雪月花

2010/02/09(火)23:54

贅沢は承知で

贅沢を百も承知で言うと、 たまには個人的な愛情のない、 心のこもらない、出来合いの、 機械的で無個性で不健康なものを食べたくなるのである。 毎晩作ったり作ってもらったりする、 体によくて味もバランスも見た目もよい、 そんな食事に不満がある筈も無い。 ただ、なんとなくジャンクフードや ファストフードやスナック菓子やコンビニ弁当が 無性に食べたくて仕方が無くなるのだ。 真心の無いものを体に入れて風通しを良くする。 ああ、もう嫌だと嫌気がさすまで食べて飲んで、 そうして自業自得でもたれた胃を抱えて 撫でさすりながらやはり家に戻りたいと恋しがるのだ。 軽い、破壊衝動みたいなものかしら。 たまに目的も無く ユニクロに行きたくなったり、 百円ショップを覗きたくなったり、 バスに乗りたくなったり、 コンビニを冷やかしたくなったり、 ドラッグストアをぶらつきたくなったり、 するのと全く同じなのだろうね。 没個性な「その他大勢」になんとなく混じりたがる時。 思春期の子供が悪がってみせたり 男がふいに浮気をするらしいのも きっとそんなようなものなんだと思う。 あたたかさは往々にして緻密で目が詰んでいて、だから息が出来なくなる。

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