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雪華月兎のSSサイト(仮)

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第一章 あーゆーはっぴぃ?


ふわふわと・・・・・・・、ふわふわと・・・・・・・、


柔らかい風に流されて・・・・・・、


向かった先に見えるのは大きな樹。


そこに佇んでいるのは一人の女性、中萌黄の着物に白のエプロン。


そして、髪には白のリボンをして・・・・・・・・。


こちらに気付いた彼女はゆっくりと振り向き笑みを見せる。


モノトーンだった景色にそこだけ鮮やかな色彩が灯る。


ただ、それだけのことに何故か安堵を覚える。


彼女の笑顔につられてこちらも笑顔になる。


その大樹の下に駆け寄って行く。


話し掛ける言葉は取り留めのないこと。


ただ、どんなくだらない事だって彼女は真剣に聞いてくれるし、ちゃんと反応を返してくれる。


笑顔だけが張り付いた彼女が本当の笑い方を見つけてから幾許の時が流れたのかはわからない。


ただ、こうして笑っていてくれる彼女を見ていると自分が本当に癒されていることに気付く。


長い間呪縛に覆われていた少女・・・・・・・・、


その昔、笑顔を知らなかった少女・・・・・・・・・、


ずっと前、一度だけ言葉を交わした少女・・・・・・・・、


最後に、ここへ戻ってくるきっかけを作ってくれた少女・・・・・・・、


そんな遠い昔の出来事を忘れずにいてくれた彼女に何度救われたのだろう・・・・・・。


今、想う事は一つ。


彼女の笑顔がこれから先、ずっと絶えないことを心から願う。








赤い、赤い夕暮れの中、二人の長い影がゆっくりとゆれている。

そのうちの大きい方の影の持ち主がゆっくりと話し掛ける。





「いいんですか、こんなとこで仕事をサボってて?」

「あらら、見つかっちゃいましたか。いえね、お庭のお掃除が少々早く終わってしまって。お料理の下ごしらえも終わってしまいましたからこうしてヒマをつぶしていたんですよ。」

と、鮮やかに切り返してくる。

「あぁ、それなら丁度よかった。俺も今ヒマを潰す為にぶらぶらしていたんだ、相手になってもらって構わない?」

すると、琥珀は笑みをより一層濃くして

「どうぞ、どうぞ、私も志貴さんとちょうどおしゃべりしたかったんですよ♪」

なんて並みの男なら卒倒しそうなことを言ってくる。

「あっ、あぁ。」

少し照れながら頷く。

「どーしたんですか?そんなとこに立ってないで座ってください。」

琥珀さんはそういうと自分の横のスペースをたたいた。

こんな何気ない仕種一つをとってみても、とても可愛らしく感じられる。

「あぁ、そうだね。」

正直、照れている体を無理やり動かして横に座る。

「それにしてもに今日の夕日は文句のつけようが無いくらい綺麗な夕日だね。」

まるで今日一日の終わりを名残惜しむかのように太陽は赤く揺れている。

そんな夕日を見ているうちにふと一つの疑問が口を突いた。

「琥珀さん、今楽しい?」

琥珀が意外そうな顔をしてこちらを覗き込む。

「どうしたんですか、いきなり?」

「いや、なんとなくさ聞いておきたかったんだ。」

これは以前から考えていたことであった。

「琥珀さん、君はもう自由なんだよ?遠野家に縛られる必要なんて無いんだ。」

と、一気に言った。

「わざわざ僕達の為に自分を犠牲にしようとか考えてない?翡翠を連れて好きに生きていっても構わないんだよ?」

琥珀さんは黙って聞いている。

このことを考えていたのは随分前からである。

折角自由になったのに翡翠は相変わらず身の回りの世話をしてくれるし琥珀さんは週末になると戻ってきてくれる。

それに、出ているのもどうやら俺のためらしい。

折角二人とも自由になれたんだからやりたいことをしなくてもいいのかと思っていたのであった。

「そういった意味で聞きたいんだ。今、たのしっ・・・」

と、言葉の途中でほっぺたを持たれる。

そして琥珀さんはくるっと俺の首を横に廻して顔を自分の方へ向けさせる。

琥珀さんの顔が鼻先にある。

柔らかい手が温かくこちらの顔を包む。

思わず魅入ってしまいそうな笑顔がそこにはあった。

「志貴さんっ!」

「はひっ」

唐突に名前を呼ばれて間抜けな返事をしてしまう。

そんな俺の返事を聞いた後琥珀さんはゆっくり口を開く。

「私の顔を見てください。」

そう言いながらにっこりと微笑む。

「今の私を見ても志貴さんはまだそう思いますか?私が楽しくなさそうですか?」

ここにきて俺はようやく悟った、自分がいかにくだらないことを言ったのか。どれだけ馬鹿げた発言をしたのかを。

「うん、確かにその笑顔は本当に楽しそうだ。」

「はいっ、私ももちろん、翡翠ちゃんも今は楽しく遠野家のお仕事をしていますから心配は無用です。」

「あぁ、どうやら俺は随分トンチンカンなことを言っちゃったみたいだ。」

そう言ってる間も琥珀さんの手に挟まれて顔から目を離せずにいる。

「全くです。そんなときはなんていうんでしたっけ?」

「あぁ、そうだね。ゴメン、琥珀さん俺が悪かったよ。」

頭は下げられないので口だけ動かして謝罪した。

「いえ、許しません。朴念仁の志貴さんには罰を受けて貰います。」

と言って顔を抑えていた手を離して代わりに抱きついてきた。

「うわっ、こっこはくさん!?」

「えっと、最近は秋葉様の目もあったのであまりイチャイチャできてなかったですし、やっぱりたまにはコミュニケーションも大切かなぁ~なんて。」

なんて照れながら言ってくる。

「ははは、それじゃあ罰として琥珀さんの気が済むまで抱かれますよ。」

「はいっ、抱かれてて下さい。志貴さんのぬくもりは安心できるんです。」

そういって体を密着させてくる。




やはり、今想う事は一つ。


彼女の笑顔がこれから先、ずっと絶えないことを心から願う。


そして、出来る限りの時間を彼女と共にあることを・・・・・・・・・・・。






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