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2003年12月26日
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 今日も北朝鮮による拉致家族のことを各マスメディアが採り上げていたが、一向に埒が明かなず解決のメドが立たない。工作員を送り込み次々と日本人を拉致しておいて、引き換えに莫大な経済援助と体制保証を要求する北朝鮮政府には、心底腹立たしい。しかも、帰還事業で夫とともに北朝鮮に渡った日本人妻に対しては、出身成分が悪いということで50余りある中で下から2番目とか。しかも、個人の思想や自由は剥奪され、少しでも体制への不満を漏らすと隈なく張巡らされた密告により山奥の炭鉱現場に送られ食事もロクに与えず過酷な強制労働に就かせたり、家族共ども僻地へ送られて不自由な生活を強いられるのだ。政治犯収容所に送られるとナチスの収容所よりも劣悪。過酷な状況下で想像を絶する残酷極まりない拷問やリンチが待ち受けている。が、入ったら最後、数年で出所できるのは極めて極めて僅か。半数以上が廃人になるか出所することなく収容所内で死ぬしかない運命となる。こうした、民主主義とはほど遠い異常な国家が現存すること自体、信じられぬことだが、一般の北朝鮮国民のためにも金正日王朝とも言える独裁体制を一刻も早く瓦解させねばならない。
 以前から、命からがら脱北した人たちの手記が出版され書店の店頭に並んでいたが、昨年9月に日朝会談で金正日が拉致を認め、拉致されていた5人のみが日本の土を踏むことができたが、その後は一向に進展せず。これ以後、前にも増して脱北者たちの生々しい手記が出版されたが、果たして首相をはじめとした閣僚や外務省の面々はこれらの手記を何冊かでも目を通したことがあるのだろうか。何かで読んだり聞いたりしたことだが、「脱北者は受け入れてもらいたいために自分の都合のよいことしか言わないし、話も誇張して喋るので全部を信用できない」と発言する人物もいたので、開いた口が塞がらなかった。また、国会議員の中にも「北朝鮮を刺激するのはよくないし、人道上の観点から経済援助や食料支援はやるべし」との意見が多く、呆れてモノが言えない。
 確かに人道援助はするべきだが、今までの例からすると、援助物資を兵器と交換したり、軍に回したり、金一族に流れたりで、肝心の国民にはほとんど配給されずにいる。何度かテレビで民間の支援団体が北朝鮮に渡り、集めた米を現地の住民に配ったりしていたが、彼らはこれで直接渡すことができたと思っていたようだ。ところが、これは事前に北朝鮮側が現地住民を選び、後から回収することを承諾させていた演出ることが暴露されてしまった。支援組織が本当に末端まで米が行き渡ったかを確認するのは、側で絶えず目を光らせている案内人や現地幹部がべったりとへばりついている状況下ではムリな話でる。
 多くの日本の識者やテレビのニュースキャスターが人道上の支援の必要性を、政府当局に対して事あるごとに訴えているが、間違いなく末端まで米が配給されて、北朝鮮人民の口に入るところまで見届けることができるならば支援は大いにすべきだろう。政府米にしろ民間の供出する米にしろ、現地に行って一人ひとり配ったとしても、日本側の配給監視担当者がいなくなれば、すわっ、とばかりに党や地方幹部の命令で即座に回収に乗り出すので、肝心の腹を空かせた一般人民米を手にすることは非常に少ないのである。しかも、回収された米は結局、党の米蔵に収められるが、その前に少しづつ党員や地方の幹部がくすねてしまう。
 これは何も援助米に限ったことではなく、医薬品にしても同様で、援助したほとんどの医薬品は配給されず、党が独り占め。配給するときは、順次、党中央に対して忠誠度が高い病院や上層幹部から配られるので、なかなか地方の病院にまでは必要量が回らないのが現状である。そのため病気や怪我で病院にかかろうとすると、治療代だけにとどまらず、担当医をはじめとして看護婦や病院関係者への賄賂を必要とするので、少々の病気や怪我では我慢するしかないのである。第一、手術に必用な麻酔薬が極端に不足しており、麻酔薬なしでメスを入れるのが常だ(実際は援助物資の医薬品の中には麻酔薬も沢山入れてあるのだが)。おまけに病院があっても浄水場が完備していないので清水が出る所は少なく、そのために何度もその水を使わざるを得ないのが実情である。 
