4つ葉プロジェクト

2009/09/03(木)07:42

繊細さ、が身上です。

杉山千佳(子育て環境研究所)(1000)

杉山です。 (すみません、てっきり今日が水曜日だと勘違いしていました) 先日行われた少子化対策特別部会では、学童保育、子どもの 放課後の過ごし方についての議論が行われました。 「昨日はお友達の家、今日は公園、明日はプール、明後日は  学童クラブで宿題をやる・・・・。  子どもはそんなふうに好きに過ごしたいのではないでしょ  うか? それは、親が働いているとか、いないとかに  かかわらず、そうなんじゃないでしょうか?  わたしたちは『地域で子育て』と言っています。  それは、地域のいろいろな場所を子どもたちが自由に  走り回って、思い思いに過ごすことを言うのか、それとも    地域のおじさん、おばさんが学校なりの場所にやってきて、  子どもたちをどこかひとつの場に囲い込むことを言うのか、  もっともっと議論をする必要があるのではないでしょうか」 といったことを発言させていただいた。 (入れ知恵をしてくだすった、Tさん、Tさん、Yさん、  ありがとうございますっ) ごくごく控え目に、「親の安心。子どもの安全」といった観点 からの発言もあったけれど(それももちろん大切)、 ついには、 「子どもの秘密に配慮する指導員の専門性」にまで言及するこ とができた。 霞が関の一角で、そうした発言ができたこと、できる場、であった ことを、いまさらながら、うれしく思う。 「わたしはもう学校へは行かない。あそこは私に苦痛を  与える場でしかないの」 「失礼ね。わたしだって子どもの頃は連れションぐらいし  たわよ!」 というわたしに、 「なんで?」と息子。 「普通の女の子になりたかったから・・・」 「・・・・(あなたが?)」 みたいな会話ができるぐらい、わたしたちは強くなったの だけど、群れないと生きていけない女子のうざったさには 「いやはや、まったく」の気分だったし、いまも、うんざ りだ。 西の魔女が死んだ 梨木香歩 新潮社の   主人公のまいは、「学校には行きたくない」と、ママの目を 見てじっと諭すように言えたし、 ママは、娘の様子に、観念し、「まいがこうまで言うのは よっぽどのことだ」と思い、 「どうして?」とか「いじめ?」とか「誰なの?」とか 「みんな行ってるのに」とか「学校に行かないと大変なことになる」 とか「あなたのためを思って言ってるのよ」とか「お願い。ママの ために、学校に行って(涙)」とか、  (あーもー!!)みたいなことを、ずけずけ聞いたり、 言ったりしなかった。 じゃないと、とてもではないが、ママもまいも 魔女の末裔にはなれないわけだけど・・・。 で、「感受性が強すぎて」「昔から扱いにくく」「生きて いきにくいタイプ」の女の子は、誰に指示されたわけでなく、 自分の意志で、魔女修行を始める。 西の魔女の魔法の言葉が、本書には、あちこちに ちりばめられている。 「まいと一緒に暮らせるのは喜びです。私はいつでも  まいのような子が生まれてきてくれたことを感謝して  いましたから」 「ママは、まいに見せたくないものを片づけに行ったん  です」 「おばあちゃんの言う精神力っていうのは、正しい方向を  きちんとキャッチするアンテナをしっかりと立てて、  身体と心がそれをしっかり受け止めるっていう感じですね」 「悪魔って本当にいるの?」と聞く孫娘に、簡単明瞭、 「います」と、応える魔女。 「でも、精神さえ鍛えれば大丈夫」。 鍛え方は・・・・ 「早寝・早起き・朝ごはん」(笑)。 文科省の標語も、こんなふうにして伝えることができれば、 子どもたちは大喜びで、修行するでしょうに。 「悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、  いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、  自分で決めたことをやり遂げる力です。  その力が強くなれば、悪魔もそう簡単にはとりつき  ませんよ。  まいは、そんな簡単なことっていいますいけれど、  そういう簡単なことが、まいにとってはいちばん  難しいことではないかしら」 鋭い魔女の洞察力。そんな暮らしのなかで、まいは、 学校では絶対得られないようなたくさんの経験を することができ、西の魔女に「東の魔女」と言って もらえるぐらい、成長していく。 「今度わたしのクラスは、珍しいことにそれぞれの  グループがお互い友好的になろうとしたらしいん  だよね」と言うまい。 「そういうことも可能なんですか?」 「うん、簡単だよ。みんなで、だれか一人を敵に決め  ればいいんだもの」 「・・・・」  これだけ聞けば十分だった。 言えたね、まいちゃん。 と、この、精一杯生きている小さな少女のことを、 わたしたちは思わず抱きしめたくなる。 そして、西の魔女の貫禄を見せつけるのは、 転校という解決策は、敵前逃亡みたいで、根本的な解決 にはならないのではないかと思う孫娘に、 「根本的な問題の解決なんて、まいのような新米の魔女  見習には無理ですよ。  この場合の根本的な問題は、クラス全体の不安ですか  らね。クラスのみんながそれぞれに不安なんですよ」 と、ズバリ言うところ。(ここからさきの会話も秀逸なのだけど、 そこは読んでのお楽しみ) う。おばあちゃん、わたしももう一度魔女修行させてく ださいって気分。 おばあちゃんは、にやりと笑って、 「あなたはもう修行している年齢ではありません。  しっかりと魔法を使う年齢に達しているはずです。  そんなこと、あなただってわかっているでしょう」 と、言われてしまうことだろう。 ここまで書いて、しみじみと、梨木さんが河合隼雄さんの 愛弟子さんであったことを思い出した次第です。 転校して、ちょっと強くなったまいとショウコの 晴れ晴れした続編も収録されています。 「みんな(とやら)に群れられないわたしって、  ちょっと変?」 「この子、わたしのおなかから出てきたとは思えないぐらい、  育てにくい子・・・」 と悩むママたち、よかったら、ぜひ。

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