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2012年04月01日
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カテゴリ:創作ことば

ほくろのない男

ほくろのない男


その男は、ある日自分にほくろがないことに気がつきました。

目の中からお尻の穴まで探したのですが、ほくろが一つもないのです。

男は困ってしまいました。


「ほくろのない男」って何だかはずかしいじゃないですか。
これは誰にもばれちゃいけない。一人でシーっとやりました。


うまくいきました。

彼のほくろ不備は何年たっても、誰にも全く気づかれません。


やったあ!めでたしめでたし。
そんなわけで、彼は、ほくろについて忘れていったのでございます。


しかし、好きな女の子ができて、男はまたほくろなしが気になるようになりました。


どうしようどうしようどうしようどうしよう。


眠れない夜に耐えられず、
とうとう男はほくろの作り方を聞きに行ったのでありました。


「おしょうさん、ここはひとつ、ほくろの作り方を教えておくんなせえまし」

「いいけれども、君にはほくろが全くないのかい?」

「い、いえ!そんなことはありません!あります、あります、あります!」


次の日、彼の左手の真ん中に点のような3つのほくろができました。

念願のほくろ。でも、彼はそれが嫌でした。


5年後に、男は好きな女の子と結婚します。

彼女は正直な人でした。


そして、ほくろを持っていません。


彼のほくろも死ぬまで増えなかったそうです。



おわり!






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最終更新日  2012年04月01日 20時44分19秒
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