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雪華月兎のSSサイト(仮)

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外伝 夢現

「志貴さ~ん」

ぽかぽかと太陽の光が差す中庭、季節は秋、涼しくなってきた風になびかれ落ち葉を踏みしめて歩く女性の名は琥珀。

この屋敷の使用人の一人である。

「志貴さ~ん、どこですか~?」

どうやら誰か捜しているらしい。

両手でお盆を持ちながら視線を彷徨わせている。

綺麗な赤い髪が秋風に揺れている。

このお話はカノジョのお話、

それは夢と現の間、

それは過去と未来のちょうど真ん中、

そして、彼女と彼の重なった夢、

・・・・・・・・・・・・・・・そんなお話。











あーゆーはっぴぃ 外伝
夢現





う~ん、どこに行ったんでしょう?

そんな言葉が口からこぼれる。

今日は久しぶりにチーズケーキを作った。

最近作ってなかったので上手に作れるのか不安だったが卵白の泡立ても上手くいき、焼き上がりも完璧、久々な割には完璧に近い作品が出来上がったのだった。

早速、秋葉様と翡翠ちゃんに食べて貰いお墨付きを貰って後は志貴さんに食べて貰うだけとなった。

しかし、部屋を開けたらそこに志貴さんの姿は無かった。

そこで、翡翠ちゃんに聞いた所中庭の方に行かれたと聞き、

折角なら優雅に中庭でお茶会にしようと二人分のケーキと紅茶を持って中庭に来たのだった。

しかし、中庭のテーブルで待っていたのは志貴ではなく、

「ネコさん?」

そう、中庭で日向ぼっこをしていたのは一匹の黒猫だった。

「ありゃぁ~、先約がいましたか」

そう、一人で言ってケーキのお盆をテーブルに置く。

「それにしても志貴さんはどこへ行かれたんでしょうかね~?」

誰に言うでもなく、強いて言うなら黒猫相手に愚痴る。

太陽の光に晒されて柔らかな髪が一層綺麗に輝き、風に揺れている。

ふんわりと穏やかで優しい風は心地よい眠気を誘う。

いけないいけない、と思いぐるりと辺りを見回すがやはり志貴の姿はどこにも無い。

そう思ったとき、不意に『志貴』の二文字が視界を掠めた。

「ん?」

疑問に思い視界を戻すと中庭に面した壁に『志貴』と書かれていた。

聞いた事がある。

かつて、まだみんな幼かった頃この家を使って遊んだゲームの名残だ。

屋敷のどこまで行ったか陣地取りをするゲームだったか・・・・。

もちろん自分がそんなゲームをやっていた記憶なんて無い。

その頃の自分は、屋敷に幽閉されて笑顔を忘れた人形になっていた。

そして・・・・・、




一瞬、思い返すことを拒否する。

琥珀はゆっくり目を開き横でこちらを片目で見ているネコの方を向き、

「今がありますから」

と、笑顔を向けた。

「正直、あの頃の事を思い出すことに嫌悪感はあります。けど、決して嫌なことだけという訳じゃありませんから」

それは、横にいるネコに語るよりは自分に向かって、いや昔の自分に言ったセリフだった。

ネコはやはり静かに見ているだけ。

そして、琥珀はゆっくり目を閉じる。

過去を思い出すため、

そして、今を見詰め直すため、

秋風が一人と一匹の間を通り過ぎる。

それは温かく優しい風、

過去の悲しい出来事を包み込んでしまうようなホントに、本当に優しい風。

そうして琥珀は夢を見る。

過去に在り得なかった夢、

限りなく願望に近かった夢、

優しい秋風に吹かれながら、カノジョは優しいユメを見る。









ふわふわと浮付いた感じ、

何か足場がしっかりしていない所に立たされているような、そんな感覚。

そんな感覚の中、音楽を聞く。

