ニーハオ中国

2016/11/23(水)18:13

8歳以前では短期間で第一言語が第二言語に対する優位性を失いやすい?

バイリンガル教育(62)

「子供の異文化体験」は 海外に連れて出られた子供の人格形成の問題を 「個人と文化」の視点から研究したものだが、 その中に第二言語の習得について 参考になる記述があったので、 つばめの感想とともに下記にメモしておきたい。 「P210 第二言語のハンディをあまり感じなくなり、 バイリンガルといえる域に達するのに、 十三~四歳以前に来米した子供で、三年半かかっている。 なお、「日本語より英語のほうがよい」という子は、 全員八歳未満に英語環境に入り、小学校過程の教育を はじめから英語で受けているものが多かった」 なるほど~8歳未満に英語環境に入ると、 割合容易に第一言語が日本語から英語に切り替わるようですね。 8歳というとだいたい小学校2年生、、、 逆にそれ以上の年齢になると、 第一言語は徐々に固まり始めるということでしょうか。 また、途中で異文化環境に入った子供が 言葉のハンディを克服するのにかかる 三年半という時間は、本当に長いですね。 育ち盛りの子供にとって日々様々なことを学んでいく 非常に重要な時期を、大きな言葉のハンディを負って 過ごさなければならないとしたら・・・。 滞米1年目の六年生の女の子の作文は、 そんな子供の状況をよく表している。 「P215 私はなぜか近所に友達がない。(中略)  日本ではすぐに友達をつくるほうだったからだ。  すると考えられるのは、言葉の問題である。  自分では『言葉がわからなくても小さな虫のように  なってはいけない』と思っているくせに、  いざとなると言葉が出てこない」 「P213 来米二年半後において、  日本語のほうが英語より得手というものが、  七~八歳で渡米した者では、十八人中八人にすぎないのに対し、  九~十歳で渡米したものには十二人中十一人もいた」 同じ2年半という時間でも、 7、8歳で渡米した子供が9,10歳になった時点では すでに日本語より英語のほうが得意となる子が多いのに対し、 9,10歳で渡米した子供が11、12歳になった時点では、 ほとんどの子供が日本語優勢のままというのは 興味深い結果ですね。 まぁ、渡米前の日本語の蓄積が多ければ多いほど、 優勢言語の切り替わる時期が遅くなるのは 分かる気がします。 「P214 このような結果は、八~九歳ごろに  第二言語習得について何らかの構造的変化があることを推定させる。 (中略)八歳以前では、短期間で  第一言語が第二言語に対する優位を失いやすいが、  九歳以降は、第一言語が優位を保ちつつ、  第二言語が付加されることが多いという現象を指摘しうる」 こう著者は述べているが、 2年半以降もアメリカに滞在し続けた場合には、 9,10歳で渡米した子供も英語優勢になるという可能性もあり、 この調査だけでは何ともいえない気がします。 ちなみに、さきほどの英語にハンディを感じなくなるのに 3年半かかるというのは13、4歳以前に来米した子供の場合のようですが、 6歳以前にアメリカに来た子供に限れば、18人中16人が、 1年半で英語が日本語より強くなりだしたといいます。 6歳で1年半、7,8歳で2年半、、、 つまり、渡米時の年齢が低いほど、 英語が日本語より強くなるまでの期間が短い ということは、言うことができそうですね。 しかしある時期から、いくら長くアメリカに滞在しても、 英語が日本語を超えて優勢になることはなくなる、 その時期はいつなのか、というのは、 この調査だけでははっきりとは分かりくいですが、 著者は8、9歳以前と以後で、 第二言語環境に入った場合の 第一言語の保たれ方が質的に異なるとみているようです。 そういえば、私が人から聞いた話を紹介した日記、 小学校3~4年での移転には注意!2015.12.6 http://plaza.rakuten.co.jp/yukic08/diary/201512060000/ の内容とも重なりますね。 話は少し変わりますが、「子供の異文化体験」では、 「自分を日本人と思うか、あるいはアメリカ人と思うかという  文化的アイデンティティには、  どの言葉で自己表現を一番容易にできるかが深く関係している。」 ということにも触れられていました。 確かに、言葉は絶対的とまではいえるかわかりませんが、 どの国の対人文化を身につけるかということと並んで、 その人のアイデンティティーを決定づける 非常に大きな要因となるのでしょうね。 そういう意味では、幼稚園、小学校、そして今後もたぶん 中国現地校で教育を受けていくわが子の第一言語は 中国語になるだろうことはほぼ予想できますし、 子供は中国人の子供たちに混じって日々を過ごし、 中国人の親友を作って、対人関係を築いていくと思われるので、 やっぱり中国人としてのアイデンティティーが 強くなる可能性が高いなぁと想像しています。 日本人側の親としてはちょっと寂しい気もしますが、 子供というのは、社会や家庭を含む周りの環境の全てから 影響を受けて大きくなっていくものだという事実を受け入れ、 つばめは状況に逆らわず、うまずやまず、 平静な心で、母親として自分の持っている言葉、 文化(認知、行動、情動)を坦々と子供に伝えながら、 子供の幸せを願って、子育てに励みたいと思います。 ↓北京の秋。 IMG_8162 posted by (C)つばめ IMG_8172 posted by (C)つばめ IMG_8160 posted by (C)つばめ IMG_8372 posted by (C)つばめ IMG_8368 posted by (C)つばめ これは数週間前の写真ですが、 今の北京の気温は0~-10℃まで下がり、 秋というより、もうすっかり冬ですね。 ここ数日で街路樹の葉っぱがドッと落ち、 地面は落ち葉だらけです。 建物全体にすでに暖房が入っています。

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