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カテゴリ:漢方
肝虚 その二
1 胆経の虚寒 これは体質的なものが主になりますが、胆経の気が不足すると決断力が無くなります。買い物をしてもよく迷います。気が小さいから恐れやすく、おどおどしています。あるいは弱気になります。また溜息が出やすいのが特徴です。これは結局のところ、肝血が不足して胆の陽気がないための病症です。頭痛も肩凝りも胆経の気血が不足しているためのものです。頭痛がすると吐き気を訴える人もいます。このような人の頭痛は、頭が上がらないほど痛いといいます。そうして鎮痛剤を服用しても効果がないことが多のです。もちろん胆経の虚があるからめまい、不眠などもあります。この証の不眠はまったく眠れないという場合が多のです。 2 胃腸の虚寒 血が不足すると胃腸が冷えます。そのために下痢になりやすいのです。月経中に下痢をするというのが特徴です。もちろん常に下痢している人もいる。この下痢は水様性ではありません。粘液便で腹痛は少ないのです。また回数も多くありません。とにかく気持ちの悪い便が出て疲れると表現します。これは肝虚陽虚証の特徴です。男性の場合だと房事過度になると下痢をします。食欲はありません。これは胃の陽気や陰気が不足しての食欲不振ではありません。つまり胃には熱や寒はありません。しかし、血が不足して、胃の器そのものが萎びた状態になっているのです。 そのための食欲不振ですから、無理に食べると普通に食べられるのです。これも肝虚陽虚証の決め手となる病症です。 3 胸の熱 肝血が不足して中焦以下が冷えると、胸には熱を持つのが普通です。もし上焦の熱まで無くなると死亡します。 古典医学では病気を陰陽のアンバランスな状態だとされますが、これを肝虚証に当てはめると次のようになります。 肝虚陰虚証の場合は、肝経と胆経との間の陰陽のバランスの崩れです。しかし肝虚陽虚証になると、肝経も胆経も虚してしまいます。陰陽ともに虚すと重症になります。場合によっては死亡することもあります。しかし、通常は肝胆と相対する部位との間で陰陽のバランスを保とうとします。肝虚陽虚の場合は厥陰肝経と厥陰心包経との間でバランスを取るのです。 そうして、肝経は虚寒だが、心包経には熱が出てくる。この状態を厥陰病といいます。そうして胸の熱が多くなると中焦以下の冷えが少なくなります。中焦以下が冷えると胸の熱が少なくなる、という状態で推移します。 胸に熱が多くなり、肝経の血が多くなって胆経に熱が出てくるようになれば肝虚陰虚証となります。 胸に熱が多くなると動悸や息切れを起こすことがあります。あるいは肺に熱が波及すると咳が出やすくなります。また不整脈を起こすこともあります。自覚的には胸が熱い、ということもあります。そうして胸が熱いと眠りにくく、あるいはのぼせて頭痛がします。 4 下焦の虚寒 肝血が不足して冷えるのですから、下焦も冷えるのは当然です。下焦が冷えると、まず小便が出にくくなります。量も少ないが勢いもない。もちろん足、腹も冷えて痛むことが多いのです。精力はありません。これは男性でも女性でも同じです。 5 その他 肝虚陽虚証が急性の熱病から移行して起こることがあります。これを厥陰病といいます。あるいは体質として肝虚陽虚のある人は、熱が出ると最初から厥陰病になることが多のです。 厥陰病、つまり急性の肝虚陽虚証になると、上熱下冷が急激に現れるので、嘔吐して下痢になり、重症の時は脱洋、手足厥冷、煩躁などのショック状態になります。これは熱病を間違って治療しても起こるが、食中毒などでも起こることがあります。このような時でも慌てずに治療できれば本物です。 6 治療 血が少ないので強刺激は禁物です。灸頭鍼も使いにくい。灸は中極、関元、石門、気海などがよい。鍼は土穴を中心に補います。太衝、太谿、曲池、足三里、丘墟、衝陽などを補います。急性で起こった場合は臍に塩を置いて温灸をするとよいのです。
五、肝虚証の病症まとめ 肝虚陰虚と肝虚陽虚の病理、病症を述べたので、これらを比較しながら、肝虚註としての病症を整理しておきます。
頭 頭痛、頭重、めまい、立ちくらみ等の症状が現れます。頭痛は胆経の通っている側頭部が主になります。また頭頂部(百会穴)が痛むこともあります。これは陰虚と陽虚に共通した病症で、その区別は脈によるのがもっとも確かです。 咽喉 咽喉に何かが詰まった感じがする、(半夏厚朴湯)と訴える場合があります。これは腎気が上昇するためで、腎虚証に多い病症ですが、肝虚証にも腎虚があるので現れることがあります。ただし、陽虚の場合は痛みが出る事が多い。肺燥になると咽喉がイガイガします。 目 胆の実質の病気、たとえば白内障などは肝虚が多いのですが、肝実の場合もあります。要するに血の変化による目の病気は肝に関係します。そのほか視力減退、物を見ていると暗くなる。目が疲れる。目がシバシバするなどというのも肝虚です。特に陽虚の場合は目が開けておれないほど疲れるといいます。肺燥の場合は充血していることがあります。 耳 耳の病気も肝虚または肝実のことが多いのです。これは肝虚、肝実ともに少陽経に熱を持たすからです。