手私は、待っていた。物心ついた時から、今でも、寝る前の灯り。恐ろしい毎日。 でも信じていた光景を覚えている。 きつくて必死だった。でも、いつか私を助けてくれる。 そんな救いの手を、ずっと待っていた。 どんどん時間は過ぎ、今はもう、来ないのだとわかっている。 でも、まだ私は待っている。この暗闇から私を救ってくれ る手を。子供だった私は、抱きしめられることなく育ち、 大人になった時、抱きしめてくれる手に次があることを、 ただ純粋に抱きしめてもらえないことを知った。 愕然とした。 私は、ただ抱きしめてくれる手を失ってしまっていた。 私は、外側の私ではなく、本当の私も、弱くて泣き虫で ただ抱きしめてくれる手を救ってくれる手を待っている、 子供の私も愛して欲しい。救って欲しい。そんなことは ないんだとわかればわかるほど、苦しめば苦しむほど、 その手をどうしても渇望してしまう。 子供のようにただ抱きしめてくれる手が欲しい。 私のこの素直じゃない心もわかってくれるそんな人いない と思う。でも、渇望している。 私の外じゃない、内側の心に気がついてくれる人をそんな のがわからないように振舞うのが恐ろしく上手で、絶対に 無理だろうと思いながら。 でも、待っている。私だけの手を。 |