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2005年09月20日
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カテゴリ:読書
聯愁殺西澤保彦 
アラスジ:投稿が趣味の、どこにでもいる普通のOL梢絵。或る夜、見ず知らずの若い男に部屋に押し入られ、殺されかける。単なる暴行目的の犯行とは思えぬ憎悪を見せた犯人は、事件後、ぷっつりと行方を眩ませてしまう。梢絵が襲われる以前に、同じ犯人による犯行と思しき連続殺人があった。中年医師・小学生・老人、そして梢絵。共通点の全く無い彼らが襲われた理由は?事件後、トラウマを抱えた梢絵は、「恋謎会」なるサークルに真相の解明を求める…。


聯愁殺―れんしゅうさつ、と読む。
愁殺は「ひどく嘆き哀しむ事」だそうである。(「殺」は「殺す」ではなく、強め)
聯は「律詩の2句」と取るか、「連の旧字」と取るか。
うーん、なかなか意味深なタイトル。

西澤保彦は、デビュー作からのお付き合い。
と言っても、近年は少し距離を置いているのだが。
「ロジックの為のロジック」
所謂、“ロジックに淫する”と言われるのが、彼の持ち味。
デビュー作の「解体諸因」では、玩具箱をひっくり返したような騒ぎで、あらゆる推理が繰り広げられいた。
これには、すっかりやられてしまった。
SF色まで取り入れた、むりくりとも言える設定も、当時は斬新に思えた。
妙につき抜けたような明るさと、それでいて、その裏に潜む澱のような翳りがある世界観も好み。タックシリーズ、チョーモンインシリーズ、どれも初期は楽しく読んでいた。(嗣子ちゃん萌えw)
だが、1作ごとにその比重に変化が生じてきはじめ、何となく鬱陶しく感じて足が遠のきがちになった。
そした、気がつけば、滴るような悪意が剥き出し。
『ファンタズム』に到っては、全くのお手上げ状態になってしまった。

と言う訳で、久しぶりの西澤ミステリである。
多分、ファンタズムより前の作品に当たるのだと思うが、少し肌合いの違った作品に仕上がっている。
物語の大部分を費やし、ありとあらゆる推理の為の推理を繰り広げるものの、その実、なかなか結論へとは到らない。
ぶっちゃけ、或る程度数をこなしたミステリ雀であれば、誰が真犯人かは早い段階で気が付くだろう。
だが、そんな事より、この形式を取っている事自体が凄いという事に、読後になって気付かされる。
多少ネタバレになってしまうのだが、解決の為に繰り広がられていると思われた推理の数々が、実はまだ問題提起の役割を担っていたに過ぎなかった事に思い至ると、その技巧に舌を巻く。
流石、西澤保彦。そのロジック淫人っぷりは、天晴れとしか言い様が無い。

尤も、このことに気がつかず読み流してしまうと、いささか平坦なミステリに見えてしまう事も事実。
彼の作品にしては、比較的アクの強い人間が出てこなかった為か。(つーか、いつもの登場人物がキツ過ぎなんだけどね)
ただ、ラストは凄まじい。その狂気は、肝胆を寒からしめる。
何と言うのか、空虚な狂気なんだよね。
殆ど無意味な悪意・狂気だからこそ、恐ろしい。
西澤の狂気は、静かに進化、いや深化し続けている。

さて、冒頭で取り上げたタイトル。
意味については考えず、ただ声に出して読んでみると……恐ろしいぞぉ





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最終更新日  2005年09月20日 23時00分58秒
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