それは何故か懐かしく安心する音楽。

あぁ、そういえば私はこの音楽をどこかで聞いた事があるような・・・・・・、

そう思った瞬間、急に視界がクリアになる。

ぼんやりと見えていたモノたちが急に色付き、景色へと変わってゆく。

遠くから流れていた音楽が近くで聞こえる笑い声へと音を変えた。

そして気付く。

ここは遠野家の中庭で、聞こえる笑い声はここで育った子供達の声であることを・・・・・。

意識がはっきり戻ってくると琥珀は軽くセピアの掛かった景色の中に立っていた。

「はて、これは・・・・・?」

状況が分からないといった様子の琥珀は視界をまわす。

そして、何かを見つけ中庭の先を見つめる。

「あっ!」

そこにいたのは子供時代の志貴達の姿だった。

まだ、幼い感じでどことなく不安げな秋葉、ニコニコと笑っている翡翠、まだ反転していなかった頃の四季、そしてあどけない笑顔を見せる志貴だった。

懐かしい、

琥珀は思わず魅入る。

それは遠い昔の話だった。それなのに今、この場でありありと思い出せるくらい私にとってその映像は輝いていた。

そう、私はずっとこの子達を見ていた。

そして、憎んでいた。

自分の心と自問自答しながら悲しみを含んだ笑顔でその子供達を見つめる。

その時、笑いあっていた志貴達が不意に屋敷の死角に向かって叫んだ。

「琥珀も早く早く~」

そして息を切らしながら来るのは過去の自分だった。

不意に涙がこぼれた。

・・・・・・・・・・・・・何故?

琥珀は心の中で呟く。

考えても答えはでない。

しかし、その涙は止まる事無く溢れ続ける。

そんな琥珀の横を五人が通り過ぎてゆく。

そして、志貴が目の前で立ち止まる。

「ねぇ、お姉ちゃんなんで泣いているの?」

そう言って心配そうに覗き込んでくる。

「どこか痛いの?お医者さん、呼ぶ?」

「いえ、呼ばないで・・・・・大丈夫です」

琥珀はそう言って泣きながら笑みを見せる。

「どこか痛くて泣いたんじゃなくって嬉しくって泣いていたんですから」

口にして初めて自分が何で泣いているのかを認識した。

そう、嬉しかった。

たとえこれが夢だと分かっていても私の目の前にある映像は幼かった私の強い願いでしたから・・・・・。

それによる嬉しさの涙だったのだ。

「そうだったんだ。だったら笑顔でいなくっちゃ。そっちの方が泣くより何倍もいいと思うな」

そう言って幼い志貴ははにかんだ。

「ええ、私もそう思います」

そして琥珀もゆっくりと笑顔を志貴に向ける。

「うんうん、そっちの方が断然いい!」

頷く志貴を見ながら琥珀は問い掛ける。

「みんな、仲良しなんですか?」

そういった琥珀に志貴は笑みで返す。

その笑みで琥珀は胸が熱くなる。

これは所詮夢の中の話、しかしこの笑顔はきっと現実で私が見たものと全く同じ。

きっと志貴さんは私が自由なら、そして一緒に遊んでいたらこの笑顔をくれていたに違いない。

そう思うとまた涙が溢れてきた。

そして視界が滲む。

景色が薄れ、音が遠くなり、そして瞬く間に暗闇に・・・・・・。

そうして、琥珀はまた音を聞く。

先程の子供に似た声、

自分を安心させてくれる声、

その声が自分を呼んでいる。

そう思って瞼があがる。










目を開けるとちょうど志貴がこちらに駆けてくる所だった。

周りはもう夕暮れに近い。

「ごめん、琥珀さん。捜してくれてたんだって?俺、離れの方で昼寝してて琥珀さんの声にも気付かなかった。ホンットごめん」

そして志貴はすごい勢いで頭を下げた。

寝ぼけ眼で志貴のツムジを見ながら考える。

さっきのは・・・・・・やっぱり夢?

隣りのイスを見るとそこにネコの姿は消えていた。

そして何故かケーキも二つとも無くなっている。

はてはて?

