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ほんとの日々

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2023年03月13日
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カテゴリ:朗読
丁度その頃、浅草に『ジゴマ』という
活動写真が流行していました。
ジゴマの大胆不敵な悪漢ぶりは
僕らをも非常に感動させました。
「ジゴマごっこ」という
一種の遊戯が僕らの間に流行しだしたのは、
それから間もなくのことでした。
それは、僕らの中のもっとも強いものがジゴマに選ばれ、
それから次に強いものがニック・カーター探偵になり、
その他のものは三人がジゴマの乾分(こぶん)に廻される外、
全部ニック探偵の部下になって、
ジゴマを捕縛するために大活動をするという遊戯でした。
僕らは夢中になって、
観音様の裏や、奥山の瓢箪池のまわりや、
活動小屋の裏側などを、
ジゴマを追跡しながら、走って行きました。

そして最後に、
はげしい格闘の後、ジゴマを捕まえてしまいますと、
僕らは彼を電信柱かなんかに縄でもって縛りつけて、
そのまま勝手に自分たちの家に帰ってしまいました。
すると何処からともなく、ジゴマの乾分たちが現れてきて、
彼の縄をといてやるのでした。


(堀辰雄『手のつけられない子供』より)

3/25(土)に読ませていただく『羽ばたき』で
重要な役割を占めるのが
ダークヒーロー「怪盗ジゴマ」です。

「ジゴマ」は本当に当時の大大大流行だったようで
堀辰雄はもちろん、
江戸川乱歩も(怪人二十面相の元ネタだとか)
寺山修司も夢中になっていたそうです。

餓鬼大将しかなれなかったジゴマ、しかも「羽ばたき」のジジは
誰よりも腕力が強いだけではなく、誰よりも美しかった。

そんなジジはジゴマごっこをしているうちに
「本当の」ジゴマになってしまうのです。

物語の背景を考えるとすごく残酷で
大人としてはどうしても歯がゆいと思ってしまう。
でもちょっとした謎を秘めながら
このお話は最後まで美しいのが救いです。

物語のよさを過不足なく、そのまま届けられますように。
ジジやキキがお客様の心のなかで動き出しますように。
そんな当たり前のことを思って、今日も準備を進めています。

素敵な耳を澄ますための空間で
どっぷり物語の世界につかってみて下さいね。

ご予約いただいている方はもちろん、
まだ迷われている方もぜひ^^







朗読リサイタル「本棚のソリロキー」 
Vol.3 幼い頃に描いた記憶

2023.3.25(土)
13時開場/13時30分開演

会場 
松明堂音楽ホール
西武新宿線新所沢駅東口直進徒歩3分

演目
「はてしなき世界」小川未明/作
【 子どもの立っている前方には、かがやかしい野原がありました。
そしてうしろには、うす青い空がはてしなくひろがっていました 】
自分はひとりであるというような喪失感とそれでも生まれる希望。
寂しくて明るい、子どもの成長を見守る小川未明の名作。

「羽ばたき Ein Märchen」 堀辰雄/作
【 子供たちは一人きりでは決して夢を見ないものだ。
彼等はいつも一塊りになって、共通な一つの夢を見ようとする 】
ジジとキキ、同じ夢を見た少年たちの耽美で残酷な「おとぎ話」。

チケット 全席自由2500円


席数を限定しています。
ご予約はkirakiracrayon(あっとまーく)yahoo.co.jpへお願い致します。

●休憩を挟み約1時間半の公演です。
●席数を減らしての上演となります。


***

まだまだ心配な世の中です。
くれぐれもご無理はなさらないで下さいね。

ではでは、お体に気をつけて元気にお過ごし下さいますよう。
また皆様にお会いできます日を楽しみにしております。





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最終更新日  2023年03月13日 18時22分14秒
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