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カテゴリ:戯言
職場の近くにラーメン屋がオープンしたのが1年前。
開店直後に1度職場の奴と行ったが、俗にいう「次郎系」の太麺&濃厚スープというタイプでオレは正直味の方に不満だったので二度目は来ないなと見切ったが、なんと4カ月足らずである日突然「本日はスープの味に満足できなかった為に臨時休業します」みたいな一丁前な貼り紙が貼られ、その後数日経過してもどうしても満足できるスープが完成しなかったのか程なく看板が外された。 …そもそもあのドロドロのスープに何のコダワリがあったのかはオレには疑問だが。 しかし、そこが閉店して2ヵ月もしないうちに居抜きで新しいラーメン屋が開店。 そしてまた職場の連中と試しに食いに行く。 …店のスタッフは変わってるけどラーメン自体は大して変わってない気がして「同じオーナーじゃねーのか?」なんて気も。 そしてその店も半年ほど存続してたが、先日見たら閉店してた。 この店に限らず、ラーメン屋とはどうして、かくも早々と潰れていくのだろうか? オレの地元の同級生の女子は家が中華料理屋で、小学生の頃はそいつの家から出前を取ってるクラスメートも結構いた。 オレの実家も例外ではなく、ウチのオヤジが気に入ってたのでよく食ってたが、オヤジが気に入った理由は、そこの奥さんが手作りしたお新香が絶品で、付け合わせとして盛られてくるお新香目当てみたいなところはあった。 まぁ、ウチのオカンもMy糠床を持つほどに手製漬物は仕込んでたのだけど、親父曰く「母さんのとはまた違うタイプだな」と、漬物ソムリエのような批評をしてた。 その店のラーメンはオレから見てもシンプルで何の変哲もないラーメンなのだけど、もう50年くらい地元で続いてるのだ。 まぁオレは世間一般の独身男の例外に漏れずラーメンは好きではある。 俺なりに好みもあるし、今まで数え切れないほど食ってきて、今でも確実に近くに行くと行きたくなるくらい美味い店も地元の埼玉だけじゃなく転勤先の横浜や栃木の小山なんかでも何件も知ってる。 ただ「ラーメン評論家」みたいな人種の事は基本的に信用していない。 そもそもラーメンなんて行き着くところ「結局は人それぞれの好み」でしかないのだ。 九州男児は豚骨原理主義だろうし、北海道民は味噌ラーメンこそソウルフードなんだろう。 オレの好みはスープはアッサリ、それこそ飲めるくらいの薄味で細麺でトッピングもゴテゴテしてないチャーシューとシナチクにナルトで主役は麺とスープなんです、みたいなオーソドックスなのが好みである。 塩ラーメン美味い店とかそれだけで嬉しくなる。 なので今の流行りの家系濃厚スープでニンニクどっさり背脂ドーンみたいなのは見ただけで腹一杯で二度目の来店は無い事が多い。 和食、割烹の世界では「皿の上の物は全て食べられるものしか載せられない」みたいな暗黙の掟があるそうな。 オレの中では、あのニンニクと背脂スープを飲める気がしない(笑) よく世間では飲食店の70%は開業3年で潰れるという定説がある。 オレはその中でもラーメン屋が占める割合は相当高い気がしてる。 理由はなんだろう?まぁ素人が脱サラして新規参入しやすいからかな?少なくとも参入するだけなら和食やフレンチのような多様で深い専門性は要求されないし、技術の習得にかかる時間も短いし。 蕎麦屋と違って麺は手打ちするわけでもなく製麺所から仕入れるのが一般的だしスープさえ作れれば一応の商売は出来る。 TOKIOみたいにダッシュ村の小麦から麺を手打ちしてダシのカツオは釣ってきて原価600円くらいかかってるから販売価格2000円ですみたいなラーメンならオレは2000円出しても一度食ってみたいなって気はするけど、あれを商売にしたらオレは多分潰れる気がする。 