カテゴリ:創作ことば
ほくろのない男 ![]() その男は、ある日自分にほくろがないことに気がつきました。 目の中からお尻の穴まで探したのですが、ほくろが一つもないのです。 男は困ってしまいました。 「ほくろのない男」って何だかはずかしいじゃないですか。 これは誰にもばれちゃいけない。一人でシーっとやりました。 うまくいきました。 彼のほくろ不備は何年たっても、誰にも全く気づかれません。 やったあ!めでたしめでたし。 そんなわけで、彼は、ほくろについて忘れていったのでございます。 しかし、好きな女の子ができて、男はまたほくろなしが気になるようになりました。 どうしようどうしようどうしようどうしよう。 眠れない夜に耐えられず、 とうとう男はほくろの作り方を聞きに行ったのでありました。 「おしょうさん、ここはひとつ、ほくろの作り方を教えておくんなせえまし」 「いいけれども、君にはほくろが全くないのかい?」 「い、いえ!そんなことはありません!あります、あります、あります!」 次の日、彼の左手の真ん中に点のような3つのほくろができました。 念願のほくろ。でも、彼はそれが嫌でした。 5年後に、男は好きな女の子と結婚します。 彼女は正直な人でした。 そして、ほくろを持っていません。 彼のほくろも死ぬまで増えなかったそうです。 おわり! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年04月01日 20時44分19秒
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