|
テーマ:読書(9342)
カテゴリ:本日読了
2025/04/24/木曜日/曇り
![]() 〈DATA〉 出版社 集英社 著者 窪田新之助 2024年12月10日 第1刷発行 2025年2月11日 第3刷発行 〈私的読書メーター〉〈22億円横領を疑われた職員、西山の死。元JAグループ新聞記者だった著者は現地に足を運び、裁判資料や調査報告を調べ、当事者を訪ね話を聞く。事件の生じた対馬の環境と共に事実を積み重ねる泥臭い、古風なアプローチが新鮮だ。中心から遠く人口も3万程度の地区支店から全国の、しかもぶっちぎりトップの営業成績を西山は長きに渡り誇った。その違和感を覚えない組織とは何だろう。左遷させられた内部告発者、組しなかった事務員女性。モンスターにさせる側にいない、人間の実相を掴もうとする人も僅かにいた。それは普遍の、値打ちある闘いだ。〉 組しなかった→与しなかった この誤字が二つの感慨を呼ぶ。 先ず、自分の無教養振りが発揮されている点。 恥ずかしい。 昔の人なら高等小学校のみの卒業でも、こういう漢字はすらすら出て来たのだろう。 今の私は論語を読んでいた中学時分より、漢字能力は比ぷべくもなくガタ落ちだ。 情けない。 次にくみするの用語に対して、与える、の漢字が配当されている点で、表意が見事に一致する点。 組する、だと仲間的、並列的な印象が生じるけれど、私の意図する所はそうではない。 モンスターはモンスターとして生まれるのではない。みな、父母から生まれて来る人間なのだ。 たまたま、強いこだわりと果てしなく執着する心、研究熱心で苦労をモノともしない遂行能力の高さ、そんな傾向を持ち合わせ、その性分に栄養を与え続ける周辺環境があれば、モンスターは肥大していく くみするとは与える行為なのだ。 与える行為に対する、過剰な価値の交換があった事実をケロリと忘れる、しらばっくれる、そんな烏合の衆がホラー過ぎる。 いや、もっと恐ろしいのは、烏合の衆の組員である事を自覚する自分がいる事なのだ。 やるせない、とはそういう認識反応だ。 唐突に思い出すのがリンドグレーンの 『永遠の国の兄弟』である。 「ナンギヤラで会おう」 私も力の限り、そんな最後の言葉を吐きたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.04.24 20:22:53
コメント(0) | コメントを書く
[本日読了] カテゴリの最新記事
|