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テーマ:読書(9263)
カテゴリ:本日読了
2025/02/21/金曜日/温かいが花粉の予感
![]() 〈DATA〉 出版社 河田書房新社 著者 今野真二 2018年8月20日 初刷印刷 2018年8月30日 初刷発行 河田ブックス 110 〈私的読書メーター〉〈古代史の範囲である3章までを読む。私の受けた歴史教育は日本史と世界史二本立て、東アジア史は抜け落ちていた。最近では大陸や半島の関わりから日本史が解読され、孤立した島国の上書きが進む。著者は日本語学を専門とする故に、書き言葉である漢字が話し言葉である和語に、どのように吸収されたか、或いは中国の北部漢語と南部の呉語、半島の発音に即し用いられた漢字のクセなど、記紀に反映された実例を示す。いや、記紀の原典を読む事で編纂者が中国古典の何を読んだかも判明する!知識とは広大なもの。重祚女帝の狂心たぶれごころ、がざわつく〉 列島に住む縄文人である私たちのご先祖は、ことばでもって意思疎通をしていたことは間違いない。 そうでなければ三内丸山遺跡など作られようもない。そしてその文化は、聞くこと に重点が置かれていた。 上下下達の官僚制が列島隅々に行き渡る8世紀まで、一族自らの出自や由来の歴史も語りで伝えられた。 沖縄には古い日本の姿が遅くまで生き残ったのではないかと想像されるが、政治の主体である王とその姉妹である姫君は祭祀を司る聞えの大君と呼ばれたのである。 久高島の巫女らは首里城よりもいち早く昇る朝日を拝む位置にあり、聞えの大君に奉仕した。 出雲を中心に発掘された夥しい銅鐸は、そもそも聞くための祭祀の道具だったのが、ヤマト政権に分解吸収されるにつれて見るための祭祀道具に変化したという。 日本にも古代文字や神代文字があった、という説もあるが、それは汎用性のない、各部族において使用されたもの、と今のところ考えざるを得ない。 それが政治も都市も技術も漢語を用いる事で、進んだ大陸の文化吸収が容易になるわけで中央統治者を中心に漢字を学ぶことが即ち文化人の証とばかり、瞬く間に円を描いて広がった。 そんな漢字と和語のあざなえる縄の如しな歴史が古代から幕藩体制終了まで駆け足に、かつ専門資料を併記しながら明かされていく。 さて、英語というものがどうも日本語に馴染まない背景を考察するのはどうだろうか。 国境も、民族のことばも文化も風習も信仰も、時の流れの中で呼吸しているかのようにたゆたい、自在にうねっている様が見えるかのような読書だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.02.21 10:20:31
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