なぜか突然、健康生活はじめました! ~自分の食べているもの、使っているものをもっと知りたい!~

2007/04/25(水)08:15

煮干しは牛乳より安全?!

日本の伝統的食文化(5)

健康にいいと思って摂取していたものが、実はよくないものだといわれたり、健康にいいといわれるものでも、「ホンモノ」と「ニセモノ」があって、「ニセモノ」は健康によくないものであったりと、なかなか難しい世の中になってきています。 そうした中、我が家でも例の「牛乳性悪説事件」(勝手に事件にしてしまいました)の影響で牛乳に代わるカルシウム源として、また添加物たっぷりの甘いお菓子や珍味の代わりに、あるいは化学調味料をやめて本物の「だし」を取るためなどに、「煮干し」を使う(食べる)ことが多くなりました。 では、この「煮干し」は大丈夫なのかということになりますが、そうでもないところがあるようなので少し整理してみたいと思います。 ―「だし」四天王のひとつ煮干しとは― 「小魚を煮て干したもので、主に出汁をとる材料として使われる。」 「カタクチイワシで作ったものが最も一般的だが、マイワシ、ウルメイワシ、キビナゴ、アジ、サバ、トビウオ(あご)などを原料としたものもある。」 「イリコ(炒り子)、じゃこ(雑魚)、だしじゃこ(出汁雑魚)など多くの別名がある。」 その原料の製造過程は― 1.洗浄 「水揚げされた原料(例えばイワシ)は、その鮮度を保つために、砕氷にとともに煮干し加工場まで運ばれ、真水で洗浄されます。この段階ではイワシの70%程度は水分です。」 2.煮熟 「洗浄されたイワシを90℃から95℃に熱せられた約3%の塩水で煮ます。 煮ることにより、イワシがもっている酵素の働きをとめて腐敗を防ぎ、タンパク質を凝固させます。」 3.乾燥 「煮熟されたイワシは乾燥され、水分が15%から18%になれば出来上がりです。」 「昔は天日で乾燥させていたのですが、現在では温風乾燥機や冷風乾燥機も使用されています。」 「昔ながらの 天日乾燥が煮干しにとって必ずしも最良の方法ではありません。4月から9月の直射日光は紫外線が強すぎるので、煮干しに悪影響を及ぼします。」 「秋の彼岸から春の彼岸までの日差しは煮干しにとってちょうど良いとされています。 また、冷風乾燥の方が温風乾燥より煮干しの酸化の程度が低く仕上がります。」 「煮干し」の弱点― ここでやっとキーワードが出てきました。 煮干し作りと「酸化」は切り離せない問題のようなのです。 煮干しの原料となるイワシなど青背の魚には、今話題のEPAやDHAというからだにいいといわれる「n-3系」の脂肪酸がたくさん含まれていますが、「それらの物質は高度不飽和脂肪酸と呼ばれる酸化しやすい」脂なのだそうです。 「煮干しの酸化が進行するとEPAやDHAの機能は失われ、生臭みが出てくる等、風味も損なわれてしまいます。」 さらに機能や風味が失われるだけでなく、からだに悪い「過酸化脂質」(さびた油)にもなってしまいます。 残念ながら、「煮干しはイワシを煮て乾燥させるだけで製造されるので、製造工程の乾燥中に酸化が相当進みます(ちなみに鰹節は 煮て燻しをかけながら乾燥させるので、鰹節の表面にタール分が付着し酸化を防ぎます)。」 さらに、「温風乾燥機を使用すると 酸化は促進します。冷風乾燥機を使用すれば酸化が緩慢なのですが、乾燥時間とコストがかかります。」 そして、「酸化が相当進行すると油焼けと呼ばれる現象が見られます。具体的には煮干の表面が黄ばみだし赤くなっていきます。この状態になって、酸化の度合いが目で確認できるようになります。」 こうなってしまっては当然売り物になりません。 そこで、この酸化を防ぐために酸化防止剤を添加するわけです。 「天産品(天然物)なので全て無添加と思いがちですが、添加物を使用したものがあります。」 「全国煮干協会では、酸化防止剤としての『抽出ビタミンE』の使用を認めております。」 「流通量は、無添加品と半々くらいでしょうか?」 酸化を防ぐために「抽出ビタミンE」の他にも、「BHA」というものも使用するようです。 「全国煮干協会では、この種の添加物使用品の流通をさせないよう話し合いがなされていますが、会員の中にも使用したものを好む業者もあります。煮干し類の酸化を遅らせるのにとても有効だからです。」 BHAは、ほんの少しの量で劇的な効果があるのだそうです。 「食品衛生法で禁止されていない物質ですので、規制するわけにはいきませんが、消費者のイメージを確保するためにも」協会としては、使用しないようにと謳っているということです。 酸化防止剤のほかに、中には「着色料」が使用されているものもあるそうです。 「必要ないと思うのですが、使われているものがあります。煮沸した魚の目は白いはずなのに青くなっていたりするので分かりやすいです。」 また、量販店で販売される製品の多くは、密閉容器に脱酸素剤と伴に封入され、酸化を防ぐ工夫が施されているのだそうです。 「低温で保管されていると、煮干しの酸化とそれに伴う油焼けの進行は緩慢になります。」 ということで、家で煮干しを保管する場合は、密閉容器に脱酸素剤と一緒に入れておくか、冷蔵庫、冷凍庫に入れて置くのがいいのだそうです。 煮干しについては以上です。 煮干しにも「3種類ある」ということがわかりました(着色料添加は論外です)。 「無添加」のもの、「抽出ビタミンEが添加」されたもの、「BHAが添加」されたものです。                                                  