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カテゴリ:健康食品
「人間を対象とする栄養学において、栄養素のうち、細胞の主要構成物質であるタンパク質、炭水化物、脂質を三大栄養素という。三大栄養素にビタミン、ミネラル(両者を微量栄養素という)を加えたものを五大栄養素という。」
いきなりの硬い文章で恐縮ですが、今回は三大栄養素のひとつ「炭水化物」について整理してみたいと思います。 炭水化物とは、「単糖を構成成分とする有機化合物の総称であり、その多くは分子式が CmH2On で表される。Cm(H2O)n と表すと炭素(C)に水(H2O)が結合した物質のように見えるため炭水化物」というのだそうです。 しかし、分子式がCm(H2O)nでない炭水化物や、Cm(H2O)n型でも炭水化物でないものがあるため、現在では「炭水化物」という名称よりも、「糖質」と呼ばれることが多いそうです。 もっと簡単にいうと、米や小麦粉、イモ類などのように「糖質」と「植物繊維」が一体となったものを「炭水化物」といいます。 逆にいうと、「炭水化物」は「糖質」と「植物繊維」に分けられるわけです。 人間の細胞を構成しているのは、植物繊維のほうではなく糖質のほうなので、今では三大栄養素という場合、タンパク質、糖質、脂質というようになっているのだそうです。 その糖質は、炭素、水素、酸素からできている化合物の総称です。 そして、糖質はその構造から以下の3つに分類されるそうです。 《単糖》 最小単位の糖で、「ブドウ糖」、「果糖」、「ガラクトース」がある。 《少糖》 単糖が2個あるいは数個結合したもので、「ショ糖」、「麦芽糖」、「乳糖」がある。 《多糖》 単糖が数千、数百万と結合した糖類で、「でんぷん」、「グリコーゲン」などがある。 糖質は体内に入ると、最小単位の単糖まで分解されて小腸で吸収されます。 吸収された単糖は、肝臓でブドウ糖に変えられ、血管を通って各細胞に運ばれ、「エネルギー源」や「からだの構成要素」となるのだそうです。 《糖質の種類》 ・単糖類 ― ― ブドウ糖(グルコース) ― 果糖(フルクトース) ― ガラクトース ・少糖類 ― 二糖類 ― 麦芽糖(マルトース) ― ショ糖(スクロース) ― 乳糖(ラクトース) ― ― ― オリゴ糖 ・多糖類 ― ― でんぷん(スターチ) ― グリコーゲン 簡単に特徴を整理すると、 <ブドウ糖(グルコース)> デキストロースともいう。代表的な単糖のひとつで、甘みは砂糖の70%ほど。 穀物やくだものに多く含まれる。 ブドウ糖は腸で吸収されて血液に入り、血糖として血液中に一定濃度で含まれる(80~100ml/dl)。 ブドウ糖は脳やからだを動かすエネルギー源で、特に脳の唯一のエネルギー源。 しかし過剰に摂取すると、糖尿病の危険の他にも(異性化糖の項)、肝臓にグリコーゲンとして蓄えられてしまうために、中性脂肪が合成され脂肪肝を起こしやすくなる。 ブドウ糖は、オリゴ糖や多糖の構成要素となる。 <果糖(フルクトース)> 果糖は、くだものや蜂蜜に多く含まれ、ショ糖の構成成分としても存在している。 果糖は最も小さな単糖なので消化吸収が早く、すばやくエネルギーに変えることができる。 くだものに含まれる果糖は、直接的には血糖値を上げないが、肝臓で中性脂肪に合成されるので、過剰に取ると肥満につながる。 <ガラクトース> 乳糖の構成成分で乳汁に含まれる。 <麦芽糖(マルトース)> ブドウ糖が2分子結合した二糖類。甘味は砂糖よりも劣るが、旨みが強いのが特徴。 <ショ糖(スクロース)> ブドウ糖と果糖が結合した二糖類。 砂糖の主成分であるが、虫歯の原因になる、カロリーが高く肥満の原因なるなどといわれている。 <乳糖(ラクトース)> 乳糖は乳汁のみに含まれるもので、ブドウ糖とガラクトースが結合した二糖類。 乳糖は小腸で「ラクターゼ」という消化酵素によって単糖に分解されてから吸収される。「ラクターゼ活性」は成長すると低下することがあり、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人はこのタイプで、「乳糖不耐症」という。 ヨーグルトやナチュラルチーズは「乳酸菌」によって乳糖の一部が分解されるため、乳糖不耐症の症状は起こらないとされている。 <でんぷん(スターチ)> 多数のブドウ糖が結合した植物性の貯蔵多糖類で、穀物やイモ類に多く含まれる。 唾液中の消化酵素によって分解され、さらに小腸でブドウ糖に分解され吸収される。 <グリコーゲン> グリコーゲンは、多数のブドウ糖が結合した動物性のでんぷん多糖類。 肝臓と筋肉で合成され、貯蔵される。 レバーや貝類、えびなどに含まれる。 そして最後に、本日の主役の登場です。 <オリゴ糖> オリゴ糖はブドウ糖や果糖などの単糖が結合したもの。 オリゴ糖の中には、消化酵素で分解されないものがあり、これらは腸内で「ビフィズス菌」などの「善玉菌」の栄養源になり、腸内環境を整える。 また、植物繊維と同様に、腸内の余分なコレステロールや胆汁酸を吸収して排泄する作用があるので、血中のコレステロールを減少させ、動脈硬化を予防する働きがある。 