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テーマ:読書(9271)
カテゴリ:本日読了
2025/04/18/金曜日/曇天ながら日差しに力
![]() 〈DATA〉 出版社 岩波書店 著者 Loretta Napoleoni 訳者 佐久間祐美子 2024年12月5日 第1刷発行 2025年2月14日 第3刷発行 〈私的読書メーター〉〈世間的にどうかは知らないけれど、私的には話題の本。ニットの社会学的な著作といえる内容で、ウチの図書館では5類だけれど3類架でも良いのでは?著者ロレッタさんの歩んで来た人生の要点には祖母の手ほどきのニットの時間、技術やその時のトークがある。押しつぶされそうなストレスの日々にも彼女を蘇生させる力。外を眺めれば、編み物にまつわる抵抗の歴史、自立の歴史、環境配慮、数学的工業的側面など実は広大な景色が見えるし、ニットでより良い世界が編み直されるとも。縦糸横糸なく一本の糸が織りなすサークル。訳者も共に織り込んで。〉 著者が出会った編み物にまつわるエピソードには、小さなものから大きなプロジェクトまで沢山ある。 その中で心温められたのが、クレアの物語。 彼女は夫の死後精神的な問題を抱えた。心理士は編み物を学ぶことを彼女に勧めた。 彼女はトライする。末期の夫を支えてくれたスタッフに友人の力を借りて木にヤーン・ボムを施した。 またスタッフたちに似た人形を編み木の下にブランケットを広げそこに座らせた。ホスピスの庭で春の日にピクニックをしているような風景はたちまちオンラインで脚光を浴びる。 彼女は愛するひとの思い出を忍んで毛糸のハートを編むよう呼びかけると世界中から52000個のハートが届けられたという。 更に彼女は王立園芸協会のヒーリングガーデンのために使っていない毛糸の寄付を呼びかける。 編めなかった彼女がこんなに大きく花開く。 その頃イアンという男性がクレアの姿をTVで見かける。亡くなった妻のたくさんの毛糸を寄付することを思い立ち、連絡する。 やり取りする内に二人は恋に落ちる。 これ一つで映画になりそうな、先立ってしまったパートナーたちがそれぞれ見えない糸で一つのブランケットを編み上げたような物語 もう一つ、心に留めておきたいこと。 みんな、もちろん私もカシミアが大好き。 しかしカシミアヤギは草を根っこごと食べてしまうので、彼らを沢山育成すればするほど草原は不毛地帯になる、ということ。 今、カシミアの供給地であるモンゴルで、その代替にヤクを育てるプロジェクトがアジア系米国人女性の手で為されている。 ヤクは根を地面に残すので草は再生する。その毛はカシミアのように柔らかく暖かく低刺激で抗菌性があるのだとか。そして洗濯機で洗える!それ重要 ![]() ↑巻末編み図から。 編みかけはウィッグ帽子になるはず⁈ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.04.18 11:46:16
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