144099 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

雪華月兎のSSサイト(仮)

雪華月兎のSSサイト(仮)

テニスの秋葉様(後編)



涼しげな風が流れていく。

柔らかく、気持ちのいい風だ。

今日はこれぞ秋晴れ!!といったような天気。

とにかく日差しは温かく、風は涼しい。

そんなスポーツ日和の空の下、

とある郊外のテニスコートには不吉な雲が漂っている。

その中心にいるのは不吉な雲と同じくらい不吉な顔をした遠野志貴、その人だ。

正直逃げれることなら逃げてしまいたい。

しかし、そんな儚い願いも虚しく、ゲームは始まってしまった。




テニスの秋葉様







最初のレシーブは秋葉、

「兄さん、後ろは頼みましたよ」

翡翠はその顔に似合わぬ、かなりのスピードサーブを打ってきた。

それを秋葉がレシーブで返す。

その球を琥珀さんが拾い、秋葉の頭上を抜いてコーナーへ落としてくる。

その球に合わせて走り、今度は俺が打ち返す。

こういったダブルスの場合、案外フロントコートが穴だったりする。

そんなことを言った体育教師を信じ真ん中に打ち込む。

その結果、

翡翠「阿!!」

琥珀「吽っ!!」

と、声が響き、気付いたときにはボールは自分達のコートの遥か後方にいた。

「くっ」

秋葉の呻き声が聞こえる。

そんな俺たちを尻目に翡翠は、

「志貴様をデータ通りです」

なんて決め台詞を言っていた。

それにしても翡翠さん、なんで某データキャラなんでしょうか?

そんな俺の疑問を裏腹に翡翠はさっさと自分の立ち位置に戻っていった。

そして次のサーブ、

今度の球もなかなかのサーブ、どうやら翡翠は先程の打ち合いでは俺の為に手加減していたらしい。

そして、そのスピードボールに体を合わせて打ち返す。

今度は翡翠のバックハンド側に打ち込んでみる。

その球をストレートに返す翡翠、

しかし、そこには当然秋葉が走り込んでいて、

スパーン!!

秋葉の強烈なドライブが掛かった球が琥珀さんと翡翠の間を抜き去っていった。

「ド、ドライブB!?」

「まだまだだね」

秋葉よ、お兄さんの知らない間にどこでそんなネタを覚えたんだい?

心の中でそう叫んでいる横で秋葉は平然な顔をして構えていた。

そして、その後もラリーが続いていく。

「いきますよ~」

「甘いっ!!」

先程とはうって変わってのラリーの応酬。

そんな風にラリーが続いていく中で妙な違和感を感じる。

打ち返す球が全て琥珀さんの手元に返っていくような感覚。

「これはっ!!」

どこに打とうとしても琥珀さんに返っていく。

魔の『琥珀ゾーン』だった。

困るっ、これは正直どんな原理で行われているのか見当も付かない。

これじゃ、ど~しよ~も無いじゃないかぁ~!!

結局、俺は終始琥珀さんの手の上で遊ばれており、ずっとテニスボールに振り回されていた。

「うぅ、もうお婿にいけない」

「何言ってるんですか兄さん、やられたら百倍にしてやり返しましょう!!」

いや、秋葉氏よ。アレの百倍ってアンタ・・・・・・?

そして、その後の秋葉のサーブでは、

「これがあなたに打てますか?」

そんな挑発をした挙句、思いっきり翡翠の顔面を狙った『ツイストサーブ』を打ち込む。

「データ上、捕れます!!」

翡翠もそれに合わせるが、

ガチンッ!!

