中国の人民解放軍海軍の艦艇が海上自衛隊護衛艦に射撃管制用レーダーを照射したという事件は国際法上からも大問題で迎撃されてもよい威嚇行為なのである。
日本の探知技術をテストしたのだろうが中国の軍隊は国際法を知らず安易に行動してしまったと云うのが真相のようだ。そもそも日本の戦争力を侮っていることもある行為である。
日本にとってよかったことは、この事件によって、もっともっと、防衛力を高めるため軍民の予算を考え直す必要に迫られていることが分かったことにある。平和ボケはもうないと思う。国産戦車一両つくるのに1,000社の仕事が忙しくなり景気がよくなるという現実経済もあることを国民も知っている。
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またまた人民解放軍が性懲りもなくやってくれた。2月6日昼、北京で久し振りに米国の親しい友人とイタリア料理を食べていたら、突然筆者の携帯電話が鳴り出した。某国有力紙の東京特派員が「ぜひ聞きたいことがある」と申し訳なさそうに切り出した。
一体何事かと尋ねたら、解放軍海軍の艦艇が海上自衛隊護衛艦に射撃管制用レーダーを照射したという。連載第201回目の今回は当初「北京の大気汚染と空気清浄機のバカ売れ」の話を書こうと思っていたのだが、ここは予定を変更し、1月末に起きたレーダー照射事件を取り上げる。
それにしても、この人民解放軍海軍の体たらくには改めて驚くばかりだ。
もしも、ある巨大な軍隊が、中央からの具体的指示なしに独自の判断で、日米の海軍に対しほぼ定期的に「反応テスト」を行うだけでなく、そのことを外交当局にも党中央にも知らさないのだとしたら、一体その武装組織は何なのか。
やはり人民解放軍は通常の軍隊ではない。プロフェッショナルな軍隊であれば、指揮命令系統が明確で、責任の所在もはっきりしているものだ。そんな基本的なことも今の解放軍には決定的に欠けているのだろうか。
こんな軍隊がまともに戦えるわけはない。むしろ、戦えば逆効果だろう。このことを中国人は数千年の歴史の中で知っているのだろうか。このような国と人々だからこそ、「戦わずして勝つ」ための孫子の兵法が発達したのだろう、などと氷点下零度の北京で改めて考えた。
ロックオン
日本の護衛艦に射撃用の火器管制レーダーを照射した中国海軍のフリゲート艦〔AFPBB News〕
事実関係のおさらいから始めよう。各種報道によれば本事案の概要は次の通りだ。
●2月5日夜の小野寺五典防衛大臣緊急記者会見によれば、1月30日午前10時頃、中国海軍ジャンウェイII級フリゲート艦1隻から、東シナ海で警戒監視中の海上自衛隊護衛艦「ゆうだち」に対し火器管制用レーダーの照射があった。
火器管制レーダーを照射したもう1隻の中国船〔AFPBB News〕
●似たような事件は1月19日午後5時頃にも起きた可能性がある。同大臣は、東シナ海において中国海軍ジャンカイI級フリゲート艦から海自護衛艦「おおなみ」搭載のSH60哨戒ヘリコプターに対し火器管制用レーダーが照射された疑いがあるとも述べた。
●これに対し、2月6日、中国外務省報道官は「報道を見てから関連の情報を知った。具体的な状況は理解していない。関係部署に聞いてほしい」とのみ述べ、この事案を中国外務省が知らなかったことを示唆した。
レーダー照射というとあまりピンとこないかもしれないが、2月5日のワシントン・ポスト紙記事はより正確に「先週中国海軍艦船が日本の軍艦を火器管制レーダーでロックオンした(A Chinese military vessel last week locked its weapons-targeting radar on a Japanese warship)と報じている。
ご承知の通り、「ロックオン」とは武器を使用する前段階としてレーダーで攻撃対象を捕捉する行為だ。解放軍軍人もロックオンされることの重大さはよく知っているはず。安倍晋三首相は「不測の事態を招きかねない危険な行為」と述べたそうだが、これは決して誇張ではない。
●今回のレーダー照射は人民解放軍お得意の外国新指導者に対する「テスト」であり、日本側は冷静に対応すべきである。
