ディスカバリーチャンネルでサバイバル動画を見た
先日、このブログのメールフォームにメールが来まして、ヴィーガンやベジタリアンに関しての内容で考えさせられる内容でした。過去の記事を読んでの感想だと思いますが、まず根本的にオレはベジタリアンを否定はしてません。そんなの個々の信条の自由なので。オレが否定したのは、その自分の信条を動物愛護精神に基づいて正しいと思い込み周囲や他人に押し付け、批判する人の主張に対してです。吉本芸人の小藪は牛、豚、鳥を食べないのは有名で、中には彼をベジタリアンだと言う人もいますが、本人はベジタリアンを自称してません。単に幼少期から祖父の教えの関係で牛や豚を食わないで育ってきて、今さら気持ち悪くて食べられないだけだそうで、魚とかは普通に食べるそうだ。小藪は良く聞かれるそうです。「じゃあ無人島で鶏肉しか無かったら食べないの?」小藪「食うやん。食わな死ぬんやから好き嫌い言ってられん」小藪は別に他の肉を食べる人を否定もしてません。「俺は食わないけど」ってだけです。欧米にはヴィーガンの人は多いようです。ただ、ほとんどの人は別に自分の知人や家族がステーキ食おうが批判したりしません。自分の信条は自分だけで守ればいいと思ってるから。ディスカバリーチャンネルで面白い番組をやってました。無人島で男女のペアが21日間、文字通り裸一貫で好きな道具を一つだけ持ち込む以外は服すら持たず協力してサバイバルで生き抜く企画。まぁ全裸だがボカシも入ってるし、そもそも周囲が市街地じゃなく大自然ジャングルなので、あまりエロい感じは無い。むしろ水と寝床と食料の確保に必死で互いにそれどころじゃないみたいな。面白いのはその回、男の方はフロリダの猟区のハンターを生業としてるのに対し、女性の方はベジタリアンという点。狩人の男と菜食主義者の女が協力して無人島で3週間生き抜くとか思想の衝突で喧嘩になる展開しか想定できなかった。実際、このシリーズの他の回だと大体は過酷な環境で音を上げた女性がヒステリー起こしたり、サバイバル能力に乏しい男のダメ男っぷりが元で喧嘩になる…みたいな回もあったりするので「あぁ、これリタイアするパターンかな」と思ったが、結論から言うとこの二人、21日間とても仲良く協力してサバイバル成功した。女性の方は火を起こす道具かな?と、男が持ちこんだのはナイフ…というよりはもう鉈だな、あれは。無人島に唯一持ち込む道具と言われたら多分俺も刃物だと思う。武器にもなるし木材の加工もできるし狩りもできるし。川の水は一見すると綺麗で飲めそうな気もするけれど、ハンター曰く「下流になるほど他の動物の排せつ物やバクテリアが混ざるので危険だから上流まで行くか煮沸しないとダメだ」てなわけで水を沸かそうとするが、薪が湿って火力も弱く失敗し、いきなり丸一日水を飲めない状況から始まる。二人とも大人の対応で「俺は肉、君は植物で頑張ろう」みたいに、早々に双方の信条の違いに関しては理解を示したが、ハンターの方は内心では「3週間もタンパク源を取らないのは無理だろうから彼女もそのうち肉を食べると思う」と語ってた。男は川でカニを取ったりトカゲを獲って焼いたりして一応の栄養はとってたが女性の方は食べられる植物や花を探して食べてたので摂取カロリーに大きな違いが出た。まぁ女性はもともとそういう知識が豊富で食用の植物を見分ける知識はあったようだけど、やっぱり日増しに元気は無くなる。ハンターの方も十分に栄養を取れてるわけじゃないので日増しに痩せていくけど、それでも小動物やらをちまちま焼いて食べてはいるので余力はありそうだ。しかしプロのハンターは目が良いね。