翡翠のラケットが弾かれる。

「り、理屈じゃない!?」

そう言ってる翡翠の顔には普段見て取ることの出来ない驚愕の顔が浮かんでいた。

さらに、後半になると、

「琥珀さん、覚悟!!」

そう言って叩き込んだスマッシュを、

「甘いです、志貴さん。」

そういった琥珀さんは急に後ろを向き、

そして、

「まさか、あの構えは・・・・」

「羆落とし!」

その声と同時にスマッシュは無効化され、気付いた時にはこちら側のコートでバウンドをしている。

「志貴様、残念ですが姉さんにスマッシュは効きません」

ってか、琥珀さん。アンタなら世界狙えるよ。

一緒にモニカ・セレスを倒しに行きましょう。

そんな心の声を知ってか知らずか、

琥珀さんはサーブの時も、手で回転を掛ける事で正真正銘、『手元で逃げるサーブ』なんていう反則みたいな技を使ってきた。

「琥珀さん、そのサーブは卑怯じゃないかっ!!」

「いえいえ志貴さん、これも立派な技ですから」

そう澄まして答えると、またも同じサーブを打ってくる。

「今度こそっ!!」

そう言いながら俺のラケットは先程と同じ軌道で空を切っていった・・・・・・。








そして、一進一退を繰り返していくうちにゲームカウントは6対6、タイブレークに突入した。

「兄さん、ここまで来たら分かってますね」

「あぁ、負けられないな」

そう言いあって、俺たちはお互いの士気を高めあう。

正直、ここまできて負ける気などさらさら無い。

しかし、それを見ている琥珀さんの顔はいつも通りなのが、笑顔の裏には策があるぞと言ってるようで怖かった。

正直、今のこの状態は少なくとも一般的なテニスとは程遠かった。

なんせ、秋葉は無我の境地などと言って髪を真っ赤にしているわ、

翡翠はデータを捨てたなど言い出し、それにより動きが数段良くなった。

極め付けは琥珀さんだ!!

彼女に至っては先程、秋葉に顔面を狙われ視力が極端に低下。

詰まる所、目が見えない状態なのである。

しかし、琥珀さんは今まで通りにテニスを行い、あろうことか先程から動きが目に見えて良くなっているのである。

ここまで来るともう何も怖くない。

今なら翡翠が分身しようが、秋葉が波動球を打とうが、琥珀さんがレーザービームを打ってこようが驚かないような気がした。

そして、ゲームは佳境、ここで燃えなかったら男が廃るってとこだ。

そして、4対4で迎えた秋葉のサーブ、レシーブした琥珀さんの頭上を抜こうとして中途半端なロブをあげてしまった。

「チャ~ンス」

「ヤバイッ!!」

そう言うと俺は早くもスマッシュに備えて後ろに下がる。

そして、真っ直ぐに、本当に真っ直ぐに、俺へ向けてテニスボールが発射される。

それは俺の手元まで来ている。

しかし、今の俺に不可能なんて無いっ!!

