「転売屋の何が悪いんだ?」と主張する人への記事
ウチの弟がね、この前ラインしてきたんです。「兄貴、オレのプレステ4買わない?」と。いきなりどうしたかと聞いたら、最近じゃ転売屋の買い占めで全く流通してなくて、定価の倍近い値段でAmazonとかで売られてるプレステ5だけど、弟が嫁の実家の神奈川に行った時に、ふと電気屋見たらプレステ5が売ってたらしく、その場で買ったけど審査があったそうな。ようするにその家電量販店のカードを以前から作ってて、過去に1台も買ってない人だけに売るとか。で、いらなくなったプレステ4をオレに買えと。まぁ、去年もマスク買い占めて転売してるバカとか湧いてましたけど、プレステ5とかswitchとかは深刻らしいですな。ただ、ネット上で色々見てると、中には「転売の何がいけないの?」という主張の人もいる。自由経済の社会で買う側と売る側が合意すれば値段いくらつけてもいいじゃんとか、違法じゃないから文句言われる事じゃないと。何かブログのテーマに丁度良かったんで、今回はこれをネタに記事を書いてみます。まず転売に対するオレの基本認識。「安く仕入れて高く売るのは商売の基本だから違法じゃないという主張はその通りだね」「あくまでキチンと適法でやってりゃビジネスではある」「嫌われる覚悟と、ちょっとズルして生きてる事に恥じらいが無ければいいんじゃない?」「ま、オレはやらんけど。やらん理由は『迷惑かけて金貰うより喜ばれて金貰う仕事したい』から」ちょっと詳しく書いてみますか。市場で売ってるもん買って、それより高く売るのは有りだろう。高くても買う人がいるなら自由競争ではある。ただ、世の中のほとんどの転売屋は副業意識でキチンと適法で商売してない。まず、中古品を売買するなら古物商の許可が必要だ。そして、ある程度の収益を上げてる商売なら、当然ながら税申告は必要。一昔前、こういうのをキチンとビジネスとしてやってる代表例が「リサイクルショップ」だ。客が不要なものを買い取る。それを売れるような状態に手直し、修理して必要な人に販売する。転売擁護派が「売りたい人と欲しい人を繋いでる素晴らしいビジネスだ」みたいな事を言うが、それはリサイクルショップの専売文句だったんだ。リサイクルショップは「不要な人と必要な人」を繋いで商売をしている。この行為に於いて迷惑をこうむる人間はいない。それに対して転売屋は「販売者と、本来それを必要で欲しい人との間に無理矢理入り込んで利ザヤ取って売る」なので、転売屋以外は全員が損をしている。これを言うと「販売側は商品売れてるから良いじゃないか?」と反論する転売屋がいる。製造者が商品を売れてるのは「定価」を設定してるからだ。これがどういう意味か?少し賢い人ならこれだけで理解するけど転売屋はあまり頭良くない人が多いので、サルでもわかるように説明する。まぁプレステ5を例にしますか。SONYが仮にプレステ5を「一番高く売ろう」と考えた場合、どうなるか?応えは「競り」だ。オークション方式。定価なんか定めず「こんなハイスペックなゲーム機作りました。欲しい人は応札してください」で売る。ただ、企業には「営業戦略」ってのがある。オークション方式は単体の利益は高いが、そんな高騰したゲームなんぞ一般の客は買わない。なのでソニーは「1台を高く売るより、なるべく多くの人が買えて結果的に購入者が増えた方が儲かる。なるべく安く、それでいて企業に利益も出る価格」を定価として設定する。プレステ5って定価5万くらいだっけ?これはソニーも「5万で売れば〇〇人くらいが買って大体〇〇円くらいの収益になるな。」をキチンとマーケティングとか計算して算出してる。仮に10万に設定した場合「それなら買わない」という人が5万の時の2倍を超えた時点で損をする。長い時間かけて大勢の人間を開発に携わらせ、開発費も莫大な金額注いで生み出したのがプレステ5だ。それを5万で売るのがSONYの「営業戦略」です。で、転売屋ってのはそれを土台からブチ壊して、その労力の上にタダ乗りして稼いでる。結果として現状、プレステ5を欲しい人がほとんど買えていない。ほぼ間違いなく「ソニーが当初見込んだ販売台数」のグラフからは乖離していると思う。そんななかで、ウチの弟みたいに「欲しいけど買えねーし諦めるか」と考える客も出始める。ソフトを制作するメーカーもプレステ5用でソフト開発しても売れないので、プレステ4用でソフトを引き続き作ってる。SONYの当初の目論見は大きく外れた。悪いのは転売屋だが、なぜかSONYにクレームつける風評被害も受けてる。そしてブランドイメージも崩れる。だからソニーもぶち切れてる。そりゃ売れない。5万でメーカーが売ってるものを8万とか9万で買えって言われてんだから。