●今回の「テスト」は、昨年12月に発足した安倍晋三新政権(とバラク・オバマ第2期政権)が中国側の将来の軍事行動に対し「如何に反応するか」を試すためのものだった可能性が高い。
●解放軍のこの種の「テスト」は決して目新しいものではなく、過去十数年間だけ見ても、解放軍海軍・空軍は米国の新大統領の反応を少なくとも2回「テスト」している。
●第1は2001年4月1日の海南島での米海軍偵察機不時着事件、第2は2009年3月8日の南シナ海での米海軍調査船活動妨害事件であり、いずれも当時のジョージ・W・ブッシュ大統領、オバマ大統領の就任後数カ月以内に起きている。
●今回の事件も安倍内閣発足から2カ月以内に発生しており、タイミング的に見て、これらの事件がそれぞれ偶然に発生したとは到底思えず、同様の「テスト」が先の野田佳彦内閣誕生時などに対し行われた可能性も十分あるだろう。
●いずれにせよ、通常の軍事的常識では考えられない無謀で危険な行為だが、今回の事件につき解放軍海軍から中国外務省に事後連絡すらなかったことは決して驚きでなく、また、このレーダー照射が党中央の指示に基づいて行われた可能性も低いだろう。
●今回日本側は中国側に対し2つのメッセージを送った。第1は、あのような危険な挑発に対しても、日本側は冷静に対応し、日本側から事態をエスカレートさせる意図がないことを改めて示したのであり、「テスト」は中国側だけでなく、国際的にも「合格」だったと思う。●第2は、日本側がこの問題をあえて公表したことだが、これの目的は、中国側の挑発行為を日本側はもちろん、米国を含む国際社会が容認しないという強い警告メッセージを伝えることだったと考える。●こうして日本が「テスト」に合格した以上、当面中国側はこの種の行為を自制するだろうし、また、そうしなければならない。中国側がこの2つのメッセージを正確に理解することを祈っている。さもなければ、この種の挑発が続き、日中関係は深刻な事態に発展するだろう。
軍隊の体をなしていない解放軍
中国を強く非難するレオン・パネッタ米国防長官〔AFPBB News〕
筆者のコメントは以上だ。これだけ喋らされて、引用がたった一文とは。ちょっとがっかりしたが、そこは仕方がない。英語によるインタビューの場合、引用されれば運が良い、と割り切っている。
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政府が2月5日に中国海軍艦艇の射撃管制用レーダー照射を発表して以降、東シナ海での中国軍の挑発が沈静化していることが分かった。フリゲート艦は沖縄県・尖閣諸島の北方海域に展開しているものの動きは小さく、連日続いていた戦闘機などの領空接近は途絶えた。中国共産党指導部が挑発を自粛するよう指示したためとみられ、政府は照射が「軍の独断」だったとの見方を強めている。
東シナ海上空では昨年9月以降、中国海軍のY8哨戒機とY8情報収集機が日本領空に連日接近してきた。12月からはY8を護衛する形で空軍戦闘機J10も近づき始めた。緊急発進(スクランブル)する航空自衛隊のF15戦闘機や警戒監視中の海上自衛隊P3C哨戒機などが入り乱れ、偶発的な衝突が懸念されていた。
「年末から一触即発の状態が続いていたが、2月6日以降は驚くほど静かになった」と指摘。別の高官も「フリゲート艦を尖閣北方から後退させることはないが、この3日間の領空接近は皆無だ」と語る。
政府高官はレーダー照射では、党指導部の指示か、軍の現場の独断だったかが焦点?防衛省幹部は「指導部の指示であれば照射を即座に正当化した上で、反発のメッセージとして別の形で挑発に出る準備をしていたはずだ」と分析する。
逆に、挑発が沈静化したことで、国際社会の批判を恐れた指導部が慌てて挑発の自粛を軍に命じたとの指摘が多い。パネッタ米国防長官も中国に自制を求めており、政府の積極的な公表が中国軍の挑発を封じる上で奏功したといえる。
中国では今月10日に春節(旧正月)を迎え、政府は祝賀ムードの中で軍が挑発を再開させるかにも注目している。仮に挑発に出てくれば、今度は指導部の指示であることは明白です。
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