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2005年08月25日
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カテゴリ:読書
屈辱ポンチ 町田康 文藝春秋
アラスジ:売れない中年パンクロッカー岡倉は、行きがかり上、友人・浜崎に頼まれて見ず知らずの男・跋丸への嫌がらせをする事になった。浜崎は姿を消し、助っ人として付けられた男・帆一も要領を得ない間が抜けたヤツで…。意味不明な嫌がらせ騒動を描く、狂騒曲的作品の『屈辱ポンチ』と、映画化もされた『けものがれ、俺らの猿と』の2篇を収録。


“町田康”より、まだ“町田町蔵”のイメージが強いと言う事を告白すると、年がばれそうだ。
パンクにはトンと縁の無い身ではあったが、それでも名前くらいは知っていた。
それ位、あの頃の町蔵さんは伝説のヒトだったのだろう。
舞台でピーしたとか、ピーしたとか、ピーしたとかw
漏れ聞えてくる話は、過激なものばかりだったが、実際の処はどんなのだったのかねぇ。
一度だけ、音楽関係ではないサブカル誌に載っていたインタビューを読んだ事があったが、過激、と言うより“サービス精神が空回りしちゃった、あらゆる意味で過剰なにぃちゃん”と言う感じだったのを覚えている。
具体的に何を語っていたかまでは覚えていないが、インタビュアーに逆に畳み掛ける様に言葉を発していたのが印象的だった。
そう、今の彼の小説の文体そのままに。

町田の小説は、殆ど読んだことが無かった。
先頃新聞に掲載されていた『告白』は、中々面白そうだったのだが、途中で挫折。
しかし、この『屈辱ポンチ』は面白くて一気に読了。
好き嫌いは判れるだろうが、このリズム感ある文章は悪くないと思う。
誰が書いても同じ様な薄味金太郎飴な文体ばかりが売れる昨今、この個性は貴重であろう。
確かに、独特の癖はあるものの、意外に読み易い。
まるで自分が言葉を発しているような気分になり、作品の中に吸い寄せられていくのがわかる。
が。
これがまぁ、全く以って、理屈では図れない不条理な世界なのだ。
表題作の『屈辱ポンチ』はまだしも、『けものがれ』の方は、結局何がナンだか狐につままれたような心持ちの侭、作品から放り出される。
主人公であるしょぼくれた脚本家・佐志が巻き込まれた騒動とは?
奇怪な肉食虫が涌き出た理由は?
八方塞な、しかし妙に笑える状況に置かれたままで、小説が終わってしまった佐志のその後の運命は?
そもそも、何処までが本当だったのかすら、疑問が残る。
或いは、全部が、昏迷する佐志が見た幻想だったのかもしれない。

これに比べれば、『屈辱ポンチ』の方はまだ判りやすい。
理由は判らぬまま友人の頼みと報酬につられて、訳の判らぬ“復讐”に精を出す中年男の姿は、一抹の哀愁を漂わせつつも可笑しい。
嫌がらせの数々はテンポよく繰り出され独創的であるものの、空回りし続ける。
それはそうだ。
復讐と言うより、自分達が遊びを愉しんでいるような“嫌がらせ”なのだから、悪意で相手を傷つける事は出来まい。
『屈辱ポンチ』の岡倉も、『けものがれ』の佐志も、やっている事は滅茶苦茶なのだが、守っている一線が何処かにあって、変に律儀で常識から逸脱しきっていない。
この主人公像は、町蔵のインタビューで感じた姿に似ている。

この2作から何かを読み取ったかと問われれば返答に窮するが、町田ワールドを堪能出来たとは思う。
機会があれば、また手に取ってみたい。
それにしても、『けものがれ、俺らの猿と』ってどう言うタイトルやねん。





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最終更新日  2005年08月25日 23時41分52秒
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