たとえば耳鳴りは腎と肝の虚で肝虚証のことがあります。中耳炎は脾虚肝実が多いのです。 鼻 いわゆる中風によって虚熱が発生し、それが上焦に昇ると鼻がつまりやすくなります。風邪ではないが、常に風邪のような感じがあります。同時に眉陵骨痛や頭重を訴えることが多く、鼻炎の人に陽虚の場合があります。これは中焦が冷えて上に熱が多くなるためです。 唇 血が不足すると唇があれる。陽虚の場合は血色が悪くて白くなっています。 肩 陰虚、陽虚とも肩甲骨の内縁から首筋にかけて凝ることが多い。ただし、肝実でも同じような症状が現れる。この肩甲骨内縁の痛みが胸にまで響くことがある。 背部 陰虚、陽虚とも膈兪や腎兪あたりがだるい、痛いという人がいます。ただし、この証は脾虚にもあります。腎兪周辺がだるくて痛む、という人が多く、これは肝虚にも腎の虚があるためで、肝虚証だけでなく腎虚証にも現れる症状です。陽虚の場合は臀部の会陽穴に圧痛が出ています。肺燥の場合は肺兪の周辺に熱感があります。 胸 陰虚の場合は、緊張すると動悸がし、同時に血圧が高くなる人があります。あるいは胸が痛み、病院で狭心症だと言われている人もいます。あるいは脇下から胸にかけて引きつり痛むことがあります。 これは虚熱が胸に昇るためで、脈が早くなり、不整脈になることもあります。陽虚の場合も胸が苦しいとか動悸を訴える場合があります。ただし、血圧が高くなることはありません。肺燥の場合は喘息や咳が出ることが多く、中府に圧痛があります。いずれの場合も壇中に圧痛が出ていることがあります。 腹 脇下の痛みや抵抗が現れます。しかし、これには肝虚と肝実があります。陽虚になると脇下だけでなく、心下全体が張っていることが多いようです。 腰 陰虚、陽虚とも腰痛を訴える人が多く、特にギックリ腰は肝虚です。筋は肝が主るから筋の病気は肝虚のことが多いのです。そのほかに手足や全身の筋肉痛を訴える場合もあります。 手足 陰虚の場合は、足は冷えるが手掌は赤くて自覚的にもほてります。これは胸に熱が多くなると現れる症状です。また下半身は冷えて上半身は熱いことが多いのです。ただし足が赤くなって煩熱するという場合もあります。陽虚の場合は手足ともに冷えてシモヤケができやすくなります。急性に陽虚になった場合は手足の先が煩熱して気持ちが悪いというか、逆に厥冷状態になります。これは肝経と胆経が陰陽の交流をしていないために起こります。 大便 陰虚の場合は熱があるから便秘になる場合が多い。もし下痢することが当ても、この下痢は腎虚によるものだから腹痛が少なく、下痢しても疲れません。腎を補うと(靈鹿參の服用によって)下痢が止まります。陽虚の場合は前に述べたように気持ちの悪い下痢をします。時には下痢の後、出る津液がないために便秘状態になりますが、この時に下剤を用いるとまた下痢になります。脾虚や腎虚の下痢と区別する必要がある。肺燥があると、肺の熱を大腸も受けるので便秘になります。 小便 陰虚は虚熱があるから小便は自利になります。ただし、残尿感を訴える場合があります。虚熱が少なくなると小便は不利になりますが、腎を補うと多くなります。脾虚の小便不利と間違わないようにしてください。陽虚の場合は冷えるので回数は多くなりますが、小便の量は少なくて勢いも弱いのが特徴です。肺燥があると小便が赤くて少なくなります。 月経 陰虚の場合は少ないことがあります。その場合は肥満しかけているのです。これは水が血に変われないためです。これを血分といいます。これは腎虚のこともあります。だらだらと出血することもありますが、肝虚陽虚との違いは脈で区別します。未婚の人は月経痛があります。 既婚で月経痛があると肝実か肝虚陽虚です。陽虚の人の中に無排卵のことがあります。無排卵でなくても不妊が多いのです。冷えると下腹が痛むことが多いのです。 食欲 陰虚は虚熱があるから食欲はあるのが普通です。ただし、虚熱が少なくなり、陽虚に近づくにつれて食欲は減退します。減退はするが、胃が悪くないから食べたら食べられるという。あるいは食べないと仕事できないから、欲しくないが無理に食べると表現されます。食べてみると普通の量食べられる。これは肝虚の決め手になる重要な病記です。脾虚の食欲不振と間違わないように注意してください。 睡眠 陰虚は血が不足して熱があるために、夢が多くて眠ったような気がしない。また胸に熱が多くなるために夜中に眼が覚めやすい。陽虚の場合はまったく眠れないことがあります。このような時に運動すると疲れて眠れると考えている人がいますが、運動すると余計に血が不足して不眠になります。 口渇 虚熱が多いと口が乾きます。陽虚の場合口渇はありません。 汗 虚熱が上昇するので上半身に汗が出やすい。あるいは盗汗もあります。虚熱が少なくなると汗も少なくなります。陽虚の場合は基本的には夏でも汗が出ません。しかし、さほど重症でなければ夏になると顏だけ汗が出ます。あるいは汗が出そうで出ないので顔が痒いと訴えます。
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最終更新日
2006.08.19 09:36:23
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