールがあるから「弱体化」したのではなく、広く浅い友人関係を保つのにケータイとメールが便利だった、ということではないかと思います。「家庭や地域の教育力の低下」の問題も、やはりその教育力の低下を補うために、「情報化」がより進展したと考えた方が良いでしょう。
そして、「失われつつある」「日本に昔からあった良さ」という言葉が意味しているものが、提示されている問題の逆、「人と人の絆が強く」「家庭や地域に教育力があった」社会が持つものとしてとらえるならば、「人と人の絆」や「家庭や地域の教育力」が失われるようになったのは、まさに、そのような社会を壊す形で、日本の経済が発展してきたと言う事ができるのではないでしょうか。
サラリーマンである「サザエさん」の波平さんやマスオさんは、子ども達と一緒に夕食を食べることができる時間に帰宅していますが、今、子どもが起きている時間に帰宅できるお父さんがどれくらいいるでしょう。「ドラえもん」のジャイアンの家は個人商店で、ジャイアンの将来として漫画に描かれる夢は、その店を大きなスーパーにするということだったりしましたけれど(歌手はまた別の夢ね)、現実の21世紀には、個人商店として生き残るのが難しくなっているでしょうね。24時間営業のコンビニのチェーン店になるか、店をやめるか、という選択に迫られているのではないでしょうか。
あの「教育再生会議」でさえ、「ワークライフバランス」を提言に入れなくてはならなかったほど、「生活の場」はやせ細ってしまっています。
「心を育む」取組は「社会総がかりで」、確かにその通りです。
子ども達が心身ともに健やかに育つ環境を整えるのは大人の役割ですし、学校でできることなどごく一部に過ぎません。
でも、この「5つの具体的な提案」はどうかな・・・
続きは次の日記に書くことにします。
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