145572 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

あむ日よむ日あくる日

あむ日よむ日あくる日

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

天然風

天然風

カレンダー

バックナンバー

カテゴリ

日記/記事の投稿

コメント新着

背番号のないエースG@ Re:福田村事件  今回こちらのタイトルです。 もしよろしか…
天然風@ Re[1]:道に拾う(07/17) りぃー子さんへ なかなかスムーズにお返…
天然風@ Re[1]:トライアングルモチーフバッグ完成(07/19) りぃー子さんへ お返事に気づかずすみま…
りぃー子@ Re:トライアングルモチーフバッグ完成(07/19) わー!素敵なバッグです。 しかも、重みが…
りぃー子@ Re:道に拾う(07/17) こんにちは、モグラの子、今まで二度ほど…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2025.02.25
XML
テーマ:文楽(12)
カテゴリ:板に付く
2025/02/25/火曜日/まだまだ寒い



国立劇場の建替えで、東京さすらいの文楽公演となって久しい。これは文楽ファンにはつらい。





慣れない会場、たまには隅田川の向こうまでなんてこともあってすっかり足が遠のいた。

2階の改装くらいで十分使える建物を早々と閉めてしまってねえ(。-_-。)


あぜくら会退会かなぁ、と思っていた矢先




吉田和生さんの顕彰でなんと!
通しで!妹背山婦女庭訓記念公演。


分けて見るのが楽だと思うのだけれど
短い公演日程につき時間が取れず一気に観劇


大ホールに入るなり、うわー舞台が遠いと口に出る


文楽のための施設ではないので、左右が細く後ろが長い。しかも先行予約を逸して後部席(-_-;)
それでも何でも本日は一日文楽だ。


↓やる方もやる方見る方も見る方な、ずっしり感


第一部

吉田和生は定高サダカを違う。気丈で矜持の高い役所にすーと入る。端正

小松原の段、小菊と采女を遣った南都太夫が光る




いわゆる山の段、妹山背山の段
舞台の作りも大掛かりでドラマチック




吉野川に分かれて奈良と紀州。
歪み合うお家同士に引き裂かれたロミオとジュリエット。彼らの首を刎ねるのはそれぞれの実の父母という哀切に、仇の恨みが水のように溶解する。


水に流れる文と桜、雛の道具、雛鳥の首
身を捨てるほどの恋心は鵲の架ける橋と相成りぬ

絶望から来世、再来世さらにその先まで、永劫の時間の契りの架け橋とならん


2時間もの時間もあっという間に過ぎ去り、実感はその半分もない。


太夫、太棹も妹山と背山に別れて、掛け合い送り合いの浄瑠璃というステレオ効果


背山の大判事は若太夫、妹山の定高を錣太夫の大ベテランで固める。




意外に?可憐な呂勢太夫の雛鳥





太棹、太夫、人形遣い、背景のみなさん、入れ替わりがあるとはいえ、最後まで一つの物語世界を総がかりで作り上げたエネルギーはすごいです。



第二部


何しろ山の段が凄い大作なので、その後は軽く、円熟にはまだ遠い、若いバチ捌きや声の色

猿沢池鹿殺し、と二つの段がさらさら行く


ここらで目を覚ますべく私の贔屓、小住太夫掛け乞の段。第二部真ん中できらりと光る。うん?あんまり光らんよー、本日は。


潜在的な力量は絶対高い、何より声がよい。控えめ過ぎないか。もっと貪欲になって演じてほしいなあ、ソラでホンを歌ってほしい。文字を追えば気持ちがぼける。





もっとも、お笑いを誘うような中継ぎのような二部ではあるので、やや軽めに仕上げたか。
ならそれで、ゆるりの遊びをもう少し。



万歳の段で露払い、切は千歳太夫芝六忠義の段、
太夫と富助の太棹も相性よく。



成さぬ仲の親子の義理と人情が主題。鹿を殺せば人間はもっと苦しい責苦で死罪という、当時の当節模様が描かれる。

母親の雉が余りにも哀れだが、どんでん返しが用意されてるとはいえ、ここでも親による子殺しが。


ところで、呪いで失明した天智天皇←時代的にあり得ないが、時空がゆがむ山田風太郎的世界観である。もちろん山田風太郎が後発。他に藤原鎌足、蘇我蝦夷、入鹿親子など乙巳の変メンバー入り。


江戸時代、よほど蘇我入鹿は忌み嫌われていたんだなあ。現代では蝦夷入鹿親子の評価は随分変化している模様だけど。


入鹿が地中に隠匿していた三種神器の内の勾玉と鏡が発見されると、天皇の目はたちどころに平癒する。天岩戸の変奏だろうか。



第三部


杉酒屋の段

三輪の里の酒屋の娘、お三輪求馬=淡海(←藤原鎌足の子息)に熱い想いを寄せている。そこへ身分の高そうな女性←実は入鹿の妹橘姫、がやって来て、すわ三角関係か?



道行恋苧環みちゆきこいのおだまき

お三輪の呂勢太夫、橘姫の織太夫、求馬の小住太夫三人並び。更に桐竹勘十郎が遣うお三輪である。
合唱ありのオペラ仕立ての味わい。

衣に苧環の糸を付け、求馬は橘姫を、お三輪は求馬をどこまでも追う。おおお。アリアドネの糸





姫戻りの段

橘姫の素性が明らかになる。


鱶七上使の段

これはどことなく素戔嗚尊大国主命のオマージュのような段。

お三輪という名も、国津神の流れをくむ大神神社に重なる。



そして怒涛の
金殿の段

織太夫と燕三。燕三の力量が素晴らしく、音がすでに感情から言葉へと行きかけているみたい。
三味線が浄瑠璃語りを始めそうで織太夫は、うかうかしてられない。

おまけに勘十郎のお三輪。


太棹と語りが溶け合って、人形も鎮まり、舞台と客席が水を打ったような静寂に陥る一瞬。
そんな場面を導き出す勘十郎の人形

観る者の感情を盛る大きな器のような空間を形成する卓越した技術。


若く溌剌とした大店の娘お三輪が、嫉妬に狂い物苦しい女に変容する、その過程を観る者も同時に生きたのである。ああ哀れよの

最後は自分の生命を愛する求馬に与えることで清く澄んでいくお三輪


お三輪には勘十郎が合う
勘十郎にはお三輪が合う








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2025.02.25 22:53:30
コメント(0) | コメントを書く
[板に付く] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X