そんな事をぼんやり考えていると、

「やっぱり怒ってる?」

なんて情けない声がツムジから聞こえてくる。

「あぁ、志貴さん。別に怒ってないですよ。」

ようやく目が覚めてきた。

「ほ、本当?」

情けない顔をした志貴が顔をあげる。

「はい、私も今までここでお昼寝をしていましたからおあいこです。」

そう言うと琥珀は先程夢で見せた笑顔をもう一度する。

「あぁ、そうだったんだ。じゃあ起こしちゃったのかな?」

「いえ、いい加減夕飯の準備をしなくてはいけないお時間のようですし、良かったです」

「そっか、じゃあ屋敷に戻ろう。いつまでもここにいたら風邪ひいちゃうよ」

すこし肌寒い風を背に志貴は手を差し伸べる。

そんな志貴を見た琥珀は少し考えそして、

「てややぁ~!!」

と、志貴の腕に自分の腕を絡ませる。

「うわっ、ちょ、琥珀さんっ!!」

志貴はテンパって顔が真っ赤になるがそんなことはお構い無しだ。

「ちょっと寒いんでお屋敷までこうやって行きましょう♪」

「うぅ~、拒否権は?」

「もちろんありません♪秋葉様に見つかったらその時はその時で」

そういって笑顔を向けると志貴も笑顔を返してくる。

「分かりました。こうなったら屋敷までとは言わず屋敷の中までこうしていましょう!!」

なかばヤケクソで志貴は言う。

そんな志貴を見ながら琥珀は嬉しそうに微笑む。

「志貴さん、これからもずっと仲良くしてくださいねっ」

「ん、どうしたの急に?」

「いえ、何故か言いたくなっただけです」

思わず赤くなってしまった自分の顔とそれよりさらに二倍は赤くなった志貴の顔。

そして歩きながら琥珀は心の中で呟く、

ありがとうございます。

それは黒猫に向けて言ったのか、この中庭に向けて言ったのか、はたまた夢に向けて言ったのか、

ただ、琥珀は感謝の言葉を残して立ち去る。

後に残ったのは大量の落ち葉にテーブルとイス、

柔らかな夕暮れの日差しと暖かな風、

そして、琥珀の感謝の思い、

最後に志貴と書かれた文字、そして横に佇む二つの文字、





―――――――――――琥珀

















そんな訳で後書きです。
いつもの事ながら今回も琥珀さんでイチャイチャです。
しかし、今回は少し毛並みの違った書き方をしてみたんで雰囲気が変わってるんじゃないかなぁ。
えっと、気のせいですか。そうですか。

まぁ、一応今回のお話は外伝という形ですけどあんまり深く考えてないっす。
別に前後にそんな繋がりがある訳じゃないですしね。
今後は第四話、第五話をチクチク書いていこうかなぁと思っていますがいつになるかは未定。
出来れば年末までに『あーゆーはっぴぃ』シリーズは完結したいと思っているんですが。
う~ん、どうなることやら。
そんな訳で今回はベルギーさんとチャット~♪



雪華月兎「そんなこんなで感想をどうぞ」

ベルギー「あぁ、まさか志貴に殺されたアルクを見たシエルが激怒して金髪巨乳のスーパー一般人になって第七聖典にパイルダーオンとはっ!!」

雪「お前、それ終わりのクロニクルの後書きのパクりだろっ!!」

ベ「まぁ、お前の後書き自体パクりみたいなもんだろ。気にすんな!」

雪「いやいやいや、そーいう言い方はアレだろ」

ベ「そんな訳で感想と言うかツッコミなんだが」

雪「あぁ」

ベ「翡翠のお墨付きのチーズケーキ信用ならねぇ!」

雪「はっ、確かに」

ベ「美味なのか?ほんとに美味なのか!?」

雪「えっと、・・・・・・多分。」

ベ「まぁ、普通の感想言うと最後の所、相変わらずいいなぁ『くは~』ですね」

雪「最後のところ、後書きかぁ~。そんなにいい事書いたかなぁ~、俺?」

ベ「いや~あんな後書きなかなか書けねぇ!って違うわ!」

雪「おぉ、ノリツッコミ」

ベ「なんにせよ、終わり方は良かったぞ」

雪「う~ん、ありがとう。それにしても『くは~』の定義ってなんだ?」

ベ「くは~・【名】主に感嘆、俗にGJ(グッドジョブ)な物を見たときに心のそこから自然とわきあがってくるため息」

雪「ほぅほぅ。じゃあ、どんな時に使われるんじゃろ?試しに『秋葉具現化!!』」

ベ「くは~!!」

雪「おぉ~、じゃあ『終わりのクロニクル三巻の下のコットス&アイガイオン!!』」

ベ「くは~!!」

雪「ふむふむ、『いずれでるであろうFateのファンディスク!』」

ベ「くっは~!!」

雪「ってかお前このチャット後半くは~しか言ってないぞ!」

ベ「わはははは」

雪「ちっが~う!!そこで君がまた『くは~』とか言ってくれたら上手くオチがついたのに」

ベ「くは~」

雪「遅いよっ!!」

ベ「くは~(一息で)」

雪「二度ネタかよっ!」

ベ「あっ、バレた」

雪「当たり前だ!そんじゃ今回は食べわん時みたいに君の名前んとこでリンクしとくよ~」

ベ「いらねぇ!そんな情けはいらねぇ!」

雪「えっ、いいの??」

ベ「ウソです、ごめんなさい。」

雪「はっは~、了解~!」

ベ「ってか、それでヒット数上がるか?」

雪「う~ん、食べわんは上がったみたいよ?」

ベ「嘘だっ!!!」




え~~~~~!?






なんか今回の後書きはグズグズやなぁ~とか思いつつ、
今回はORANGE RANGE「花」を聞きながら書いてます。
この曲いいよなぁ~と思いながら今回はこの辺で。




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