そう考えながら捕球体勢をとる。

しかし、ここで琥珀さんが打ち出した球が手元で急に伸びた。

これにより捕球予定の位置がずれ、

そして、球の軌道上には顔が・・・・・・・、

そして、ここで初めて悟る。

この、自分のポジションに、

「これって、まさかっ!!」

そう言った時にはもう時すでに遅し、

志貴の顔に、テニスボールがめりこんだ後だった。

「もっ・・・・・もしかしなくても、俺のキャラって聖・・ルドルフの・・・・・・彼?」

だ~~ね

その一言を最後に意識が遠のいていく。

最後に見えたのは秋葉と翡翠の心配そうな顔と、

琥珀さんの不気味なまでの笑顔だった。


















そうして気付くと志貴はベッドの上で寝ていた。

「んっ!」

気付いて起きようとするがどうやらまだ体が上手く動かないらしい。

「あっ、志貴さん、動いて大丈夫ですか?」

いつから横にいたのか琥珀は志貴を支える。

「あぁ、琥珀さん。うん、もうだいぶ平気だよ」

そう言ってみて自分の口内が軽く切れていることと頬っぺたが腫れて湿布を張られていることに気付く。

「すいませんでした~」

ぼぅっとしている志貴の横でおもむろに琥珀は頭を下げる。

「えっと、ちょっとふざけ過ぎてしまい志貴さんに怪我をさせてしまって」

そう言いながら琥珀は尚も頭を下げてくる。

「いや、別に構わないよ。正直面白かったし、毎日って言われたらちょっと困るけど・・・・今度またやろう」

そして、志貴は琥珀の頭に手をのせた。

すると、琥珀のほうはその頭を下げた姿勢のままでゆっくりと語りだす。

「えぇ、許していただいてホントにありがとうございます」

そう言いながらゆっくり顔を上げていく。

ここで志貴は自分が凄く大事なことを思い出してない事に気付く。

「しかしながらですね、志貴さん。あのゲームには続きがありましてね、」

ここに来て志貴は急に背筋が寒くなるのを感じる。

しかし、そんな志貴などお構い無しに琥珀は続ける。

「あのまま棄権でも宜しかったのですが勝負が有耶無耶になるのも良くないと思いまして」

志貴の体は今や生きる屍のような状態で、顔色は白くピクリとも動かなかった。

そんな志貴を見ながらゆっくりと琥珀の死刑宣告は続く。

「秋葉様も善戦いたしたのですが如何せん、多勢に無勢。遂には負けてしまわれたのです」

よよよ、なんてポーズを取りながら嬉しそうに琥珀は語りきる。

その横で志貴は微動だにせず、ただ一言

「マジ?」

「マジもマジ、大マジですっ!!そんな訳で志貴さん、罰ゲーム確定で~す♪」

「えっと、何の話だっけ?俺、さっき頭強く打って記憶があやふやなんだ・・・・・・」

そう言うと琥珀は無言で懐からカセットレコーダーを取り出し、再生を押す。

カシャッ

『「ですから、どうやら翡翠ちゃんが特製のスポーツドリンクを製作したみたいなんですよ~、負けた方のチームはそれを飲むってのはどうでしょう?」「いいでしょう、勝ってあなたにたっぷり飲ませて差し上げるわ」「はい、それじゃあ賭けは成立ですね~」「なんでも無いのよ、翡翠ちゃん。じゃあ、お二方もOKと言う事で~♪」』

「志貴さん、まだ思い出せませんか?」

そう言いながら琥珀は心の底から嬉しそうにニッコリと笑う。

「ぐわ~、そんな、ひどいっ!!ってか初めからこうするつもりだったな!!」

「ノンノン、何を証拠に?それに、勝負の世界は厳しいのです。さぁ志貴さん、黄泉の国までイッちゃってくださ~い♪」

そう言うと琥珀は志貴の口にチューブのようなものを突っ込む。

グボッ、ガハッ、ズフッ、ブクブクブク

そんな音を立てながら志貴の体内に『特製翡翠汁(梅風味)』を混入させていく。

「そういえば志貴さん、辞世の句があれば聞きますが」

容赦無く志貴に注入しながら最後の良心で琥珀は聞いてみる。

「ブハッ、あぁ、今日はこんなにも・・・・・・グフッ」

「あぁ~、志貴さん!!最後まで言えてませんよ!!これじゃグズグズで・・・・・・・・・・・・」

そんな琥珀さんの悪魔のような声をBGMに、志貴は死出の船旅へと進むのであった。








「秋葉、すぐにお前のとこに行くからな~っ!!」

































こうして、志貴が黄泉の国へと旅立った部屋に翡翠が入ってくる。

「姉さん、志貴様の容態は?」

「う~ん、それがね翡翠ちゃん、どうやらかなり強く頭を打っちゃったみたいで・・・・・・」

そんな大嘘をシレッと言う。

「そうですか、秋葉様の方もなんだか苦しそうで、どうしましょう、姉さん?」

「そうね、翡翠ちゃん。こういう時こそ私たちが頑張らないと!!」

「はい、じゃあもう一度私は秋葉様の看病の方へ」

「えぇ、お願いね翡翠ちゃん」

「姉さんの方も志貴様を頼みます」

そう言って翡翠は部屋を後にする。

そして、後にした部屋からは不気味な笑い声と

「ふふふ~、これで我が計略『遠野家乗っ取り大作戦』は完遂です♪」





そんなセリフが聞こえてきたとかこないとか・・・・・・・・。






















どうも、そんな訳で今回の『テニスの秋葉様』いかがだったでしょうか?
自分としては随分久しぶりのギャグSSだったので苦労したりしなかったり。
今回はかなり短いペースでの更新だったので前編に後書きが書けなかったからこっちでいっぱい書こうかなと思ったり(しかし前編に後書きってあるんでしょうか?う~ん、中書き??)
まぁ、なんにせよ今回のSSは苦労がいっぱいでした(泣)
なんせスポーツの秋ネタで考えていたらいつのまにやら季節は冬目前!!
イヤ~!!これが締切りというものなのね~!!
とかなんとか叫んだり、
うわぁ~、テニスの情景描写が書けね~!!
とか悶えたり、
ってか、ラストはネタとしてはベタだよなぁ~と反省。
まぁ、とにかくとっても大変でした。
正直誤魔化しながら書いたところが多数あるんですがその辺は見て見ぬフリをしてやってください。
そんな訳で恒例のチャットをベルギーさんと~♪





雪華月兎「そんなこんなで感想ヨロシク!」

ベルギー「秋葉のスコート!」

雪「うわっ、いきなりそこですか!」

ベ「秋葉のスコート!!

