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カテゴリ:日本の伝統的食文化
「養殖魚」が基本的に危ないのはわかりました。
では次に、それぞれ個別の魚についてみていきたいと思います。 ひとつめは、「サケ、マス」です。 まずは基礎知識を。 分類からいきたいと思います(恥ずかしながらサケとマスの違いもよくわかりません・・・)。 マス(鱒)とは、サケ目サケ科に属し名前に「マス」がつく魚。 日本では一般に、サケ類(ベニザケ、シロザケ、キングサーモン等)と呼ばれる以外のサケ科をまとめた総称。 サケとマスの境界が厳密でないため、国により区分方法が異なる。 マスは淡水の川や湖に生息し、北アメリカ、北アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドに分布している。 一般にマスといえばサクラマス、サツキマス、ニジマスなどをいう。 シロザケ ニジマス う~ん、わかったような、わかんないような。 ということで、分類表も載せます。 イワナも仲間なんですね。 それはともかく、サケとマスは種的に近い魚だというのはわかりました。 別名もいろいろあるようです。 (シロ)サケに関しては、シャケ、アキアジ、イヌマス、メジカ、トキシラズ、鼻曲り、ブナなど。 「アキアジ」とは、秋にとれるサケが格別おいしいのでそう呼ばれるのだそうです。 鯵(アジ)に馴染みの少ない北海道では、「秋鯵」と書いたり、秋の味覚の代表という親しみを込め「秋味」と書く人もいるとのことです。 それに対して、初夏に捕れるサケは「トキシラズ(時不知)」と呼んだりするそうです。 そのほか各地域によって、いろいろに呼ばれているようです。 というのも、縄文の昔から日本人にとって「サケ、マス」は身近で特別な存在であったことによるようです。 本来は全くといっていいほど捨てる部位が無く、その全てが人間にとって有効に利用されることから、アイヌでは「神がくれた魚」として崇められてきたそうです。 しかしその生態に関しては、まだ謎の部分が多いとのこと。 「一般にサケの子どもは、川で生まれるとすぐ海に出て、北太平洋のあたりを夏は北の方へ、冬は南の方へと広範囲に回遊しながら、オキアミ、小魚、イカなどを食べて成長します。」 「少ないもので1回、多いもので6回くらいの冬を海で過ごした後、7月頃にたまごを生むために生まれた川に向かいます。たまごを生む時期は9月から12月頃です。」 「生まれた子どもが、川の水で生活できる期間が、数日から2ヶ月くらいと短いため、海に近い中流から下流のあたりの、地下から水のわき出るところに穴をほってたまごを生み付けます。」 「サケが、なぜ北太平洋のような遠いところから生まれた川にもどってくることができるのかについては、いろいろな説がありますが、まだ完全には分っていません。日本の近くまでくると、川のにおいで生まれた川が分るといわれています。」 「たまごを生むために川に上ってくる時期には、オスの上あごがかぎのように曲がるので、『鼻曲がり』とよばれたりします。」 サケ、マスは味覚だけでなく、栄養価的にも抜群なようです。 「ビタミン群が豊富でとりわけビタミンDが多く、100g(約1切れ)中に130IUも含んでおりカルシウムの吸収に役立ちます。」 「まとめて摂ったほうが有効であるビタミンB群(B1・B2・ナイアシンなど)は成長促進、消化を助ける、胃腸障害をやわらげる、血液循環をよくするなどの効果があげられますが、サケはそのビタミン群をすべて含んでいます。」 「さらには良質なたんぱく質を100g中20gも含んでいます。」 「血行をよくして肩こりを解消したり、胃腸を温めたり、脳細胞を活性化するビタミンEやDHAも多く含んでいるので、デスクワークで疲れやすい人におすすめの魚です。」 「また、サケは加工しても栄養が損なわれません。粕漬け、くんせいなど加工食品もたくさんあります。」 ただし唯一の欠点は、体内にアニサキスという寄生虫がいることが多いため、生食するのは危険だということです。 アニサキスはサケの身を加熱するか、「ルイベ」のように一旦冷凍することで死滅します。 また、サケの身は赤いですが、生物学的には赤身魚ではなく、白身魚に分類されるのだそうです。 というは、サケの赤色は酸素結合性タンパク質「ミオグロビン」(=一般に動物の筋肉が赤いのはこのタンパク質に由来する)によるものではなく、餌として摂取した甲殻類の外殻に含まれる「アスタキサンチン」(=今話題の抗酸化物質のひとつ)という成分によるからだそうです。 サケ、マスについてのある程度の基礎知識がついたところで、問題の「天然/養殖」について整理してみます。 せっかくのおいしくて栄養分の多い魚です。 食べるならちゃんとしたものを選択しなくてはいけません。 その前に、養殖魚全般についての問題点のほかに、養殖サケで特に指摘されている問題点をひとつあげておきます。 