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テーマ:読書(8504)
カテゴリ:本日読了
2024/08/24/土曜日/処暑の初候も半ば
〈DATA〉 出版社 新潮社 著者 宮島未奈 発行 2023年3月15日 11刷 2024年2月5日 〈私的読書メーター〉〈作者の滋賀愛が成瀬あかりを生んだ?とも思えるような、ご当地あるある情報満載なのだけど、その人気は全国区。とまれ成瀬のユニークな存在感が光る。ちょっと痛かったり夢見る夢子だったり過激だったり利発だったクラスメイトたちの顔が物語中に凝縮して見えるようでもあり、懐かしむ。しかし郷土愛というか成瀬のそれは相当珍しい。少女世界の王国の住人様な側面はまるで無縁な潔さ。なんだけど居て当たり前の幼馴染に引越しを告げられたときの成瀬の動揺に、ああこの子が真っ直ぐ生きる上で欠かせないのはスマホではなく島崎だねえ、と納得。〉 現場からでしたー、みたいな中継放送でカメラ目線で、オレ映ってる⁈とぴょんぴょん跳ねて目立ってる男の子とかいたなぁ。 コロナからこっちTVをすっかり見なくなったので、彼らがまだ賑やかにやっているかどうかは定かではない。 成瀬はひたすら黙って、西武ライオンズTシャツを着て、ソーシャルディスタンスを守り壁の花みたいに立ち尽くしているだけである。 もっともカメラクルーが移動するときにはそれに合わせて尾行し、やはりさりげなく風景に映り込むのである。 コロナ情報があからさまな今となっては、ソーシャルディスタンスもマスクも、これ皮肉を効かしているのか?と深読みの一つもしたくなるが、どうやら成瀬は常に大真面目なのである。 踊る阿呆に見る阿呆、同じアホなら踊らにゃソンソン♬ どうせ阿波踊りの枠の中でしか生きられない人の運命ならば、踊ってみせます、やれ、とことん。 突き抜けているのか、額面どおりか。 どこかギフテッドな成瀬ではある。 大型商業施設が個人商店を台風みたいに根こそぎ薙ぎ倒していったではないか。その事実を何とする。 大津にはブルーノ・タウトもお気に入りだったという、漬物や惣菜を扱うおタナもあるではないか。 私の女子高時代にもセーラー服に坊主頭で登校して来た仲良しがいた。 余りにもちまちましい校則、やれ肩に着く前に切れ、肩に着いたら黒か濃紺のゴムで二つか一つに髪を束ねよ、束ねる位置は耳の下とする、みたいな。 みんなアホくさ、と感じて大人を相手にする気にはなれないでいたのに。彼女は大人に面と向かったんだなあ、しかも校則クリアして。拍手、拍手。 で、成瀬はどうか。 そちらの社会的な方面に関心は向かず、物理現象の数理的実験に萌えているのだね。 京大ではなく東大に現役で受かった同級生もいた。三年に進級前の春休み、東大受験生のみのヨーロッパツアーに参加したとかなんとか。マジ⁉︎ ツアー顛末で起きたある事の担任対応に憤慨した我らは彼のテストを白紙回答しようと決起したが、フタを開けたら実行したのは私一人。 え?そうなの。が私の反応で、みんな大人だなぁというのが率直な感想。 確かに内申書を考慮するなんて思慮は私に欠けていた。子ども過ぎたというべきか。 「親譲りの無鉄砲で子どもの時から損ばかりしている」『坊ちゃん』に共感し、「永訣の朝」の「おらおらでひとり行ぐも」に心震えた。 確かに本はもう一人の友だちだった。 成瀬は読書はしないのか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.08.24 09:33:15
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