全国初の県商業まちづくり条例
7月4日の朝日新聞の一面記事によると、福島県は、女性の再雇用、子育て支援を充実させるため、売り場面積が6000平方メートル以上の店舗を出店させる場合、1.結婚や出産で退職した女性の再雇用に努める2.従業員用の託児所を設ける3.短時間勤務制度の導入や男性社員を含めた育児・介護休業の取得を促進するなどのガイドラインを、県の商業まちづくり条例にもうけた。ということだ。この施策のポイントは、まちづくりを目的とする言ってみれば、厚生労働省管轄外の条例において、こうした具体的な子育て支援策が盛り込まれたことだと思う。わたしはこれが、地方自治体の役割だと思う。国からタテで下りてきた施策を、自分たちの地域で使いやすいようにアレンジして使う。それには、タテつながりの部署の壁を取り払わなければならないと思う。福島県、内部では結構がんばって調整してたんじゃないかな?公共経営論の先生の「CSRの美名を借りた過度の規制」というコメントには絶句したけれど(条例のガイドラインの内容は、次世代育成支援対策推進法の企業の次世代行動計画のガイドラインからなんら外れたものではないし、そもそも301人以上の従業員のいる企業は行動計画を作ることが義務付けられているのだから、特段へんてこなことを福島県が言い出しているわけではないと思う。大型店舗の企業の人事課だったら、さほどびっくりもしないだろう。そういうこと、たぶん、ご存知なくて、コメントされているんじゃないかと思うけど、時代感覚ゼロなので、びっくり。ってゆーか、学識者先生の縦割りもなんとかしてほしいワ)、まあ、とにかく一度やってみないとわからないと思う。・・・・・・・・・・・・・・・・・わたしは昔から、妻が仕事と家庭の両立支援の制度が充実している企業に勤めている夫と夫の会社が、一番得をしているということを指摘している。具体的に言うと、どの企業も男女半々かというとそうではなく、サービス業などのほうが圧倒的に女性の雇用が増えている。そういうところほど、育児休業や短時間勤務など、仕事と家庭の両立が進んでいる。女性がうまく按配して働き方を変えながら、働き続けているのだ。企業のそのコストは馬鹿にならない。一方、そういう妻持ちの夫は、別に自分が努力しなくても妻が全部やってくれるので、子どもがいる、いないに関わらず働き方を変える必要がまったくない。夫は、ラッキーだ。もっとラッキーなのが、夫の勤める会社だ。その分のコストをみなくていいのだから。だから、「女を雇うと金がかかる」「女は使いづらい」という。だから正社員の女性は採らない。パートや派遣の女性なら、その分のコストを見なくていいので使う。でも、どこかで女性の正社員を雇っている企業があり、その企業は法律を遵守して、その分のコストをきちんと見て、女性の働く職場をつくっている。全体で見ると、相当バランスが悪いと思う。よくワークライフバランスを推進している企業から文句が出ないなあと思う。こうした働き方の問題はもはや一社の努力ではなく、企業全体でバランスをとる方策を考えた方がいいんじゃないかと思う。もっと言ってしまえば、女性が、パートとか派遣とか、そういう不安定で、賃金の安い労働をしてあげているから、亭主は、子どもが何人いようが独身時代とまったく変わらない働き方をすることができているのだ。だったら、男性の給料をもっと高くして、妻が働きに出なくてもすむように・・・というのは、昔の高度経済成長期の考え方で、これからは(っていうかもう、いまそうなってますが)、男性の労働環境も子育てにあったものに整え、女性の不安定雇用を見直すことで、夫と妻二人で働いて1.5人分ぐらいの稼ぎを維持したらいいじゃん。と思う。余談だけど、わたしの知っている共働きの夫は、結構もくもくと保育園の送り迎えなどやっている。それは、当然というか、一見、妻や子どもへの愛なのだけど、「いま、妻に辞められては、オレが困る」という直接的な動機も絶対あると思う。ボーナスシーズン。夫と妻、2人分のボーナスの総額を聞いたら、夫は「オレが多少無理してでも、こいつに働いてもらっていたほうが、絶対楽だ」というぐらいの算数はできるだろう。昨日の阿部ちゃんのドラマで、家を買うってことを揶揄して「子どもと妻と家のローンという3大不良債権を抱える」と言っていたんだけど、それはある意味、本当だと思う。「そうだけど、そうじゃない生き方を、わたしはあなたとしたいわ」と、にっこり笑える妻がいいな。