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2021/10/29(金)12:38

〈新編〉炉辺山話

本日読了(141)

2021/10/26/火曜日/小雨後晴 〈DATA〉 平凡社/岡茂雄 平凡社ライブラリー231 1998年1月15日初版第1刷     〈私的読書メーター〉 〈先に読んだ『本屋風情』。再び彼の筆に出会いたく手にする。先と重なる小編も幾つかある中、有名な観光地、上高地の当て字の出どころを探索する第二部「詮索」が白眉といえる。出版事業を通して学問に奉仕する志しを立てた岡青年。間違いがあやふやなまま世に定着するを潔しとしない徹底振りが底知れない。出版事業で学問奉仕の志しを立てた氏だが、本念は画家になる事だったという。故の石楠花風狂、屑屋の爺さん章にはくすり。良いものが世に必ずしも顧みられず、小賢しげな者が要領よく凌ぐ浮世であればせめて高山の花か氏の筆に触れるべき哉〉 あら〜推敲なき文章をインスタントに投稿するとこんな結果、の二度書き文章(´;ω;`) 岡茂雄さんに叱られそう、ごめんなさい。 この本では『本屋風情』で詳細に触れられなかった落雁除隊の背景が分かった。 四囲を山に囲まれ育った少年が、山、高原で可憐な花や神聖な風景に出会う。彼の豊かな感性は美に出会い、心を震わせ生涯を定める。 しかし裁判官の父を早く亡くし、母の負担を慮る心優しさは彼をして美術の道を諦め、陸軍幼年学校へ進ませる。 そこを通過すれば自ずと職業軍人となるが、初日の授業からして自分は誤った進路を選んだとの自覚を持つ。 それが米騒動に軍隊が駆り出されるに及んで、このような事態は警察機関が出動するもの、軍の任務でないどころか困窮している農民側を苦しめ利益を得ている米問屋を助ける所業には加味できない、と除隊される事決意する。その為のあれこれの工夫が涙ぐましい。 長谷川如是閑に傾倒した一片が垣間見える。 彼の山岳博物館構想を松本市が実現していたらどんなだったろうと想像しながら、お城周りを散歩し、鉢伏山を登ってみたい。

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