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雪華月兎のSSサイト(仮)

最終章 始まりの朝焼け(前編)




誰もいない空間



虚無の世界



ここにはなにも無く



ただ、暗闇の息吹が聞こえるだけ



一人、佇んでいる



そんな暗闇の中



早くこんな所から逃げ出したいと思いながら・・・・・、











一瞬の空白



世界が反転する



現れたのは真っ白に彩られた世界



そこに彩られていくさまざまな景色



ゆっくりと背景が出来ていく



・・・・・ここは、



そう、映し出されたのは遠野家の庭だった。



ふと、自分を確かめてみる。



「小さい」



気付けば自分の姿は八年前の姿になっていた。



まだ、胸に傷が無かった頃。



何も考えずに一日をただ楽しく生きていた頃。



四季と秋葉、そして翡翠。四人で遊んでいた頃を思い出す。



そして・・・・・・、



なによりも思い返されるのは、



やはり笑顔を無くしてしまった哀れな少女のことだった。



気付くと誰かの視線を感じる。



視線の方に顔を向ける。



「あっ!」



そこには自分と同じく、八年前の姿をした琥珀さんがいた。



愛らしい顔に笑顔は無く、人形のように表情を閉ざしてしまっている。



自分は昔この少女を救えなかった。



あの頃の自分は、ただ一緒に遊べれば仲良くなれるなんて安易なことを考えていた。



それを思い出し罪悪感が自分に襲い掛かってくる。



そして、そんな自分を見ていた八年前の琥珀さんが口を開き、



「ナンデ・・・・、ナンデ助ケテクレナカッタンデスカ?」



そう告げてきた。



その声にはおよそ感情と呼べるものが篭っておらず、



ただ声帯を震わせて出した音のように感じ、



しかし、だからこそこちらの胸をえぐった。



「くっ」



思わず目を背けてしまう。



彼女を見ていられない。



そんな気持ちが心を侵していく。



しかし、



そんな自分を尻目に琥珀さんはなおも、



「ナンデ?」



そう言及してくる。



「ナンデ?」



「ナンデ?」



「ナンデ?」



「ナンデ?」



「ナンデ?」



それは耳を塞いでいても聞こえてくる声。



自分の周りで声が回っているような感覚。



気付くと自分は出口の無い暗闇にもう一度戻され、



永遠とも思える時間を彼女に責められ続けた。



「ナンデ、・・・・・デスカ?」



そして永遠とも思われた苦痛の責めが突如止んだ。



ゆっくりと眼を開ける。



次に飛び込んできた光景は、



槙久に陵辱されている八年前の琥珀さんだった。



ただ人形のような眼で、



虚空を見つめ、



およそ感情というものを捨ててしまった少女。



その姿を見て吐き気を催す。



今度は眼を逸らせない。



いや、動くことさえ出来ない。



瞬きすらさせて貰えない状態で、



彼女が犯されていく姿を、



ただ、見ていることしか出来ない。



そして、槙久の姿が歪み、捻じれ、今度は四季に変わっていく。



しかし行われることは何も変わらない。



ただただ犯され続け、陵辱され続ける。



そして、彼女の瞳がこちらを見つめ、



「ナンデ助ケテクレナインデスカ?」



「ナンデ、私ダケ助ケテクレナカッタンデスカ?」



そう何度も問い掛けてきた。



何度も、何度も・・・・・・・・・



―――――――――――――ナンデ?










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