雪「スコートの方がよかった?」

ベ「いや、芋ジャージも許す!」

雪「えっ、芋限定?」

ベ「芋じゃなくても秋葉なら許す!」

雪「ってかお前は秋葉なら何でもいいんだろ?」

ベ「バッカ!ちゃんと理想があるんだ!」

雪「あんまり聞きたくないけど、どんな?」

ベ「ルイージの格好をした秋葉 もちろん素肌にツナギ 真っ赤な顔して「兄さん!」」

雪「うわぁ、なんか色々間違ってるよ!!ってかどんなフェチよ?!」

ベ「と言う訳で君は以後、もっと秋葉の活躍の場を増やしたSSを書くように」

雪「実際今回のSS題名『テニスの秋葉様』にしては秋葉の影薄いよな」

ベ「様がつくキャラが秋葉だけだったからその題名だろ、実際」

雪「まぁな」

ベ「まぁそんなわけでSSの感想、ネタは悪くないしテンポもいいんだけどなぁ」

雪「おうっ、ありがとう」

ベ「: なんていうか小技!小技!小技!そして決め技に・・・・・小技!って感じ!」

雪「あぁ~、最後も結構ありきたりだもんなぁ~」

ベ「そんで、今後の予定は?」

雪「こんなんどう?ひぐらしSS、題名『はぶらしのく頃に』」

ベ「うわぁ」

雪「どうかな・・・・・・かな?」

ベ「一応、どんなネタなのかだけは聞いてあげよう」

雪「うむ、サトコ虫歯ネタで部活のメンバーが技を駆使して歯を抜こうとするってネタだ!!」

ベ「歯ブラシは?」

雪「えっ、出てこないよ」

ベ「うわっ、意味ねぇ!!

雪「いや、なんかゴロが合ってたから・・・・」

ベ「お前センス最悪だな!」

雪「テメェ、学校に大工の親方みたいな恰好で来るお前に言われたくねぇ!!」

ベ「ほら泣けー!泣き喚けー!ティッシュのゴミ袋サン袋野郎!」

雪「なぁ、お互い過去の悲しいネタを披露しあうのは止めないか」

ベ「も~、ここでお前が泣いたら以上『月兎がなく頃に』でした、ってオチが付いたのに~!」

雪「え~ん」

ベ「遅いわ!」

雪「え~ん(一息で)」

ベ「うわぁ三度ネタ!てか後書きシリーズの定番ですねこれ」

雪「いや、お前がやらせるからだろっ!!」

ベ「まぁ、そうとも言えるな」

雪「それにしてもこの後書きの編集がダルイ~、代わって!」

ベ「イヤだ!」

雪「じゃあ誰に押し付ける?」

ベ「えっと、・・・・・食べわん?」

雪「じゃあ、食べわんさんに「リーダーが編集しろって言ってた」って教えるね」

ベ「事実を捻じ曲げないで!」

雪「いやいや、客観的な目で見た結果ですよ」

ベ「誰に押し付けるって質問に返答しただけだから」

雪「これは君の深層心理は誰にめんどくさい事をやらせようと考えているのか解る心理テストだったのです!!」

ベ「なにぃ!そうだったのか?!」

雪「はっはっは、気付かなかっただろ!!」

ベ「じゃあ雪華月兎だな」

雪「うわっ、正論っ!

ベ「雪華、メンドクサイこと押し付けられてかわいそ、かわいそです」

雪「おじさんも同情しちゃうな~」

ベ「お~ほっほっほっほ!実に雪華さんにはふさわしい役どころですわ!」

雪「はぅ~~~~~正論言ってるベルギーさん!かぁいいよ~~~~!!おっ、お持ち帰り~~~!!!」

ベ「それはない!!

雪「そこまで力いっぱい否定せんでもいいだろうに」

ベ「んっふっふ~ 雪華さん、嘘をついてはいけませんねぇ~」

雪「うわっ、お前上手いなぁ~、大石クラウドの書き方!よし、お前は今日からクラウド(四歳)だ!!」

ベ「うおおおおおおおおおお!!俺の名前はベルギー(四歳)だぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」









我々、毒されすぎです!!




そんな感じで今回はSIAM SHADEの『三分の一の純情な感情』を聞きながら校正中。
そろそろ年末に向けて冬用SSのネタを考えようかなぁ~とか思ってます。
そんな訳で今回はこの辺で。






感想と言う名のエサを与える


BACK








© Rakuten Group, Inc.
X