雪月花

2009/06/28(日)00:08

腕輪のこと

女が、手首に環い腕輪をはめていた。 金属で出来た硬いもののようであった。 肘から先を上に曲げた拍子に、 腕輪が手首から下にずりさがった。 しかし、手首の少しばかり下方に引っかかったまま、 腕との間に土星のように隙間を残したまま それより先には落ちようとしない。 何事かと思って仔細に見てみると 女の手首は丸くないのであった。 骨に少しの肉を巻き付けてから皮でくるんだように 女の手首は楕円なのであった。 その断面図を思い描きながら腕輪の隙間を見ていると 子どもではなくなったその女にどこからか同情が湧いてきた。

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