ついに誕生2000年6月22日、出産当日妻は緊張していました。が、私はそれ以上に緊張していました。 出産前の医師との面談では「帝王切開自体が母体に危険を及ぼす可能性が あるので、胎児へのリスクはあるけれども自然分娩のほうが良い。」と 薦められていました。決して身体が強いほうではない妻と障害を抱えて 生まれてくる息子。どちらの命も心配だし、もし二人とも死んでしまったら 、、、そう考えると気が狂いそうでした。そんな最悪の事態を想像して、 そうなったら俺も後追い自殺を、、なんて本気で考えました。 話しはそれますが、医師の我々への接し方にももう少し配慮があっても 良かったと思います。例えば逆子の出産で帝王切開が必要な時、父親に 対して同じ説明をするのでしょうか。親である私達がぎりぎりで下した決断 なのに、予後の短いであろう息子には価値がないと言われているようで 悲しかった。 6月22日の午前10時ごろ、私は手術室の出口でゆうだいが来るのを 待っていました。ドアが開いて保育器に入ったゆうだいが運ばれて来ま した。身体は普通より少し小さめで頭は握り拳程度しかなく、小さな身体で 一生懸命名泣いていました。 受け入れられるのだろうかという不安は消え去り、自分にそっくりな息子を 愛しく思う気持ちが自然に湧いてきました。思えばあの瞬間に父親の自覚が 芽生えたのでしょう。 ゆうだいという名前は、妻の優しいという字を使いたいという希望と、障害 を乗り越えて大きく育って欲しいという夫婦の願いから生まれる前から決め ていました。 「よく頑張ったな、ゆうだい。」 ジャンル別一覧
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