2010/01/03(日)22:36
自然との共生 そして、自然そのものの子どもたち
完全無農薬の米作りに挑戦しはじめて5年目になります。
昨期は水が豊かでお天気もよく、台風の被害もなかったので
大きく育った稲穂を見ながら収穫をとても楽しみにしていました。
しかし、イノシシの被害が大きく、例年のイノシシ対策も全く功を奏さない状態で
無残に荒らされた畑を見ながら、「自然との共生」という言葉の
重さをかみしめていました。
今年は、除草に「トロトロ層」というのに挑戦してみましたが根腐れした上に、
わな解禁になる前にイノシシに入られて踏んだり蹴ったり。
うまくいかないものです。
米作りも5年目になりずいぶんと慣れましたが、
始めた頃、何よりきつかったのは体力よりも、
田植えの日も稲刈りの日も、お天道さんのご機嫌次第という予定の立たない
自然相手の仕事ということを受け入れることでした。
その上、これほどの手間隙をかけて1年目の収穫は1俵(60キロ/5畝)程度。
米なんていつでもスーパーに行けば簡単に手に入るのにと
心底うんざりしている私がいました。
ずいぶん前にある新聞のコラムで養老孟司さんが
「少子化の原因は今の親達が子育てほど手間隙の
かかることをしたことがないからだ」と書かれていました。
スイッチひとつで全てのことが賄える今の世代にとって
子育てとは心底いやになるくらい面倒なことでしょう。
先日行ったシンポジウムでは講師の先生が
「子育てとは、同時にいろんなことをしていく技術、そして
何がおこるかわからない様々な事に対応し波長をあわせていくこと」
だと言われていました。
人間の世界がこんなに便利になると、
自然相手の人智の及ばないことがあるのだということを
つい忘れてしまっているようです。
私達は自然そのものの子ども達を時に大人の思い通りの枠にはめ、
予定通りに動かせるものだと錯覚をしてしまいます。
「自然を思い通りに」などというのは傲慢なのだということを
私達は自然そのものの子ども達の命を前に忘れてはいけないことだと思います。
そして、自然そのものである子どもたちを
現代社会がどれほどに柔軟性を持って共生することができるかということが
これからの少子化対策で一番に求められるところではないでしょうか。