それは何かというと、「養殖サケは、天然のサケの5倍以上もPCB(ポリ塩化ビフェニル)類が高濃度で含まれるという研究報告がある」というものです。 「PCBの濃度をダイオキシンに置き換えて計算し、日本の1日耐用摂取量と比較すると、子どもならサケ一切れ(170g)で超えてしまう」のだそうです。 よくあるように、それを否定する、養殖サケは安全という報告もまたあるようです。 確かに輸入養殖サーモンの中でも、ノルウェーサーモンなどは生産履歴の記録が整えられていて、抗生物質の使用も極力避ける取り組みをしているといいます。 しかし、養殖サーモンには脂質が多い(脂がのっている)点、そして、PCB、ダイオキシン類を始め、毒物全般は脂に蓄積しやすいことを考えると、やはり危険性は高くなるといえるようです。 (ちなみに、養殖サケは天然サケに比べると、脂質が3~4倍あり、反対にたんぱく質は少ないのだそうです。) ○ ここからがエクササイズです(「これであなたもサケ・マス通!」)。 サケは種類によって、天然、養殖がある程度判断できるとのこと。 ならば、その種類を覚えてしまいましょう! 普通は、養殖なら養殖と表記されているのでそれを見ればわかります。 しかしそんな種類でもないので、この際覚えてしまって、安心安全でおいしいサケ、マスを食べるようにしましょう!(姿形だけ見て判断せよというわけではないので。) <天然サケ・マス> ・「シロザケ」(上述のように地域によって別名もあり)。 日本で獲れる天然サケ。 手に入りやすく、値段もあまり高くないのでオススメ。 サケといえばシロザケ、これが基本になるようです。 ・「ベニザケ」もほぼ天然。 味がよいと評判が高いが、値段もそれなりに高い。 アラスカ、ロシア、カナダからの輸入が多い。 日本では獲れないから、北海道産の表示があるものは、ロシア沖で獲って、北海道の港で陸揚げしたもの。 ・「カラフトマス」もほぼ天然。 日本のサケ缶のほとんどはこれ。 ・「キングサーモン」 「マスノスケ」とも呼ばれる天然ものは、稀少であまりお目にかからない。 最近は、養殖もされているので注意が必要(ニュージーランドキングサーモン社など)。 ・「サクラマス」もほぼ天然。 別名「本マス」「ママス」とも。春を告げる魚ともいわれる。 国産のものはそれなりに値段もはるようです。 <養殖サケ・マス> ・「ギンザケ」 ・「アトランティックサーモン」 ・「トラウトサーモン」 スモークサーモン、パック寿司、回転寿司、レストランで出る生のサケは、ほとんどがこの3種類のどれか。 天然なら強調して表示されていたり、値段がとても高いのですぐわかる。 どれも日本には分布していないが、ギンザケは日本でも養殖されている。 ちなみに、養殖サケには寄生虫のアニスキスがほとんどいないために、刺身の生サケ(サーモン)が普及したのだそうです(おいしいんですが、残念です)。 ・「ニジマス」 国内各地で盛んに養殖されている。 釣堀などでもおなじみ。 外国産ではトラウトという名で流通しているものもある。 養殖サケが、世界市場でこれだけ増えているのは、日本の消費者が脂たっぷりのサケを好むからだそうです(確かに)。 南米チリからは、約10万トンのサケ、マス類が日本に輸出されていて、これはチリのサケ、マス養殖量の半分に当たるそうです。 また、ノルウェーの養殖魚の95%はアトランティックサーモンで、日本への輸出もどんどん増えているとのこと。 さらには今後の問題として心配されることに、遺伝子操作した魚の実用化ということもあるそうです。 そして、その先頭を走っているのがサケであり、例えばニュージーランドのキングサーモン社は、通常の5倍の大きさになる組み換えサーモンを開発したとか(SF映画のようです!)。 そんな先のことよりも、もっと身近に今日本で懸念されることもあります。 それは、安い輸入養殖サケ、マスの人気が高いため、国産天然サケ、マスが売れなくなって、結果として、それを求める人の手になかなか行き届かなくなるという、猶予すべき悪循環が発生しているということです。 自分たちの健康を考える上でも、日本人が古来から親しんできた国産天然サケ、マスを見直し 積極的に食べるようにしたいものです。 結局、国産天然となると一番手に入りやすいのは、シロザケということのようです。 今まで本当はどこの何という名のサケ、マスを食べていたのか気にもしていませんでした。 とりあえず養殖と書かれているものは除外するとして、果たして近隣のスーパーに養殖以外のサケ、マスがあるかどうか、またシロザケはあるかどうか、値段とともにちょっと気になります。 サケは身近で安価なおいしい魚だと思っていたのですが(日本の朝食の定番ですよね)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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