 上層部や党幹部を除いて多くの国民は長年にわたりその日の食にも事欠き、空腹のため精気が失われ元気がなく、ほとんどが栄養失調の状態だ。体制批判よりも「今日はどうやって食料を手に入れようか」と、そのことばかりを考え、他のことに頭を巡らすゆとりはない。
 では、どんな形の食料支援がよいのか、私なりに考えてみるに、北朝鮮に米をはじめインスタントラーメンやレトルト食品を持ち込み、人海戦術で各地方の末端まで行き、現地でおむすびやラーメンを作ったり調理して目の前で食べてもらうことだ。そのためには、当地の人たちの顔色がよくなるまで常駐するか、入れ替わり立ち代り足しげく日本と北朝鮮を往復することと、多くの人材を必用とするが、如何であろうか。尤も、このやり方だと北朝鮮は受け入れてくれそうもないが・・・。

 昨年のことだが、たまたま或る会合で北朝鮮の教科書を手にとって見ることができた。が、その内容を見て驚いた。算数も国語もアメリカと日本を憎み、敵視するような問題が至るところに載っているのだ。天敵の如く、共に天を戴かずの敵視政策を子供の時から植え付け、洗脳しているのだ。そのような教科書に、怒りを通り越して滑稽さを感じたものである。
 私は昔、と言っても、昭和49年に産経新聞のグループ企業に就職した。当時、新聞には蒋介石秘録の連載が終わったところだったと記憶しているが、その後、柴田特派員による「北朝鮮 脅威の構造」の連載が始まり、そのあまりにも常軌を逸した北朝鮮の内情に驚き、毎朝支局に出社すると真っ先に新聞を広げたものだ。この連載は3部構成で、確か、第2部が「望郷の日本人妻」だったと思う。この時、帰還事業で夫と共に北朝鮮に渡った日本人妻が1800人余りで、その生活状況は悲惨を極め、涙なくしては読めない内容であった。 それは、日本にいる身内や親戚・塩類などに宛てた手紙で、お金をはじめポリ袋や日用品や古着、食料品などを送ってほしいという切実なもので、如何に酷い生活であるかが行間から伺える。手紙を受け取った側では、何とか援助してやろうと出来る限りの物資を集めて送るが、送っても本人の手に渡る頃には半分かそれ以下に減っているのだ。向こうへ届いても次から次に抜かれてしまうからであるが、だからと言って文句を言おうものなら嫌がらせはまだしも、下手をすると、ある日突然何処かへ連れていかれ、連絡は途絶えて再び家族の元に戻ることは不可能に近い。まさに北朝鮮社会は密告と賄賂の国で、要領よく立ち回る人間しか浮かばれない社会なのだ。
 この「北朝鮮 脅威の構造」終了後だったか、今から25,
6年前のことであるが、日本の各地で行方不明者が続出する
ようになった。家族からの捜査依頼により当局も腰を上げて一時は懸命な捜査に乗り出したが、結局解明できないまま謎として打ち切られた経緯がある。この時、一連の行方不明事件に不審を持った産経の一人の記者が、行方不明者たちの家族を訪ね丹念に取財、取材メモを照らし合わせるうちに段々と点から一本の線につながり、某国の仕業ではないかと確信を得るようになり、デスクのゴーサインの了解のもと、行方不明者の顔写真と消えた直前の状況を、新聞2面を割いて記事にしたのだ。ところが他紙は、「北朝鮮によるハッキリした根拠がない」とか、「産経の勇み足」とかといった冷たいものであった。
 それから8年後だったか、一人の共産党員と朝日テレビのカメラマン(だったと記憶)が立ち上がり、それぞれが集めた情報を持ち寄った。各々の資料をつきあわせると、やはり北朝鮮工作員による拉致の可能性が高いことを確信しすうに至るのであるが、それぞれ立場は違うが今度は3人で確たる証拠を得を元に行動することになったのである。産経の記者にとってこれは心強い協力者であった。しかし、それでもマスコミは動かず、黙殺に近い態度を取るのである。中には、もしかしたら北朝鮮工作員の仕業が濃厚なようだと確信する国会議員もいたが、多くの議員は騒ぎ立てるのはまずいと、見て知らぬ振りを決め込む議員や黙殺する新聞まであった。つまり本気で拉致・行方不明の問題から意識的に避けていたのだ。テレビに出るコメンテーターの一部には韓国安全区画部の情報操作による北朝鮮を陥れる仕組まれた事件だ、と言うものまでいたのである。   以下次号





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最終更新日  2003年12月27日 01時33分38秒
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