|
テーマ:読書(8778)
カテゴリ:本日読了
2024/11/25/月曜日/晴れ、初冬の
〈DATA〉 出版社 中央公論新社 著者 藪本勝治 2024年7月25日 初版 2024年8月10日 再版 〈私的読書メーター〉〈平家物語後のリクエストが今頃。本居宣長からご一新の時代を600年遡る。とはいえ、歴史のダイナミズムよ。黒船来航と蒙古襲来、度重なる自然災害、帝を頂点とする都人の興亡、鏡映し。幕府の正史であれば民衆宗教語らず、されど新仏教、新興宗教と世情不安の折に栄える。著者曰く「蒙古襲来という未曾有の事件」は東海の小島の我らご先祖さまを震撼させ、上から下まで「寄って立つアイデンティティ」の補強なり創設を促した。本願は権力者の正当性だが、その仕付け糸を解けば異なる紋様を目の前に展開させ、解く前から想像力裏打ちの知性を説く。〉 潤色、曲筆という言葉がリフレインされる。著者は灘高国語教師である。 ナイーブな歴史甘受を戒める。知性は反権力モーメントで時代を平衡するのであるなあ。 自己の肯定に資する情報を選択的に信じようとする我々自身の姿に対する自覚を促す。 覚園寺の開基目的は異国降伏だが、その裏の貞時の意図は得宗家の先祖義時を追慕するため記念建造に絡め、源氏将軍時代に遡り、その正当性を語り直すこと。 泰時と貞時の徳政フィクションは韻をふむ。 頼朝の奥州合戦は幕府の強い影響力が奥羽に及んだ、また泰時の承久の乱はそれが京都に及んだ画期。そんなふうにメリハリが効く。 幕府の西国出先機関、六波羅探題 東海道、東山道、北陸道 頼朝以来幕府と密接な関係をもつ諏訪明神の助力 宇治川渡河の合戦で名を馳した春日貞幸、 彼は諏訪氏某系、諏訪明神に加護されたと神掛かり 義時と比企家の姫の前の間に生まれた長子、名越朝時、極楽寺重時兄弟はなぜ義時を継げなかったのか。 実家では名越を祖とする過去帳があるというが、はて。あまり褒められた人物でないのが曲筆抜きではどうか。 時宗の母は重時の娘なので、執権北条とは何かと寄り合っている。 頼家、実朝の悪王化も度を越している。 実朝暗殺を三浦義村とする魅力的な解釈が永井路子から出たが、今は公暁とその一味の単独が通説という。 後鳥羽院の祟りこそ仏教繁栄のよすが。権力者は祟られる。その自覚がある、脛のキズどころか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.11.25 16:25:11
コメント(0) | コメントを書く
[本日読了] カテゴリの最新記事
|