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テーマ:読書(8186)
カテゴリ:本日読了
2022/05/04/水曜日/風光る日
〈DATA〉 岩波書店/青柳いづみこ 2009年2月24日第1刷印刷 〈私的読書メーター〉〈随筆『骨董』中にご実家の阿佐ヶ谷文士サロンが登場し、いづみこさんがチラリ触れられていたと思う。初読みにして再会のような。音楽家は言葉表現は元来不得手と想像されるが、著者の生育環境を思えば二つの才能は幸福に結び付くのも道理。本書はミステリーと音楽の格好の案内本だ。書物案内に入る前段のマクラ文は日々音楽に身を投じている方ならでは。この部分頗る面白い。Bachの音の並び遊び?に思わずインターバルを感じたり「ベートーヴェンの仕事部屋のくず箱には八分音符一つ残らない」というベートーヴェン評にうなったりの登録本増加。〉 〈〈6節『血染めの部屋』後書きが先ず紹介される。マジックリアリズムなる形容は元々は1920年代に起きたドイツ芸術運動「ノイエ・ザハリヒカイト」に与えられたと知った青柳氏は仰天する。ピアノの世界で「ノイエ・ザッハリヒカイト」はテキストに忠実に私情を挟まず理性に働きかける演奏態度を指すと青柳氏はいう。そしてザッハリヒは戦後日本のピアノ教室を席巻し結果、丁寧によく弾くが個性に乏しいと評されるピアニストを80年代まで量産したと。 8節ラスト2行。『ピアニスト』は、霊感に恵まれなかった子供が、本人の意に染まない、人工的な教育を継続して受けたときにどんなゆがんだ反応を示すものかということについての絶好の臨床報告書、と論じる。幼児音楽教育に何度か言及しつつも音楽という至高芸術への瑞々しい感受性よ。本当になぜ人間ごときが音楽をもてたのかと思わされる。)) やれやれ私なんか早いうちにピアノ教室をトンズラして正解だったかも。いや、潮目がまたザッハリヒに戻る事もあり得るかも⁈エブッリッシングフロウが世の中だ。 巻末に書名索引が付されていて便利。読みたい本など一意に見られる。しかも引用箇所の頁も記し、何やら学術的。 『悪魔に食われろ青尾蠅』←このタイトル凄い、これだけで読みたくなる。いや、ならない人の方が多そうではあるが。 『いざ言問はむ都鳥』←から一冊のみの著者 『オルガニスト』山之口洋 「覚えておいた方がよい。芸術の道で己を高めたいという真摯な気持ちにこそ、悪魔がつけいるということを。悪魔の道は神の道のすぐ隣を通っているんだ」。 この言葉を覚えていた方が本当に良い。そして善意の道が全体主義のすぐ隣を通っているとか、科学は破壊のすぐ隣りとか、権力は破滅の、とか。戦争と平和はどうなんだろう。 『死の泉』←皆川博子、この作家も長年気になりながらの未読が続いている。 『ジャン・クリストフ』←これがクラシック音楽に絡む物語とは知らなんだ。 『鳥類学者のファンタジア』←奥泉さんはデビュー前後知人のお宅を借家してた縁もあり、どんな縁?何冊か読んでいるけど、これ未読。「指」の方ではないわけね。 『羊たちの沈黙』←言わずと知れた!音楽にフォーカスするとこうなるのか。 『マエストロ』篠田節子、ジョン・ガードナーのそれぞれ なども気になる。 ところで小学3年生当時の次男が私の聴いていたバッハに耳を澄ませて感に耐えなように、「世界にこんな美しいものがあるなんて」と呟き、それを聞いた私が驚いたことなど懐かしいーー主よ、人の望みの願いよ♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.05.07 14:34:04
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