我思う、ゆえに我あり

2009/07/26(日)15:24

オバマと人種差別問題

時事(190)

ここ数日間、人種差別問題が珍しく浮上している。 事の起こりは、ハーバード大学の黒人教授を警察が逮捕したのを受けて、オバマが警察は馬鹿だといったことから。(これがまた、逮捕した警察官が白人だったりする) 国家元首が地方の逮捕にけちをつけたのだから、本来ならオバマが首を突っ込むべき内容ではない。ので、かなり問題になった。 新聞を読んでも、いくら黒人大統領が生まれたといっても、現実的にはまだまだ人種差別はあるさ、という論調もあれば、警察を擁護する論調もあり、賛否両論。 で、昨日オバマが軽率なことをいった(まあ、正確にはもっと適切な言い回しがあったはずだったといった)と認めつつも、周りの意見はどっちも極端になっている、とやや苦しい自己弁護をし、逮捕した警察官に電話をして、謝ったらしい。 一応、この人種差別テーマはアメリカ社会だとタブーだ。 オバマでさえ、選挙キャンペーン中はこのテーマを出さなかった。ヒラリーもこれで渡り合えなかった。やれば、かなり泥仕合になるし、両方ともイメージを悪くするから。 けれど、白人が黒人を逮捕すれば、濡れ衣じゃないのか?と思うのが普通のアメリカ社会でもある。きっと、そういうイメージがもともとあるから、オバマがこういう発言をした、と捉えるべきである。 が、表で言っていいか?というと、それは別問題。 英語で言う、Politically Incorrect。政治的には間違っている、と直訳できるが、政治的に言えば不利になるというか、公言しちゃいけないこと、というのがその意味あいだ。 例えば、黒人はみんな麻薬をやっている、とか。たとえハーレムでそんな黒人がたくさんいたって、全員がそういう不良じゃない。いわば、偏見。けど、煙のないところに火はたたないわけで、100%やっていないといえるわけじゃない、というのと、今まで白人がまともな職を黒人に与えていない、黒人街のあちこちで麻薬が買えるとかいう現実とがないまぜになって、そういう偏見が蔓延していく。 けど、そんな偏見を信じていても、内輪でいうならともかくも、表で、しかもメディアのマイクの前でいっちゃいけない。 そういうのがあって、うっかり偏見発言をしてはいかん、というので、大概エリート層は黙っている。 上っ面だけのことが多々あるので、本心はどうなのかは、結構疑問だが。 本当に根が深い話だ。 環境がそうさせたのだが、黒人の社会的地位向上運動の基本行動は、どかない。武器などはないし、ちょっとでも暴力を振るおうものなら、刑務所にとっとと入れられて、ひどい待遇を受ける。だから、特に危険なことはしないが、だからといって協力的でもない。むしろ、かなり非協力的だ。 ので、道を歩いていても、絶対どかない、のが黒人、というのが大体のイメージだった。 それが、オバマが大統領選に勝ってから、少しずつ黒人たちの中で余裕ができたようで、道を歩いていても、もっとどくようになったし、ありがとう、とかすみません、とか、もっと言うようになった。 けれど、何かの拍子についつい、お里はでるようだ。

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