あんなジャングルの中で保護色と化したトカゲやヘビを見つけられるんだから。俺はカメラでズームしても「え?どこ?」みたいな感じなのに。まぁサバイバルと言えば、どうしても秘境生活のエドを比較対象にしてしまう自分がいたりするけど、エドはありゃもう現代人というより原人みたいなもんだからな。川の水は細菌が…とか言われてもエドなんか川に顔突っ込んでガブ飲みしてたからね。普通の人間種があれやると腹壊すけど。ベジタリアンの女性は2週間を超えた頃から、自分の体がタンパク質を欲してるのが自覚できるくらい弱ってきた。最初は「数日すれば空腹で食べるだろう」とたかをくくってたハンターの男も、毎回勧めるたびに「気持ちは嬉しいけど」と断る彼女を見て徐々に心配にはなってたようだ。「頑なに自分の信条に従う彼女と一緒にいると自分を見つめ直す好い機会にもなる」みたいな事も撮影班に語ってたけど、思想は違えどこの二人は互いに相手をリスペクトしてるようではある。17日目。女性はトカゲを見つけて男を呼ぶ。「お手柄だ」と捕まえてすぐに殺して調理にかかる男。今までなら捕まえた獲物を男が処理するときも女「いや、気持ち悪くて無理…」みたいなやり取りだったのが、そのトカゲを捕まえた時に男の「こいつは食べなきゃダメだ」に対して複雑な反応を見せた女性。その後、トカゲの内臓を抜き調理の下処理をしてる時に今までは見ようとしなかった女性が、その時は自分からトカゲを捌くのを見に来る。焼きながら、男が過去にワニを解体して焼いた時の話なんかも聞きながら、女性は自分にとって難しい決断ではあったけど、そのトカゲを食べる。あの環境で17日間。信条を曲げずに一切の生き物を食べずに耐えたのは俺は素直に凄いと思うよ。俺はベジタリアンじゃないので思想の本質は理解できないけど、あそこでトカゲを殺して食べたから菜食思想が正しくないみたいな結論にはならんと思うし。彼女はベジタリアンとしてスーパーで売ってる肉を焼いて食ったわけじゃなく、空腹と体調の回復のために自分で見つけたトカゲをパートナーに教えて焼いて食べたんだ。「動物を殺して食べたのは初めてです」彼女は全て見たわけですよ。さっきまで動いてたトカゲを首を落として内臓を抜いて焼いて食べるまでを。その後、ハンターの彼が彼女にこんなことを尋ねる。「もしこの後、鳩やほかの獲物を捕まえた時に僕が肉を捌けない状況だったら君は自分で解体できるかい?」「飢えてると人は変わるわ」「飢えた人間はなんでもできるからな」俺は人間には捕食という業があるというのが持論だけど、人間は生きていくためには背負うべき業はあるんです。それは生きてくために必要な事だ。ハンターとベジタリアンの2人の21日間のあの衰弱の差はそれを表してると思う。生きていくために柔軟な思考でトカゲを食べた女性は賢いと思うよ。それで元の生活に戻ってまたベジタリアンとして生きていくとは思うんだけど、その中でジャングルでトカゲを食べたことが汚点になるとは思わないし、それを汚点だと批判するベジタリアンに対しては俺は「何もわかってねーな」と言う気はするし。むしろベジタリアンとして本質を知るための貴重な経験だと思うけどね。人が生きていくために背負うべき業を認知し、体感もしたうえで自分は菜食で生きていくと言うなら立派な信条だろう。それを知ろうともせずに肉を食べる人間を悪だ残酷だと非難してるエセ思想家よりも10倍説得力あるよ。まぁオレ最近はエドのサバイバル動画をYouTubeやディスカバリーチャンネルで見過ぎてるせいか、ジャングルでヘビ出てくる場面見ると「きもっ」とか「こわっ」より「ごちそうゲット!」みたいな脳内変換されるようになってるから少し狂い始めてるかもしれないけど。