血糖値を正常にする作用もあり、ほとんど吸収もされないので、カロリーを気にする人や糖尿病の人に適した糖質といえる。 さらに、オリゴ糖は糖分であるにもかかわらず、虫歯の原因である「ミュータンス菌」の栄養分としてほとんど利用することができないため、虫歯の原因になりにくい甘味料としても注目されている。 糖質の中にあっては異例の、いいことずくめというのがオリゴ糖のようです。 <オリゴ糖のいいところ> ・腸内環境を整えてくれる。 ・血中のコレステロールを減少させる。 ・血糖値を正常にする作用がある。 ・カロリーを気にしなくていい。 ・虫歯の原因になりにくい甘味料である。 ・あまり甘くないので使いやすい。 <唯一の悪いところ> ・過剰に摂取すると、お腹がゆるくなる。 このように利点がたくさんある甘味料なので、現在さまざまな研究開発により、機能性を持たせた「合成オリゴ糖」が作られているそうです。 厚生労働省によって健康効果が認められたオリゴ糖食品は、特定保健用食品(トクホ)として販売されています。 <合成オリゴ糖のいろいろ> ・フラクトオリゴ糖 「ショ糖を原料とし、健康食品などでは酵素を用いて合成されている。 自然界ではタマネギ、ゴボウ、にんにく、アスパラガス、ねぎ、大豆などの野菜に含まれている。 砂糖に近い甘味があるのにカロリーは砂糖の2分の1(2kcal/g)程度。 消化酵素で消化されずに大腸まで届くので、お腹の調子を整える食品としてトクホの有効成分にも認定されている。 その他にも、ミネラルの吸収を助ける食品、骨の健康が気になる方の食品としてもトクホの有効成分になっており、活用の幅が広い。」 ・ガラクトオリゴ糖 「母乳に多く含まれているオリゴ糖。健康食品などでは乳糖(ラクトース)を原料に生産される。甘味はあまりなく、カロリーも砂糖の半分程度。 たんぱく質の消化吸収をサポートし、脂質代謝の改善、ミネラルの吸収を促進する働きがある。」 ・イソマルトオリゴ糖 「ブドウ糖で構成されているオリゴ糖で、熱や酸に強く、食品に旨みやこくをあたえる。 防腐作用があるので、保存食にも適している。 自然界では味噌、しょうゆ、日本酒、ハチミツなどに含まれている。 健康食品などではトウモロコシのデンプンを原料として生産されているものがほとんど。そのため、原料が安く、商品も手頃なものが多いのが魅力。 しかし、少し味にくせがある。カロリーは砂糖と同じ4kcal/g。」 ・大豆オリゴ糖 「その名の通り大豆から水で抽出した時に含まれるオリゴ糖で、ラフィノースとスタキオースという単糖で構成されている。 大豆から油脂やタンパク質を取り除いたものを原料として、そこから精製されて作られている。砂糖に近い甘味があるが、カロリーは2分の1程度。 他のオリゴ糖よりも少量で、腸内環境を改善する作用がある。 老化予防の効果もある。 ・乳果オリゴ糖 「別名をラクトシュクロースともいう。 ショ糖と乳糖を原料とし、健康食品などでは酵素の作用によって合成されている。 自然界では発酵ヨーグルトなどに微量に含まれている。オリゴ糖の中では一番甘く、砂糖のような甘味があるのにカロリーは砂糖の2分の1程度。 ・キシロオリゴ糖 「タケノコなどにごく少量含まれているオリゴ糖。 健康食品などではトウモロコシの芯などに含まれる食物繊維キシランを原料として酵素などの作用によって生産されてる。 さわやかな甘味があり、カロリーも砂糖の半分程度。」 すでに述べたように、これら全てのオリゴ糖は基本的に、善玉菌を増やして腸内環境の改善をする、血中のコレステロールを減少させる、血糖値を正常にする作用がある、あまりカロリーを気にしなくていい、虫歯の原因になりにくい、あまり甘くないので使いやすいというメリットがあります。 オリゴ糖は、使いやすい甘味料というだけでなく、すでに健康補助食品としての不動の地位を得ているすぐれものということになります。 ひとつだけ気にかかることといえば、それらのものはほとんど「自然の形のまま存在するもの」ではなく、人間の都合で意図的に、人工的に作られているものだという点でしょうか。 結局健康食品といわれるものは、どういう形であれ「人工的」なわけなので、一概によくないとはいえないわけですが(結局品質の差ということになるのでしょうか)、ただ後々になって、実はあーだった、こーだったということにだけはなってほしくないということです。 次のことばには一理あると思います。 「砂糖に代わる甘味料は本当に必要か」 「砂糖のマイナスを補うのを目的に作り出された砂糖に代わる甘味料ですが、そのマイナスは、砂糖そのもののせいではなく、摂取量、使い方の問題です。 調味料、甘味料としての砂糖の優秀さは、これまでもたくさんの栄養学者や料理家から評価されてきました。 要は、砂糖の『害』を必要以上に気にして、砂糖よりはるかに値段の高い砂糖に代わる甘味料に走るより、砂糖を害にしない上手なとり方、使い方を身につけることが、かしこい消費者になる早道というものです。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.03.29 22:30:13
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