無添加煮干                                                         では次に、添加されているものについて整理していきたいと思います。 ―ビタミンEについて― ビタミンCと違い、脂溶性のビタミン。酸や熱に強い。 ビタミンEもビタミンCと同じようにとても優れた特性があり、人間には不可欠な物質です。 酸化を防ぐ働きは、人間のからだの中でもやってくれるので、その機能、特徴は以下のようなものになります。 ・体内の過酸化脂質の生成を防ぎ、細胞の老化を防ぐ働き。 ・血液中にあるコレステロールの酸化を防ぐ作用があり、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの生活習慣病を予防する効果あり。 ・末梢神経を広げて血行を促進し、自律神経を整える。 ・血流がよくなるので、冷え性や肩こり、腰痛などが改善される。 ・全身の血行がよくなることで新陳代謝が活発になり、肌にハリが出る。 ・紫外線に対する抵抗力を上げる特性もあるので、シミやそばかすにも効果的。 ・女性ホルモンや男性ホルモンの代謝にも関与しているので、生理痛や生理不順を改善、最近では、女性の不妊症や更年期障害の治療に使用されている。 男性の場合は、精子の数を増やしたり、活性化させるなど精力を高める効果がある。 脂溶性ビタミンということで、油で炒めるなどの調理をすると、吸収効率がよくなる。 また、ビタミンCといっしょに取ると、相乗効果で抗酸化パワーがアップする。 ビタミンEは化学名をトコフェロールといいますが、1つだけあるのではないそうです。 「ビタミンEにはトコフェロールとトコトリエノールがあり、それぞれα、β、γ、δの4種類、計8種類あります。」 工学異性体というのだそうです。 そのうち、上述のような人間の体内での働きに優れているのはα-トコフェロールだそうです。 そこで、このα-トコフェロールを工業的に造ろうということになるわけです。 その方が安く、大量に、安定して販売できるからです。 「安価に日本で販売されるビタミンEの多くが、人工的に作られたα-トコフェロールだけを含む商品です。」 「人工という意味のdl-という表示が付いているかを確認してみてください。天然のトコフェロールはd-という表示になります。」 合成のビタミンEの原料は、「トリメチルヒドロキノン」と「イソフィトール」というものだそうです。 残念ながら、これが素人にわかりやすくいうと何なのかはよくわかりませんでした。 とにかくこれに、さまざまな化学物質を反応させてα-トコフェロールを作るようです。 ちなみに「ヒドロキノン(皮膚薬の場合はハイドロキノンと呼ばれることのほうが多い)は、その強力な漂白作用を利用して、美白剤として皮膚科などで処方されるほか、薬局などでヒドロキノン配合の軟膏・クリーム等が市販されている」ということです。 全般的にビタミンは、人工的に合成されたものよりも天然のものの方が効果があるといわれていますが、その中でも特にビタミンEは、天然のものの方がいいとされているようです。 「ビタミンEは天然と同じものは作れない為に、合成ビタミンEは天然ビタミンEにくらべて生理活性が劣ります。」 「生理活性が高いのは天然のトコフェロールです。 最近の研究により天然と合成では生体内の利用性が1:0.5程度とされています。」 「天然素材から抽出したトコフェロールには、分離しきれない4種類のトコフェロールが含まれます。 抗酸化作用は、これらの4種類のトコフェロールが入っているビタミンEが最も強いといわれています。」 「4種類のトコフェロールとは、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールです。」 「合成ビタミンや、天然素材からビタミンを抽出し合成した物は、成分表に書いてある、ビタミンや栄養素しか入っていません。」 「しかし、天然素材を無精製でサプリメントにした物は、食物が持っている、カロチン群やフラボノイド、ファイトケミカルなども含んでおり、それらの物も同時に摂取できます。」 「こういった物質は、ビタミンの働きを助けたり活性酸素を除去したり、人に有用な作用を示すことが知られています。」                                    「フィンランドショック」という言葉があるそうです。 1994年にフィンランドで合成β-カロチンとプラセボを投与して喫煙者が肺がんになる確率を調べたというものです。 結果は、合成β-カロチンを与えたグループの方が、プラセボのグループよりも肺ガンになる人が多いという以外な結果がでたのだそうです。 β-カロチンは体内でビタミンAに変わり、そのビタミンAはビタミンEと同じように抗酸化作用があるといわれているものです。 にもかかわらず、試験の結果は逆になったわけです。 ここで導き出された結論。 「ガン予防はβ-カロチンだけが働いているのではなく、野菜や果物が持っている、α-カロチンなどのカロチン群や様々な機能性成分が相互的に複合して働いているという事です。」 「そして試験中の喫煙者においては、合成的につくられたβ-カロチンでは、ガン予防どころか逆にガンを誘発する」結果になったということです。 ビタミンCの項でもありましたが、ビタミン類はその由来を見て選択することがとても大事だということがわかります。 酸化防止剤としてのビタミンEについては続きで。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る