製造者の長年の努力や費やした予算にタダ乗りして営業戦略をぶっ壊し、買いたい人から暴利取って売るビジネスだから嫌われる。迷惑も大勢かかる。「違法じゃないもーん」誰も違法だとは言ってない。ただ迷惑だから消えちまえと思ってるだけだ。転売屋と言う意味では、ウチの弟だって転売屋だろう。アンティークの時計を探して買い付ける。それを時計屋の親父の店まで毎週持ち込んで時間のずれを調整してもらい、状態によってはオーバーホールも依頼し、オヤジに作業代を払う。それを持ち帰り、自宅の作業部屋でシコシコ磨いて、自作の撮影ブースで写真を撮り、その時計の説明書きを書いてネット上で販売する。よく分からない時計は親父に聞いたり自分で勉強してそれっぽく文章を考えたり、なんだかんだ1個の時計を売るまでに使う労力と時間はなかなかのもんだ。ただ、この転売は「誰にも迷惑が掛かってない」のが大きな違いだ。なので弟は何も後ろめたい事無く商売してる。「要らないから売りたい」という人から買い付けて、その商品の価値を上げて「欲しい人」に買ってもらう。転売自体は違法ではない。なので、己の良心に抵抗が無いなら別に止めはしない。ただ…最近…というかネットで商売できるようになってから増えてるのは「無在庫販売」だ。無店舗販売はネットで商売できる時代なので普通にある。ただ、店舗も無ければ在庫も無いで商売してる奴もいて、しかもその手法を情報商材としてレクチャーして売ってる奴までいる。ハッキリ言えば、無在庫販売は違法だ。いや、「無在庫で販売するだけ」なら違法じゃないが、現実的に無在庫で販売してる人は大体が法に触れる。どういうものかというと…例えばメルカリでAさんが自分で開発して製造工場に製作依頼して作った家具を1万円で販売。商品の説明文と写真を作ってアップする。それをBさんがヤフオクで2万円で販売する。もちろん、Bさんはその家具を持ってない。だってAさんが制作したオリジナルだから。なのでBさんがヤフオクに掲載してる写真はAさんが撮ってアップした画像の無断転載だ。説明文も丸コピーして貼り付けただけ。で…ヤフオクでBさんが2万で出してる家具が売れる。そしたらBさんはメルカリでAさんの家具を1万円で購入し、そのまま落札者に送る。これを「在庫リスクも無く苦労せず稼げる手段です!ノウハウ教えます。この商材買ってください」なんて情報商材屋が一時期出てたが…まぁ無断転載、写真の無許可盗用は普通に違法であることを知らないバカは「まじか!やるやるー!」と無在庫転売ビジネスを始める。ウチの弟、実は自分が販売してる時計がヤフオクで転売されてるのを見つけた。なんせアイツは仕事場がパソコンでありメルカリやジモティーやヤフオクは職場だ。親父の店にオーバーホールに持ち込んだり骨董市に顔出したりしてる時以外は、ほぼ一日10時間以上はチェックしてるので、おそらく今の日本でネットで売られてる時計は大体その網にかかる。そこで自分が18000円で出してる時計が3万円で売られてるのを見つけた。なんせ写真の背景が同じ…というか、弟の写真は弟が自作した撮影ブースと言うか撮影BOXで照明の当て方も研究しつくしたので一目でわかった。無在庫販売だと知った弟。とりあえず自分が今出してる18000円の時計を5万に値上げした上で3万で売られてるその転売品を落札(笑)案の定、翌日になってキャンセルの申し出のメッセージが来たとか。なんでも既に売れた商品を間違えて掲載したとかなんとからしい。それを聞いた俺オレ「そこまでするなら100万とかにしちまえばよかったのに(笑)」弟「アイツらバカだから5万なら買うかなと思った」いくら馬鹿でも算数くらいできるだろう。チケットなんかは法整備されてるみたいですな。昔は「ダフ屋」なんていいまして、オレも若い頃は地元の西武球場でたまに買いましたよ。でも試合開始後にいったんで定価より安かったりしましたけど。オレ「外野自由席でいくら?」ダフ屋「1500円」オレ「もう3回の裏だよ?1000円でしょ」ダフ屋「今日はイチロー出てるから」オレ「西武ドームで商売させてもらってるのにイチロー人気に乗っかるとか、ダフ屋の風上にも置けないな」同行した友人「ダフ屋に風上も風下もないだろ」まぁ、当時の西武戦なんかプラチナになり得なかったしな。外野の芝生席とか寝転がって見れるくらい客入ってなかったし。販売側も転売対策は色々やってますな。どっかの玩具屋がガンプラの転売防止として販売時に内袋と一部ランナーのカットを要求して、愛好家たちに絶賛されてたね。プラモ愛好家にとってはノーダメージな行為だけど、転売屋にとっては未開封じゃなくなるだけで価値は下がるし。販売側が転売を嫌う一番の理由は「業界が衰退する」からなんですな。