2008/12/04(木)14:32
おすすめの本のおすすめのフレーズ
杉山です。
先般、どん底まで落ちる経験の大切さを書いたのだけど、
「そうそう、そういうこと」
というのが、上田紀行さんの『生きる意味』(岩波新書)に
載っていたので、ご紹介したいと思います。
上田さんの本は、どれもこれもめっぽう熱いです。
なかでも「生きる意味」は
NPOやってる人にはおすすめだなー、ぜひ、読んでほしい
なーと、珍しく「すすめたく」なる感じでした。
こんなに似たようなことを言っている人がいたのに、
今まで気づかなかったのも惜しかったのだけど、
NPOの人たちが理論武装するときに、
彼の主張は論拠になる気がします。
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何のために生きているんだ?という「生きる意味」の喪失
が、今の日本人の生きづらさにつながっているのではないか
という問題提起から、ではどのようにして、一人一人が
自分の生きる意味をつかみながら生きていくことができるのか
について、書いています。
2006年の大学入試では最多出題されたそうで、わかりやすい
文章なので、ご興味のある方はぜひ読んでみてください。
で、一部抜粋すると、
私たちの多くは、人生に「苦悩」があることが問題なのだ
と思っている。だから「苦悩」が起こらないようにとびくびく
しながら生きている。
しかし、問題なのは「苦悩」が生じるかどうかよりも、
その「苦悩」が孤立化してしまうかどうかだ。
もしあなたに、「苦しみ」が生じても、もしその「苦しみ」を
聞き届けてくれる仲間が、友人がいれば、もちろん苦しい
ことは苦しいにしても、あなたの「苦しみ」はそこで
受けとめられ、新たな「生きる意味」へと展開していく。
そして、一番苦しい時期を何とか耐え抜き、その「苦しみ」を
「内的成長」へと育てていくときへとつなげていくことができ
るのである。
で、「苦悩」を支えるコミュニティーとして、
家族といった「近景」と、国家といった「遠景」の中間、
「中景」というか「中間社会」の必要性を語るわけです。
それは「回復」ではなく「再創造」。
生きるのって、楽しいことばかりじゃなくて、大変なことも
いろいろあるよね。
受験勉強したり、そのプロセスのなかで、「自分は何がした
いのか」とか「自分は何者か」について悩むことは当然やって
きたことだと思うし、
それもしないで、偏差値と人気で進路を選んできた自分に
「とほほ」になるのも「苦悩」だと思うし、
「みんなと違う」意見を持つわたしに気づくのも「苦悩」だし、
「子育てがこんなに大変だなんて、予想もしなかった」
のも「苦悩」だし、
「悩んでいるのはわたしだけ?」とうろたえるのも
「苦悩」。
わたしはそういう「苦悩」(生きる本質)がちらりとでも
見えたら、あわててふたをして、見なかったことにしたり、
逃げ出したりしてごまかしている人のほうが、ヤバイと
思ったりするわけです。
自分を大事に生きたいと思う人は、やっぱりどこかで
「苦悩」します。
それは生きるうえでの大事な通過儀礼だから、
しょうがない。
「苦悩」は一人一人のもので、誰かが代わりに肩代わり
することはできない。
そのかわり、そばにいるよ、
苦悩しているあなたを支えるよ
というのがコミュニティなのだと思う。
わたしたちは、それが大事だと言っているし、
それを子どもたちのためにつくろうよと
言っているんだと、改めて思いました。
誰もがそれに気づいていて、早くに気づいた人は
すでにもう動き始めている2008年の暮れ。
ランキングだとか、キャンペーンだとか、
なんだかんだと「消費」をあおられても、「もういいよ」
というのが、今の正直な気持ち。
なんとか、身の丈にあった暮らしを大切にする、
コンパクトシティに組み替えられないかしらん・・・
と思っているのは、わたしだけではないと思うのだけど。