2006/01/27(金)22:38
物語の中の現実
(第19回 作詞スクール)
歌詞は、誰が読んでも、その内容を理解できるものでなければ、およそ作品とはなり得ません。。
自分しか解らないような詞を書いていては、だめということです。。
しかし、恋愛を描いた詞の場合には、たいてい、客観的な物語を装った中に、私的な事柄が織り込められているものです。。
必然性のないものが登場したりするときは、それは、作者の実体験であることが推察されます。。
このことは、また、詞を書く、あるいは読む、楽しさでもあります。。
約束通り、「ヒロミの様に」を解説します。。
この唄は、僕が東京から広島に帰って来て、中学時代の友人と再会し、一緒に遊んでた頃、書いたものです。。
~あなたが そんなに優しいのは
傷ついた事が ないせいなのか
それとも 傷つく事に慣れ過ぎて
憂いの全てを 知っている?~
「あなた」というのが、タイトルの「ヒロミ」であろうと、推測されます。。
口調からして、主人公は男性で、「あなた」は女性だと思われます。。
「本当の優しさ」というのは、20代の僕の、大いなる文学的テーマでした。。
悪意を知らなければ、人は純粋に優しいのでしょうけれど、悪意にまみれ、様々な悪意を知り尽くして、なお、優しい人というのは、凄い人だと、僕は思います。。
「あなた」は、そんな優しさを持っていると、詞は唄っています。。
~季節は 二人を巡り逢わせて
今もまだ
気紛れの顔 装い続けるだけ~
典型的な擬人法です。。 みなさん、ぜひ、真似してくださいね。。
二人は出逢って、好き合っているようですが、すんなりくっ付かない、そんな様子を表しています。。
~二度目の冬は きっとあなたの
白い肌をなお 透き通らせる~
これも、擬人法です。。
二人が出逢って、一年以上を経過したことと、この詞の季節が冬であること、が解ります。。
ますます「あなた」は、綺麗になってゆく、と唄っています。。 つまり、主人公が、「あなた」に惹かれていっている、ということです。。
~朝からずっと 雲一つ無い
暖かさの戻った 今日は
ヒロミの様に 優しくなれそうさ
誰にもきっと~
冬の中の、よく晴れた風のない暖かい日。。 こんな日には、「僕」も、「ヒロミ」の様に、誰に対しても優しい気持ちになれる、と唄っています。。
裏返してみると、「僕」は普段、優しい気持ちとは程遠い心模様で生活している、と予想できます。。
そして、この直後に、劇的なフレーズが登場します。。
~あの日の あなたにさえも~
さあ、問題の箇所です。。
続きは、明日。。
(唄を聴く → 「ヒロミの様に」)