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大切な日々

大切な日々

一日体験

 この一年の母親の気持ちの波はちょっと本当に深刻だったんだとと思います。
この前ふと「父は思う」の昔のページを読んでいて、ちょうど中国駐在時代の
同じ様な経験を思い出しました。

 あの頃も、母親はゆうだいの痙攣を一人で見守り、時間を掛けて一日中食事をあげ
(当時はマーゲンチューブも入れてなかったので)、心無い中国人医師の無神経な
一言に傷つき、必死で子育てしていました。
 「自分以外にゆうだいを守れる人間はいない」と思ってただろうし、
実際口にもしていたような気がする。
 僕はというと、仕事に相当のめり込んで出張も多かったし、ほとんど家では
ゆうだいの世話をしてなかったです。。

 それに比べると今は大分マシになって子育てに協力できている方だと思う。
でもやっぱり彼女が一人で責任を抱えて子育てに専念しているのには違いないわけです。
特に去年奇跡の復活を遂げてからは、「ゆうだいが一番大好きな学校にできるかぎり
通わせてあげたい。」という願いが叶えられえて、前日にほとんど寝れないような状況でも、
頑張って学校通いを続けていました。
 ところが、去年の後半から今年の前半は、
「やっと元気になって、これからは今までの生活に戻れる」という気持ちと、
学校側から時に受ける「今後どうなるかわからない」という言動の狭間で悩み、
タイミング悪く僕も悩める子羊状態だった為に、彼女が心の声を発するチャンスが
あまりなかったのだろうと察します。
肉体的にも精神的にも相当溜まった状態のまま過していました。

 で、とにかくリフレッシュしてもらわないとまずいと思って、旅行に行ってもいいし、
好きな買い物をしてもいいし、と考えられる提案をいろいろしてみました。
結局彼女の希望で学校の付き添いを一日代わることになったけど、
「そんなことでいいの?」ってちょっと思いました。

一日の流れは、
・朝二人分の用意をして保育園経由で学校に行く。
 この時点で相当手間がかかり、ちょっとげんなりする。
・学校についてから、吸入と吸引の為に教室内で待機。
 先生達がゆうだいの事をやってくれるけど、
 ただじっと見ているだけでも結構気疲れする。
・授業の間や訓練の間、ゆうだいは普通にお返事するし、
 笑顔を見せたりする。
 家でもこんなに良い反応はあまり見せないので、
 学校に連れてきて良かったと心底思う。
・昼の注入の間、横に付き添って自分もコンビニの冷やし坦々面を食べる。
 「昼飯だ!」って胸が弾むほど美味しいわけもなく、
 毎日この生活続いたら嫌になるなと思う。
・全ての授業が終わり帰宅。車にゆうだいを乗せアツキの保育園にお迎え。
 園庭で遊ぶアツキは呼んでもなかなか来ないのでイライラする。

いつもは、この後夕食作って、アツキを風呂に入れて、9時頃に僕が帰宅するまでフル稼働らしい。
たまに添い寝状態で爆睡していることがあるが、無理ないなと納得する。

 代わってみて思ったのは、物理的にも結構疲れるけど、何より気疲れと、
ゆうだいを学校に通わせる=自分が頑張るしかない、という心理がかなり辛い。
仕事上の疲れや辛さって、他人が関係していることが多いけど、この生活の場合、
敵は自分自身の内なる甘え。
「ゆうだいを学校に行かせてあげたい。」という気持ちと、
「辛いなあ、いやいや弱音吐いちゃダメだ。私が頑張らなきゃ。」
という気持ちが四六時中、自然に渦巻いてしまい、きっと無自覚のうちに
肉体的・精神的な疲労が蓄積してしまうのだと思います。

 今回の経験で思い出した言葉がありました。それは、「ザ・ゴール」という本を
書いた物理学者のゴールドラッド博士の言葉で、
「ものごとは実はとてもシンプルで、全ての対立は解消できる。
 本質的な解決策が存在する事を信じないことが、妥協や対立を生み物事はより複雑になる。」
というもの。

責任感に押しつぶされそうになる妻の救いは、旅行や買い物やエステで
気を紛らわせることではなく(それは妥協なので)、その葛藤の根本原因である、
「ゆうだいは自分がいなければ生きていけない」
という気持ちを和らげてあげることが何よりだったのかも知れません。
自分がいなくてもゆうだいが元気に学校に通えたという事実が、
こんなにもストレス解消になるとは、本人も僕も気付きませんでした。
もちろん僕にとってもゆうだいの素敵な笑顔に触れられる楽しい一日
(疲れたけど)であったわけで、家族全員にとってベストな解決策だったわけです。

うちの会社には看護休暇という制度があるので、また疲れが溜まってきたと感じたら
遠慮なく「母親お休みの日」を申請してくれて良いよ。夕食までは作らないけど。



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