2011/01/12(水)01:21
CH164 飲食店はノーゲストの時に決まる
日経レストランコラム”非常識”2004年12月より
あなたの店はどんな店?
Garagara~(沈黙)・・・
店の扉を開けると、そこには誰もお客さんがいない。
「しまった・・・」
店に入った瞬間、あなたはこんな思いをしたことはないだろうか?
その反面、お客様が誰もいないのに、何か良い店を選んだような気がした経験はないだろうか?
同じノーゲスト状態にも関わらず、この差はどこから生まれるのだろうか?
あなたの店にノーゲストの時間があるとするならば、前者だろうか?それとも後者だろうか?
店に漂うよどんだ空気、引き込まれる空気
多くの国内外の繁盛店や不振店に足を運んだこともあり、店が繁盛しているかどうかは、扉を開けた瞬間にどんな空気が漂うかでわかるようになった。
繁盛している店にはオーラがある。このオーラは扉が閉じた状態でも、外まであふれ出ている。
逆に、繁盛していない店には、扉を開けた瞬間に来店を思いとどまらせるほどのいやな、寒々しい空気が漂う。(ヒュ~)
でも、この違い、実は原因はいたってシンプルだ。このシンプルな違いこそが、繁盛店とそうでない店を作るのだ。
売上=ノルマになるな!
先日オーナーから私の携帯に電話が入った。
「今日は売上最悪です!金曜日なのに、二組しか入ってないんです!」
この「二組しか」という言葉を発する深層心理が店の雰囲気を作ってしまう。
そして、オーナーはこの事実を自覚していない。
売上が落ちたり、資金繰りが悪くなったりすると誰しも、目先の売上を上げたい。
繁盛している店とそうでない店の違いは、ここでどう動くかで決まる。繁盛しない店は、売上=資金繰りあるいはノルマになってしまう。
繁盛している店には活気がある。
活気があれば、店の悪いところは目立たない。
しかし、繁盛していない店には活気がない。
活気がないと、店の悪いところをあぶり出す。
店が何を考えて営業しているのか、あぶり出す。
従業員が何に焦点をあてているかあぶり出す。
もし、「二組しか」と思っているなら、「二組に感謝していない」ことをあぶり出す。
もし、あなたが、二組しかいないような状況下で「今、二組だからお客様が過去体験したことがないようなサービスをして、絶対に喜んでもらおう!」という気持ちになれば、その心もあぶり出す。
そう、心のスイッチを切り替えられれば、あなたの店には無限の可能性が広がる。
どんな、場面でも全力投球する潔さには、すかすかな店の状態にありがたみすら感じる。
でも、そうでなかったなら、その居心地はすこぶる悪い。いたたまれない。早く出て行きたい。
そして、店にまた静寂が訪れる。
売上=ノルマになってしまうと、お客様がいないことが悪になる。
でも、本当にそうなのだろうか?
最近、繁華街を夕方七時過ぎくらい歩いているチラシ配りをしている光景を見かける。
確かに、チラシを巻いて、一人でも多くのお客様を入れて売上を上げることであなたの頭はいっぱいなのかも知れない。
スーパーの店頭販売やファーストフードのような衝動来店の店なら効果があるだろう。
しかし、あなたの店が問題なのはお客様が減っているということではないだろうか?
お客様が減るのは、暇になって繁盛していないので、活気が無くなったからに他ならない。
チラシを配るより、活気がある店を作るそれこそが大切なのではないだろうか?
チラシで、集客すればするほど、将来のお客様を減らしているようなものなのだ。
入った瞬間に凄い店を作れ!
お客様が減ったあなたの店で、まずすべきことは、必ずリピートする仕組み作り。
飲食店の拡大期は新規客が流出客を補った。
しかし、今はそういう時代ではない。「お客様は二度と来ない」この精神こそ重要になった。
「二度と来ない」ことが前提の時代、大切なのは、第一印象に感じるものだ。
また来ようと思うか思わないかは、店に入った瞬間に決まっていると言っても過言ではない!
店に入った瞬間、「しまったな・・・」と思ってしまったなら、この状況をいかに早く免れるかに終始してしまい、感動する余裕など無い。
店に入った瞬間、「なんだろう?お客さんがいないのに、不思議なオーラが漂っている」と思ったなら、お客様は店のしかけに引きずり込まれていくのだ。
この不思議なオーラを漂わせるには、入り口への集中が必要になる。
商売は釣りに似ている。
せっかく魚が食いついていても、集中していないと餌だけ取られてしまう。店も同じだ、たった、一瞬の心の緩みがお客様をしらけさせてしまうのだ。
入り口へ集中には入り口に目が向くしかけを作ると良い。
例えば、店舗入り口や店前の清掃などがそうだ。入り口付近を清掃していれば、お客様への注意力も増すだろう。
あるいは、お客様を驚かせようといういたずら心が大切なのかも知れない。
私は、現場にいたときに、入り口の扉で、来店あてゲームを行った。
こんなゲームが従業員をパントリーから救出する。
どんなゲームかというと、入り口に立っていて、お客様の足音や人気を感じとり、タイミング良く扉を開け挨拶をするというものだ。
最初は、わからないアルバイトが、段々、タイミングがわかるようになるから不思議だ。
「なんでわかったの?」
という常連さんも多かった。
そして何よりも大切なのは、「なぜ、入った瞬間に全身全霊を傾けるか」、朝礼、中礼、終礼で全スタッフに伝え、マインド浸透しないといけない。
売上は結果であって、目的ではない。あなたの店が、なぜ、商売を始めたのか原点に立って、お客様を出迎えて欲しい。
「他にだれもいないけど、なんか、この店にして良かったね!」という声が聞こえるように。
人気コラムだった”非常識”のベスト版
【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え