具体的には価格が高騰するとユーザーが減るから。モノやサービスを売る、買うという行為は売る方も買う法も本来はwinwinの関係なんですよ。なので買い手を遠ざける転売は販売側からしたら迷惑でしかない。これが価格競争で安くなるなら、少なくともユーザーにとっては喜ばしい事だ。売る側は大変だけど、安く売る為には営業努力や工夫が求められるし、何より競争の先にエンドユーザーがキチンといる。目的地がユーザーなら企業努力する価値はある。ただ、転売屋が買い占めて価格高騰を起こしてしまうとユーザーは逃げる。転売屋は初期投資も販売管理費もほとんどかけてないので、その業界が衰退したら別のモノを売ればいい。ただ、残された方は焦土化した業界を立て直さなきゃいけない。「他所の迷惑なんざ知らん。オレが稼げればいいんだよ」という仕事のスタイルは別に悪くも違法でもないんだが、シンプルに「稼ぎ方としてだせーよ」というのがオレの私感。昨日ね、店の前をスクーター押して歩いてる人が入って来たのさ。なんでもパンクしてバイク屋探して4キロ押してきたとか。タイヤはもうツルツルで寿命だったんでタイヤ交換してあげました。「えーと、6145円……端数切って6000円で良いっすよ」と言ったら「いつもの店よりちょっと安い。次からここ来ます」と言われ「これでコストコ行ける。ありがとう」と颯爽と去っていきました。オレは工賃とタイヤ代が儲かり、オジサンはスクーター直って買い物にいけたし、コストコは俺のおかげで一人のお客さんを逃がさずに済んだ。三方一両得。オレにとって「仕事」ってのはこういう事なのだ。「金を払う側が満足or納得して払ってる」というのが『仕事』の大前提だ。この世界は誰かの仕事でできている。ただ、仕事じゃなくても金を稼ぐ手段はある。今だと株とかFXとかギャンブルとか。不動産の不労所得で生活できちゃう人とか、世の中には仕事しなくても稼げる手段はある。オレの中では彼らは「仕事」ではないと思ってる。「パチプロ」とか「トレーダー」なんて肩書きで呼ばれるが、オレの中の分類では「博徒」である。買い占めの転売屋もオレに言わせれば仕事ではなくギャンブラーと同じ分類で、無在庫転売に関しては単なる犯罪者である。ウチの弟は自分の事を転売屋だと自称してるが、古物商も取り税務署に開業届も出し税申告もしたうえで、古物台帳もキチンと記載している。オレ「ネットで売った相手じゃ個人情報わかんなくね?」弟「それも警察に聞いたら、相手のIDとか連絡先や送付住所で代替できるとさ」弟のネットショップの評価は高評価100%を維持してる。買った人間も売った人間も全員納得して取引している。ただ、ヤフオクなんかの無在庫転売屋の評価なんかボロボロだ。顧客満足度なんか関心ない、信用なんかいらない。そんな数字というか「どういう商売したら3人に1人からクレーム来るんだよ」なんて状態だ。その状態で「これが俺の仕事です」なんて言うのは恥ずかしくないのかと。転売が是か非かなんてのはオレにはわからんし「高くても買う奴いるなら商売だ」はその通りでもある。ただ、どこかに嫌悪感が拭えないのは、おそらく転売屋本人達から己の行動に対して誇りとか信用とかが感じられないからだろうな。「誰かに必要とされてこそ仕事だろう」とか「金払う側が喜んで払うのが仕事だろう」とか「自分が仕事することで他の誰かの利益にもなって社会貢献に繋がってこそ仕事だろう」とか、そういう意識がオレの勤労意識の根底にあるから「他の事なんか知らねーよ。オレが儲かりゃOK。買う奴がいるから売るんだ」というスタンスで開き直られると「お里が知れる野郎だな」という感想になってしまう。まぁ昨今の転売屋は組織化してて大体がアジア系の集団らしいから「あー、そりゃ勤労に美徳なんぞ持ってねーだろな」と妙に納得してる所もあるけれど。家電屋で毎日爆買いしてる客とか、さすがに店側も気付いてマークしてるみたいだけど、それくらいの資金力ないとソニーの生産速度に追いつく買い占めなんかできないしな。ちなみにSONY。転売対策として「今より格段に増産して転売屋の資金を枯渇させて相場をくずして打撃を与える」という力業に出る方針のようです。まぁプレステに関しては、クリスマス商戦までにはソニーも意地でも市場に流通させるために本気出すんじゃないですかね?相場が崩れりゃ転売屋も損切りで在庫吐き出すしかないだろうし。つかオレ、弟から「兄貴なら1万で良いよ」とプレステ4買うとは言ったものの、多分買ってもやる時間あるのかな?パソコンでゲームするスタイル長いし、プレステなんか信長の野望シリーズと三國志シリーズとパワプロ、ウイイレくらいしかやらないからなー。…そうか。ヤフオクで転売すればいいんや!(笑)