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2005年09月27日
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カテゴリ:読書
地図のない道 須賀敦子 新潮文庫
アラスジ:ヴェネツィアの“ゲットー”―ユダヤの民を封じた土地。差別に苛まれた人々の集うその地を、作者はあてどなく歩く。亡くなった祖母の育った大阪、亡夫と共に過ごしたミラノ、傷心を慰撫してくれた聖母像…記憶は漫ろに逍遥する。表題作他、ヴェネツィアの高級娼婦について思いを馳せた『ザッテレの河岸で』の2篇。


柔な人間なので、たった2日間のライブでへたっているw
おかげで(?)、夕食をしたためるとバタンと倒れ寝してしまう、或る意味、健康的な日が続いた。
って訳で、また昨日書けなかった読書日記を、朝から更新。ひまじーん。

このブログを始めて色々勉強させて頂いているが、中でも、杉浦たまかさんのブログで須賀敦子さんを知った事は大きな喜び。
まだ2冊しか読んでいないが、巡り会うべくして巡り会った文章だと思えるほど好きだ。

この『地図のない道』も、素晴らしい。
エッセイとも小説ともつかぬ、不思議な空気が好きだ。
研ぎ澄まされた須賀の眼差しで見るイタリアの風景は、とても美しい。
だが、それは私が今まで持っていた、原色に近い鮮やかなイタリアのイメージを払拭するものだ。
陽は白く、運河は重く光る。
細部までハッキリと見えているような気がするのだが、どこか茫洋ともしていて。
子供の頃、大きなおはじきが流行った事がある。
薄い水色を帯びた、ぼってりと厚みのあるがらす玉。
それを翳してみた幼い頃の風景と、似た感じを受けた。
この、薄い水色がかった歪みは、生涯消える事のなかった須賀の哀しみなのだろうか。文章が端正で淡々としていればしているほど、そこから涌き出る哀切さが胸を打つ。

この『地図のない道』は、そのタイトルの通り、これといって筋道のない話が綴られている。
いや、記憶が記憶を呼び…と言った感じか。
明確な輪郭を求める人には、退屈なものかもしれない。
だが、文章から聞えてくる音に、耳を傾けて欲しい。
取りたてて描写があるわけではない。
だが、行間から、緩やかに小さく続く波の音、ギィっと捩れるような櫂の音が聞こえてくるような気がするのだ。
その波と櫂の音に誘われて、須賀は逍遥しているように想った。
そして、私も。

高揚していた気持ちを、ゆるやかに静めてくれた。
やはり須賀は良い。
座右の一冊にしたい本。









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最終更新日  2005年09月28日 09時56分01秒
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