一人医師医療法人のメリット・デメリット
政府・民主党で検討されている税制改正論議がそのまま実施されるならば、大増税が個人立診療所を直撃することになります。診療報酬が抑制される中での措置法26条(医師優遇税制)廃止、個人事業主に対する所得税増税、相続税基礎控除の引下げなどは個人立診療所にとって大打撃になります。こうした課税強化への対策策として医療法人化は有効な施策の一つです。個人診療所から一人医師医療法人への切り替えでは、次のようなメリット・デメリットがあります。(院長としてのメリット)(1)所得税、住民税の軽減が図れる。医療法人から給与の支給が行われ、院長は給与所得控除が適用される。(2)医業経営と家計が分離され、経営の実態が把握しやすくなる。(3)退職金の支出が、家族役員を含めて可能になる。(医療法人としてのメリット)(1)法人税課税になるので、個人診療所の場合の所得税課税と比較して税負担の軽減が期待できる。(2)訪問看護センター、デイケアー等の在宅医療部門に進出できる。(3)生命保険の活用の幅が広がり、保険料を経費化できる場合もある。(4)定款に定めれば、事業年度を自由に設定できる。(5)分院化を図ることができ、また、将来法人売却により承継が行いやすい。(院長としてのデメリット)(1)院長個人として役員報酬を受けることになり、それ以外の法人の所得については、自由に処分できない。(2)小規模企業共済や国民年金基金は脱退が必要になる。(3)法人には交際費の限度枠があり、限度内においても10%が損金不算入となる。個人では、正当な交際費である限り、限度枠はない。(医療法人としてのデメリット)(1)法人解散時における清算所得への配慮が必要になる。(2)法人化により、厚生年金への加入義務が発生する。(3)都道府県などによる指導監督が強化される。(4)法人化に伴い、税務署や都道府県等に提出が必要な書類や事務処理が増加し、そのための経費も発生する。(5)不正請求、医療訴訟、脱税等において、他の理事や監事にも責任が及ぶ可能性がある。(6)院長の死亡・病気・高齢等の理由でしか解散が認められない。(7)株式などのリスク資産での運用は行えない。一般的には、課税所得7000万円が医療法人化の目安とされています。余計なことですが、医師会、歯科医師会は前回の総選挙では民主党を推薦したのでは…