少なくともオレは2000円のラーメンの体験はしてみたいがリピーターにはなれないし、2000円なら蕎麦屋で天ざる食う方を選ぶしな。 多分そこなんだよ。 「ラーメン」というモノに大衆が求めてるのは、美味いモノ食いたいってわけじゃなく、安くて手軽に腹一杯になれて「また来るかな」と思うような魅力があればいいのであって、高いラーメン食うなら他に良いものはたくさんあるのだ。 ラーメン屋は新規参入の敷居は低いが、それは参入するのが容易なだけで、生き残るには過当競争に勝ち抜かなきゃいけない。 今の有名なラーメン屋とかは、そういうサバイバルを勝ち抜けるだけの武器があったから生き残ってんだろうけど。 地元にね、オレが長い間生きてて唯一かな、人に勧められるくらい美味しいラーメン屋があったのさ。 爺さんと婆さんの二人がやっててバイトのねーちゃんが一人でウエイトレスやってる小さい店で、カウンター10席くらいにテーブルが3つくらいしかない店なんだけど、駅前で昼時は常に何人か並んでてさ。 そこは爺さんが麺を手打ちしてるから多加水麺ていうの?麺がプリプリで美味かった。 機械だとあそこまで多加水の麺は作れないとか言ってたな。しかも安いんだよ。普通の醤油ラーメンで550円だし大盛りも無料だった。 オレは駅前行くたびに通ってたけど、ある日食いに行ったら来月で店閉めるって書いてあって、店の爺さんに聞いたら「持病の腰痛がいよいよ悪くなって毎日麺打つのがしんどい。婆さんも足悪いから店まで通うのも大変だし、店継ぐ弟子もいないから閉めると。 それ以降、オレの中で人に勧められるほど美味いラーメン屋って出会ったことないな。 強いて言うなら…幸楽苑かな(笑) いや、あそこチェーン店だからとバカにできないよ。 390円であのクオリティのラーメン出すんだぜ? 800円以上取りながら、幸楽苑よりマズいラーメン屋なんか掃いて捨てるほどあるじゃんか。 でね、そのオレの気に入ってた店が締めて数ヵ月で居抜きで新しいラーメン屋ができたのさ。 近所じゃファンの多い店だったし、その跡地にラーメン屋ができたならみんな一度くらいは行く気にもなるってことで、オレも行った。 結論から言うと、その後、その店は次々とラーメン屋が入っては潰れるを繰り返す呪われた土地になる。 爺さんの後に4件入ったラーメン屋が全て潰れたな。 その4件オレは全部食いに行ったけど、まぁ色々とダメだった。 〇1件目 地元の名店の跡地って事で最初はガンガン人が来たようで、行列もできてた。 でも、それで店主は勘違いしたのかな?ちょっと客を舐めてたかな。 店の中に「食事中の私語。食後の長居は禁止させていただきます」と貼り紙があった。 長居はマナーとしてともかく、食事中に会話をするなってのは何の筋合いでそんな事指図されなきゃならんのだろう? まぁオレはいつも一人で食いに行くから喋る相手もいないので問題ないけれど。 あと貼り紙以外にもマナーはうるさかった。とりあえず携帯見ながら食う客が注意されてたのは見た。 あまり居心地よくなかったんで二度と来ないかななんて思ってたら1年もしないうちに潰れてた。 最初の行列は、店に対してではなく、きっと以前の店の爺さんのファンが何かを期待したんだろうと。 〇2件目 マナーにうるさい店主が消えて数ヵ月で、なんか豚骨系の看板を出したラーメン屋ができてた。 豚骨系を売りに出してる店なのに店内のメニューには醤油、塩、味噌、豚骨の4種が載ってたので、オレは塩ラーメンを頼んだ。 味はそんなに悪くないように思えたけれど、とにかく店主が常に客の様子を凝視してて怖い。 なんせ前の店主がマナー魔だったのを覚えてるので、また何か言われるのかと思ってたけど、単に愛想が悪いだけなようだ。 とりあえず客商売であの態度だと、オレなんかはそれほど気にしないが女性客は確実に来ないだろうと思われる。 