「王家の紋章」5月20日マチネ&ソワレ〜梅田芸術劇場
改めて!初日の観劇から一週間。格段に良くなったと思いました。帝劇ではなんか物足りなく思えた音響も良く、キャストの方々は皆熱唱、熱演ですごいです。それが、さらにまた良くなったと感じました。アイシス濱田さんには一幕からうるっとさせられ、二幕ではもう号泣。アイシスの想いに感情移入して聴けて涙涙涙、特に何がということがあるわけではないけれど、思いが叶わないことっていっぱあるよな、叶わないことだらけだよな、とつくづく思わされてまた涙。メンフィス浦井くんは、荒々しさがまたさらに増した感がいっぱい。そして、喜怒哀楽といった感情のそれぞれをさらにくっきりはっきりと表現されていて、メンフィスの気性の激しさがさらに強く感じ取れた。メンフィスという人物をさらに一歩極めたように思えました。やはりキャロ子さんは歌唱も表現もすごく巧みですね!その貫禄もあって、キャロルのイメージより少し”お姉さん”というところはありますが、とにかく見ていて何の心配もないところがストレスなくていいです。2幕のメンフィス、イズミル、アイシスとの曲も堪能させてもらえました。今回一番の変化を感じたのが、マモミルさん。声もよく出ていて歌特に問題なしなのだけれど、なんか、アニメ仕様ということなのかどうもパンチのみが効きすぎてるというように感じられていたのですが、今回、表現がとても細やかで繊細になったと感じられ、迫力のある歌声はそのままに、表現に彩が出てきてすごく良い!と思いました。宰相様の歌声もさらに力強く、そして暖かく包み込んでくれます。おじいちゃんだけど、せっかく舞台を観に来ているのだから、やっぱりその姿を見ながらその歌声にひたりたいけれど、その一方で、目を閉じてその歌声だけに集中したいという欲求にもかられます。DVDが届いたら家で・・・音の迫力は全然違うけど・・・やってみるかな♪しつこいですが・・・ラストの違和感は、相変わらずです。随分とは慣れましたが。昔、ジョーズとか、何かに何人かの人が襲われるというような映画では、最後、襲ってくるものをやっつけて、あーよかった、助かった、ってなって終わるけど、たいてい、最初にいた仲間のほとんどは死んでしまっていて、助かるの2人くらい。っていうのが多かった。で、そのあーよかったって喜んでいる姿を見ると、つい、でも仲間のほとんどは犠牲になって死んでしまった。その人たちへは何かないの?という思いになってしまったのでした。もちろん、助かったのだから、よかったと喜び安堵するのは当然で、まぁ、絵にはならないけれど、落ち着いたら当然犠牲者を悼むのだろうと想像はつくのだけれど、それでも、どうにもこの違和感なしには見ることができなかった。なんか、そういう自分的な見方がこの再演にもくっついて離れていないように思えています。大ラス前の宰相様の歌の曲では、ミタムンとそしてセチも出てきて、そして二人ははけていく。セチはお母さんの前に行って、それから去っていく。すごい悲しい。。。大ラスは生きている人達のシーンなんだな、と思った。キャロルたちのために犠牲になった命がある。大ラスの曲は、明るくて楽しく幸せに満ちた曲。これからの輝かしく幸せな未来を思わせる。結婚しました。めでたしめでたし。それはそれでいいと思う。見ていて楽しいし、気持ち良く見終われるのは作品としてありだし、そうするならそれでいいと思う。確かに作品はテーマがはっきりしてわかりやすくなって洗練されたと思う。でも、なんか、自分的には、犠牲になった命が心に懸かって仕方がない。宰相の曲で二人のそしてエジプトの明るく幸せな未来を願い、でも、幸せだけではないという現実も見る。それが真実なのだから。だから、初演のように、ただ幸せな二人を見せて終わるだけではなく、これから乗り越えていかなくてはいけない困難や苦難もあるということも見せてほしい、と思ってしまうのだろうな。相変わらずしっくりこないのは、初演の時のそれがないからなのだろうな。