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テーマ:読書(8966)
カテゴリ:本日読了
2024/12/24/火曜日/穏やかで温かい
![]() 〈DATA〉 出版社 岩波書店 著者 村井康彦 2013年1月22日 第1刷発行 岩波新書(新赤版)1405 〈私的読書メーター〉〈古代、中世史ご専門の著者はご存命なら94歳。その年代とも思えぬ攻めの古代史だ。文献のみか実踏・現場主義の姿勢を長く信条としアカデミズムを飛び越えて素直に神話の扉をたたけば、硬直の?日本古代史に風穴が開く。そこから吹く風はかねてよりの疑問に一つの解を与えてくれる。古事記の三分の一は出雲神話であること、大物主=大国主が祭神の大神神社が大和最古参であること、かの大黒様、国譲り、饒速日の裏切り、などなど。素戔嗚が退治した八岐大蛇から取り出した草薙の剣を天照大神に献上した背景のカタチがホログラムで浮かび上がるよう。〉 かれこれ30年以上前から信濃界隈にご縁をいただいている。 それよりずっと前に諏訪大社は訪れていたが、御祭神や歴史的背景に関心ができたのはそんなに古いことではない。 そもそも友人と訪れた大神神社の御神体が山であること、祭神が大物主であることを知ったとき、ハッとしたのが諏訪大社との関連だ。 そういえば、あのときは霞か雲かの吉野山に行き、芭蕉が足跡を訪ねた西行の庵などにも足を運んでいる内、水分神社に出会った。 鈍感な私にも何事か感じられる神社で、入り口の桜が実に見事だった。 この神社をかの本居宣長は、自身がそこの分霊であると信じていたという文は最近読んで、成る程なぁと感じ入った次第。 さてそのように、神社、山、桜、歌人、と巡りながら日本人とはなんだろうか。と考える、思う。 それはとても楽しい時間である。 学者であっても自由に推敲を重ね、あれこれ思い巡らしてみたくなるじゃありませんか。そんな足取りの本なのである。 邪馬台国がどこにあるか そんなことは考古学的発見がなければ同定できないことは承知の上で、著者は大和だと断言する。 魏志倭人伝にみる水行の距離を瀬戸内ではなく日本海側にとるのが鮮やかな決め技だ。 しかし私の目の鱗が落ちたのは、記紀で読む限り饒速日は天津神としか思えなかったのが、出雲系人物の裏切りと捉えている点だ。 饒速日なる人物を先代旧事本紀や、国宝「勘注系図」などに触れながらも記紀を行きつ戻りつして、その素顔に迫るところは殆どミステリー。 邪馬台国連合軍総大将は、長髄彦か饒速日か。 なぜ饒速日が十種神宝の一つを所持していたのか。ならば饒速日は大国主の血縁のものであったのか。 出雲口伝は本書では引用はないが、先代旧事本紀や出雲国風土記などは各章に散見される。 索引があるのがありがたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.12.24 16:24:19
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