なんせこの場所にあるラーメン屋といえば、近所じゃみんな初代のあの好々爺みたいな爺さんのイメージが強いからなぁ。 そこも気付いたら潰れてました。 〇3件目 なんか魚介系スープみたいなラーメンを出す店ができてた。 ラーメンはオレの好みじゃなかったし、地味に高いので一度しか行ってない。 明らかに脱サラ系の店主が必死こいて頑張ってた感を醸し出してたけれど、以前の不愛想な強面店主に比べれば全然マシではあった。 ただ注文かなり待たされたり、昼時は明らかにキャパオーバーな雰囲気満々だったな。 気付いたら潰れてたけど、多分半年ももたなかったんじゃないかな。 〇4件目 店内に「正しいラーメンの食べ方」みたいなのが各テーブルやカウンターに掲示されてた。 まずスープから飲めとか、レンゲに麺載せるなとか、とにかく注文が多い料理店である。 色々指図するだけあって、ラーメン自体はそれまでに比べると美味い部類ではあったけれど、やっぱ850円は高いな。 550円でハイクオリティのラーメン手打ちしてた爺さんの店の跡地であるので、おそらくオレ以外の客も無意識に比較してた気はするけれど。 ただ、オレ自身がまず人に指図されて食うのが癪に障るので、あまりいい気はしなかった。 まぁフレンチや懐石でのテーブルマナー的なモノなら教養として聞こうという気になるが、所詮は大衆B級グルメのラーメンでアレコレ言われるくらいなら家でインスタントラーメン茹でますって話ではある。 この店が潰れた後に駅前が大幅に改修されて店のあった土地も買収されたのか、立体駐車場の一部になってました。 というか今でも謎なんだけど、なんでラーメン屋の店主は揃って「腕組して写真に写りたがる」のだろうか? 料理の鉄人かお前は、と。 ラーメン屋のオヤジは不愛想でも頑固でも客に説教しても許されるみたいな風潮は誰が生んだのか? 板前や寿司屋の大将にも職人気質で頑固な人は多いけれど、客に対してはそんな横柄な態度取らんぞ?一流の店だと。 むしろカウンター任される板長とか立板あたりの板前なんか客あしらいもしながら時事ネタにも対応できるコミュニケーションスキルを求められるくらい社交的だ。 そのくせ、決して自分から前面に出ないで一歩引いて会話を成立させるあたりが、巧妙だけど。 飲食店において、客を一人失う事は実は予想以上に大きな痛手になるとは、オレの同級生の板前が良く言う話。 以前に飲み会でそいつが「ウチの店だと座敷にしろテーブルにしろ大体平均で1組2~3人。仮に2人として客単価が一人あたりザッと1万くらいで、原価が40%前後だからテーブル一つで約2万。利益で12000円だろ?月で36万。年間にしたら軽く400万超える。つまり一日に来店する客が平均1組減るだけで年間で400万以上の減収になるわけ。だからサービスの質を求められるし『また来よう』と思われるようにしないと一組の客を失ったボディブローの蓄積で潰れる」みたいなことを言ってた事があって、要するに客単価が低いから客に対する扱いがぞんざいになるんかな?とラーメン屋に照らしてみて感じたな。 これは同じく客単価が高額な高級ホテルなんかでも同じだろうな。 客室1室あたりの単価でみれば、部屋が埋まらないのはそれだけ多額の減収になる。 …まぁそいつの話を聞いて真っ先に驚いたのは「原価40%?利益6割って事?バイク屋で利益6割あったらビル建つな」と驚いたが。 なんせ二輪業界は商品価格の割に利益は薄利だからなー。 職場近くのラーメン屋跡地は果たして3件目が入るんだろうか? まぁ入ったとしてもオレはおそらく過去2件の前例から行かない気はしてるけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年04月22日 22時53分45秒
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